【感想】中年、ラジオに孤立を知る(『こづかい万歳』第25話)

今回はラジオ配信が趣味なパソコン修理夫を通して承認欲求が描かれる。
パソコン修理夫は日常生活で何も喋らない反動で、ラジオ配信を始める。
当初はひたすら壁打ちをするだけで満足していたが再生回数が気になりだす。
旧友たちに配信を知らせ再生回数が増えたことに満足していたのだが……
聞いてくれたのは最初だけで、実は独りで垂れ流していただけだったことが判明。
ダベリを何よりも求めていた男が実は孤独なピエロだった思い知る描写は最高である。

配信と承認欲求

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  • 全ては承認欲求に帰結する(のか)
    • 今回のお話はパソコン修理夫。普段、何も喋らない反動から、ラジオ配信を始めます。男が求めたのはかつて気の置けない仲間たちとダベっていた時の幻影。ラジオ配信は男を一時の間、慰めていました。しかしながら、ひたすら壁打ちをするというのは人間にとって耐えられないもの。メッセージアプリで旧友たちにラジオ配信の事を知らせ、再生回数が上がると満足を覚えるのでした。しかしそれはお義理でアクセスしてくれただけのこと。結局、時間が経つとラジオ配信は見向きもされなくなるのです。この時、男が感じた孤立。自分がピエロだったことを思い知る描写はバツグンの破壊力となっています。「再生回数は気にしない」というのは人間、なかなか出来ないものなのです。中年、ラジオに孤立を知る。まさに、その瞬間でした。ここで終わっていたら、この作品は神となったことでしょう。けれどもこの作品には救いがあり、最後は承認欲求が満たされ感動的なエンドとなります。孤立を知りながらも、このパソコン修理夫はひたすら配信を続ける毎日を繰り返します。すると、どうでしょう。かつての同級生が聞いてくれており、お涙頂戴的なお便りが来るのでした。最初から自己満足、壁打ちで良いと割り切っていても、承認欲求に帰結するというオチ。


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