【感想】鬱ごはん クロス第24話「大人のインスタントコーヒー」を読んだ

父親が自分を生んだ年齢。そこに自分も到達したが、自分は何も成し得ていない悲哀。
幼き頃の情景が自然と思い出される時がある。そこに見るのは大人としての父親。
主人公である鬱野は父が飲むカップコーヒーに大人を見出していた。
思い出に感化され川を見ながらコーヒーを飲もうと試みるも次第に雨足は強くなる。
そこで詠まれる鬱野の感情が今回のポエミィな場面である。

父親は今の僕の歳で父親になっていた。僕は……川べりにたどり着くことすらできない

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  • 父の思い出から捉え直す現在の環境における自己の境遇
    • 何だかんだ言って本作の主人公の鬱野は行動的。今回はカップコーヒーを川を見ながら飲もうとします。その契機となったのが、父親の思い出。父親はインスタントカップコーヒーが好きで車内に持ち込んでおり、自分はそれを眺めては大人の飲み物に見えたことを思い出すのです。おそらくこれに感化されたのでしょう。お湯とコーヒーを持って河原へ行こうとするのですが……雨足が強くて高架下から出られなくなる主人公。そのまま高架下でお湯を注ぎ、コーヒーを啜ることになります。と、いうか独り暮らしの独身男性がお湯を保存できる魔法瓶持ってる時点で結構行動的ですし、それを持って川へ出かけようとするのも積極的と言えましょう。それはさておき、自分の境遇を省みながら、今回の鬱野ポエムが炸裂します。「父親は今の僕の歳で父親になっていた。僕は……川べりにたどり着くことすらできない」。


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