【感想】水星の魔女 第12話「逃げ出すよりも進むことを」を見た。

1話で父と対立していたミオリネを救ったスレッタが、12話で父と和解したミオリネから忌避される構図。
地球の魔女たちが引き起こしたテロにより戦争状態に巻き込まれた地球寮の学生や企業の社員たち。
人殺しに恐怖するスレッタだがお母さんの口車に上手く乗せられ殺人への抵抗感をアッサリ払拭する。
一方ジェターク社はグエルパパとグエルくんの直接対決となり意図せず父親殺しをしてしまい精神崩壊。
そんな中ミオリネはパパが自分を庇ってくれてママとの経緯も話してくれたことから反抗期が終焉に向かう。
ミオリネのピンチにもスレッタが駆けつけハッピーエンドで終わるかと思いきやスレッタは躊躇わず殺人。
笑顔を浮かべながら血に塗れた手を差し伸べるスレッタに対しミオリネは人殺し呼ばわりをして忌避するのであった。

母にノセられ殺人への躊躇いを乗り越えたスレッタが、自分の嫁に倫理観の欠如を指摘され忌避される

母にノセられ殺人への忌避感を取り払われるスレッタ
  • 主体的な意志決定無しに進んでしまうことの危険性
    • 本作では逃げれば一つ、進めば二つとして逃げ出すよりも進むことが唱えられてきた。だがそれはあくまでも主体的な意志を持ち分別がつかなければ、マインドコントロールと同じであり、危険な行為をやらせるための洗脳に過ぎないことが浮き彫りにされた。ミオリネと分断されたスレッタは彼女を救うためにエアリアルと合流すべく母の下へ向かう。だがその途中でテロリストと鉢合わせしてしまい万事休す。だがスレッタのママンは躊躇うことなく引き金を引き、テロリストを殺してしまうのであった。初めて殺人と死体に直面したスレッタは恐怖に立ちすくむがここでママンは口八丁でスレッタを説得工作。ママンの言い分では、進めば二つの思想により、人殺しさえ正当化してしまえるのだ。母親からのマインドコントロールを受けたスレッタは殺人への抵抗感を一気に払拭する。ゴールデンカムイで鶴見中尉が殺人への抵抗感を無くす部下を作るために甘言を弄していたが、まさに同じ理屈であると言えよう。
    • ママンにより殺人への忌避感を払拭させたスレッタは無双状態が始まる。地球の魔女たちとの2対1の戦いも難なくこなし何か巨大なビームで敵機を溶かしていく。そして見事撃退に成功。ミオリネさんを助けに行くが、その時ちょうど、ミオリネはテロリストに鉢合わせしたところであった。ミオリネの危機を救うためスレッタはタイミングよく駆けつけるのであったが……。ママンにより倫理観を破壊されていたスレッタは、ママンと同じようにアッサリと人を殺してしまうのであった。スレッタは無邪気に虫けらを潰すようにガンダムの手で生身の人間を叩き潰すのである。機体から降りたスレッタをわざとコケさせてその手を血塗れにし、その手をミオリネに差し出すシーンは最高視聴率を達成した。笑顔で人を殺すスレッタを見たミオリネは彼女に恐怖を覚えて突き放してしまい忌避感を覚えるのであった。ここからどうやってミオリネとスレッタを和解させるのか。視聴者の興味を煽って二期へと続く。

  • 親と子どもの関係
    • 水星の魔女ではスレッタとママンだけでなく多くの家族の在り方が描かれて来た。2世議員とか大企業の跡取り御曹司とかそんな感じの雰囲気。まずミオリネについてだが、ダディは多くを語らないだけで娘の事を溺愛している説が唱えられていたが、まさにその通りであった。テロリストの攻撃の際には自分の命をかえりみず身を挺して娘を守る。尚且つその時に、母親とのいきさつを語ることになり、ミオリネが抱いていた父親への負の感情は全て浄化されるのであった。長い反抗期の終わり。
    • 一方でグエルくんはパパと戦い父親殺しをしてしまう。男の子は父親を殺す勢いで一人前とよく言われるが、グエルくんが父親の頸木から解き放たれ自立するためには、お父さんを殺さねばらなかったのである。パパがグエルくんの力を頑なに認めなかったのは、自分もまた武闘派で一流の操縦士だったからであり、見事な腕前を見せた。グエルくんはこれから父親殺しの石塔を背負って生きていかなければならない。グエルくんがこれから精神崩壊からどう立ち直るかが2期の見所でもある。
身を挺して自分を庇った父を見て反抗期が終わるミオリネ
意図せず父親殺しをしてしまい精神崩壊するグエルくん
正体バレするニカ姉
笑顔で人を殺し血塗れの手を差し出すスレッタを忌避するミオリネ
第1話では救いだったスレッタとエアリアルが第12話は恐怖の対象と化す

水星の魔女感想まとめ


参考