ウマ娘「ホッコータルマエ」シナリオの感想・レビュー

超絶☆苫小牧プロパガンダ。地域振興のコンテンツツーリズムを主体的に創出することは可能か?
郷土を愛するホッコータルマエは過疎化による地方都市の衰退を目の当たりにし地域振興に奮起する。
彼女が取った手段はロコドルによる地域の活性化。前半の台詞の殆どが「苫小牧」である。
だがタルマエは傲慢にも全てを自分一人でやっていると思い込み気負い過ぎて自滅する。
そんなタルマエを救うのがトレーナー!地元住民の取り組みを紹介し視野狭隘から解放する。
後半はタルマエが自身の真面目すぎる性格に苦悩し大衆迎合的に顔色伺いをするようになってしまう。
しかし真面目な性格は美徳であり決してマイナスではないことを示すためエコツーリズムを開催する。
エンタメや娯楽でなくても真面目な学びの観光で地域振興をすることが可能なことを示すのであった。

【目次】

ホッコータルマエのキャラクター表現とフラグ生成過程

地域振興のコンテンツツーリズムを主体的に創出することは可能か?

自分が苫小牧を救うんだと気負い過ぎ視野狭隘になり精神崩壊しかけるタルマエ
  • 現実の苫小牧とタイアップ!ウマ娘×ロコドル×コンテンツツーリズム
    • ホッコータルマエは苫小牧からやってきたローカルアイドル。だがそのアイドル像は虚構であり作られたもの。タルマエの実態は真面目系委員長であり、過疎化による地方の衰退を憂う郷土愛溢れる少女だったのである。郷土はアイデンティティを形成し人格形成の核となる根幹。そんな郷土が徐々に廃れ、寂れ、衰えていく様子をタルマエは目の当たりにしてきたのである。苫小牧を少しでも救おうとタルマエはロコドルになり地元を活性化させようとしたのだ。だが地域振興は本当に難しい。タルマエの活躍によりホッキ貝定食が話題となり、タルマエは店を救った気になってご満悦となったのだが……その効果は一時的なものであり、再訪すると店はつぶれていたのであった。こうしてホッコータルマエは絶望し、全国規模で活躍しなければならないと思い込む。以上によりタルマエは苫小牧の衰亡を自分一人で背負った気分で上京してきたのであった。
    • だが苫小牧を一人の少女が背負うにはあまりにも重すぎた。タルマエはロコドルとレースという二重生活に耐え切れなくなり崩壊しかけてしまう。そんなタルマエを救うのが我らがトレーナー。タルマエの試食会でハスカップを食べたことで知己を得ていたトレーナーは彼女から専属契約を結んでトレーニングをつけて欲しいと懇願されたのであった。トレーナーはメニューを組み立てタルマエを鍛えると共に、メンタルケアも施していく。郷土は誇りでもあるが重荷でもあるのだ。そんな重荷から一人の少女を解放せよ!トレーナーは苫小牧の地元住民が過疎と衰退に苦しみながらもネットやSNSなどで新たな顧客を獲得しようとしている姿をタルマエに見せる。そこにはタルマエのことを心から願うwebページも存在していた。こうしてタルマエは自身が全てを一人でやろうと視野狭隘になっていることを思い知ったのだ。郷土愛を新たにしたホッコータルマエは今一度苫小牧と向き合うことが出来て大いに成長!レースでも勝利し苫小牧の宣伝に成功する。
ロコドルとしてのキャラ作りに悩むタルマエ
ロコドルとして活躍して店を救ったと思っていたのに一時的なブームで終わる
トレーナーさんに改めて専属申し込みをするタルマエちゃんかわいい

 

ホッコータルマエの真面目な性格を活かした学びの観光エコツーリズム

自分の生真面目すぎる性格や厳しい言動を気にするようになり鬱になるタルマエ
  • エンタメや物見遊山的でない観光開発
    • 後半は主にタルマエが自身の生真面目な性格に悩むことになる。厳格な彼女はつい口調も厳しいものとなってしまい、それが「マジレス」として世間では忌み嫌われているものだと知る。するとタルマエはこれまでは何でもトレーナーに言うことができていたのに、急に気にしだしてしまうのである。トレーナーの顔色を窺うようになり、大衆迎合主義的なおべっかを使うようになるのだ。タルマエの異変に気付いたトレーナーはハイキングにタルマエを誘うのだが、そこでもタルマエは「マジレス」をしてしまい苦悩を深めてしまう。観光における自然の保護の重要性を知るタルマエは、安易に花に触れようとしたトレーナーを厳しく叱るのである。トレーナーはこれを好意的に捉えるのだが、タルマエは自分の発言が相手を咎めるような口調であったと鬱になっていく。そんなタルマエの苦悩を解消するためにとったトレーナーがとった手段がエコツーリズム。娯楽や物見遊山ではなく、地域ならではの自然や歴史、文化を体感する学びとしての観光がエコツーリズムであり、タルマエの真面目な性格はそれに向いていると実感させるのである。こうしてタルマエは自分の性格は否定するべきものではなく自分は自分で良いんだと認めることが出来たのであった。後半のストーリーがタルマエの性格に焦点が当てられ、あれだけ地域振興って言ってたのにどっかいっちゃった!と思っていたら、最後にその人物像をエコツーリズムに絡めて地域振興でまとめたのでシナリオの技巧が光った。
エコツーリズムを提案し、タルマエの生真面目な性格を肯定する!
トレーナーにより承認欲求を満たされ好感度MAXとなるタルマエ
トレーナーさんのおかげでタルマエは自分で自分を肯定できた!