多分これから近いうちに北海道の弟子屈エリアに行くことになるかもしれない(ならないかもしれない)。
そのため現地に対して興味関心を持つためコンテンツツーリズムの聖地を確認。
弟子屈は屈斜路湖周辺が『ゴールデンカムイ』と『北へ。』の聖地となっている。
ここでは両者の聖地スポットをまとめておくこととする。
【目次】
『ゴールデンカムイ』と屈斜路湖

屈斜路湖周辺は何といっても都丹庵士編の舞台となる。網走監獄に収監されているウイルクに会うために釧路から北上するアシㇼパさん一行。その際の道中において盲目の囚人:都丹庵士と戦うことになる。都丹庵士は硫黄山で苦役させられた囚人。硫黄山は摩周湖と屈斜路湖の間にあり、硫黄採掘で有名だが、噴出する亜硫酸ガスが採掘者を失明させてしまう……というのが白石の説明。
作中ではまず屈斜路湖へと移動するのだが、美幌峠からの屈斜路湖の全景が一面に描かれる。そして屈斜路湖周辺の温泉旅館に宿泊することになる。ここで杉元をはじめとするむくつけき男たちが温泉に入っている最中に都丹庵士たちに襲われるのである。
都丹庵士との戦いは杉元たちが決着をつけるが、屈斜路湖は谷垣がインカラマッの運命を書き換える転機となる重要なスポットとなる。襲撃を逃れた谷垣はキロランケの提案で屈斜路湖を舟で渡って迂回して宿屋に戻ろうとする。だがここでインカラマッは嫌な予感を感じており、案の定、舟から落ちてしまうのだ。溺死しそうになるインカラマッは自分が熊たちに逆イオマンテされるシーンを脳裡に描くのだが、なんとその熊たちを巨大化した谷垣がボタンを筋肉で弾き飛ばして退治するというイメージで書き換えるのだ。
谷垣に助けられたインカラマッは運命は変えられるということを確信。この後の長い旅路を経て最終的に谷垣とたくさんの子どもを残すことになる。以上のように『ゴールデンカムイ』において屈斜路湖周辺は、①都丹庵士が苦役していた場所として硫黄山が、②移動中の全景として美幌峠からの景色(道の駅「ぐるっとパノラマ美幌峠」)が、③アシㇼパさんたちが訪問した場所としてアイヌの屈斜路コタンが、④都丹庵士から襲撃を受けた場所として屈斜路湖の露天風呂が、⑤インカラマッが運命は変えられるとパラダイムシフトした場所として屈斜路湖が、描かれた。


『北へ。〜Diamond Dust〜』と屈斜路湖


コンテンツツーリズムによる地域振興の先駆けとして学術的意義のある作品『北へ。』初代WIではメインヒロイン一家と屈斜路プリンスホテルに宿泊するが、観光地は摩周湖となる。屈斜路湖がメインとなるのはやはり二代目のDD。真ヒロインまふゆシナリオにおいてタイトル回収とも言うべきダイヤモンドダストを見るのがこの屈斜路湖なのである。
ヒロインのまふゆは2003年当時としては挑戦的なキャラ設定でありLGBTである主人公の親友の女性の姿なのである(最初は正体を隠している)。まふゆシナリオではLGBTの諸問題に真剣に取り組んでおり、真正性と向き合うことになる。屈斜路湖では白鳥を見るも醜いアヒルの子を連想し、イジメられていたアヒルが実は白鳥であり救われるという展開について、白鳥>アヒルという格付けが無意識に行われていることに疑問を呈する。コタン温泉露天風呂では女性として恥じらうまふゆに対し修学旅行の時に一緒に入っただろという発言をしてしまい、男性としてまふゆと混同視してしまう。また川湯温泉に宿泊した時には夜にダイヤモンドダストを見に行くのだが、これは空中からドライアイスを散布し人工的に創り出したものであったことから本物とは何かということについて苦悩することになる。(ホテルで夜に別れた際、まふゆは全てを諦め男性に戻ろうとしていることが示唆されている)
このようなまふゆのモヤモヤを吹き飛ばす重要なイベントとなるのが屈斜路湖でのリアルダイヤモンドダストなのである。本来のダイヤモンドダストは氷点下10℃以下の晴天の寒い朝に見られるものであり、冷やされた大気中の水蒸気が小さな結晶となって降り落ちる現象。まふゆの情緒が不安定であることを察した主人公は、早朝突如まふゆを誘って屈斜路湖まで見に行くのだ!この時のダイヤモンドダストは非常に神秘的なものであり、まふゆの心情を揺さぶる。さらにここで主人公が女性としてのまふゆを心から受け入れるのである。こうして男だとか女だとか世間からどう見られるとかではなく、自分たちの愛を貫くことこそが真実だと気付く。エピローグでは男友達との同窓会にまふゆは女性の姿として皆の前に現れ、主人公への愛を貫くことを示し、友人ズから祝福を受けるという終局は感慨深いものがある。















