1.概要
表面的には弱者男性の嗜虐性が主題だが、実は少女優位という二段構えのギミックの話。
弱者男性は魔法少女の戦闘に巻き込まれ、目の前で父親が死亡し、母は発狂して家庭崩壊した。
その後は底辺非正規労働者として人生を送るも、マスコミによる魔法少女の賛美に耐えられなかった。
そのため魔獣に殺されて自死を図ろうとするも、運悪く魔法少女に救われてしまうのである。
弱者男性は魔法少女に怯えて逃走するも、なんと落とし物を届けに来たと追跡されるのだ。
魔法少女は男性により殺戮の対象になるが、その時、お供妖精が敵意を変換し少女を守ることに成功する。
だが、その変換された殺意は捻じ曲げられ、弱者男性の嗜虐性が発露される結果になる。
しかし魔法少女はこのプレイにドはまりし、自分に勝てない弱者男性が必死に頑張る姿に愉悦を感じ始める。
こうして魔法少女は自ら意図的に弱者男性の嗜虐心を愉しむようになり、お供妖精が途方に暮れるオチとなる。
2.本論「弱者男性の嗜虐性により自己の被虐願望を満たしつつも、年上男性の弱さを弄ぶ嗜虐性という二重構造」

本作の竿役は弱者男性氏。彼の嗜虐性が魔法少女を蝕むというのが表面的な流れである。弱者男性氏は魔獣に襲われた所を魔法少女に助けられたのだが、一種の暴力装置である魔法少女によってPTSDを発症してしまい、逃走する。男性の忘れ物に気づいた魔法少女だが、その隙に魔獣から不意打ちを喰らう。普通ならここで魔法少女が魔獣に蹂躙される展開が予想されるのだが……。本作では公園の遊具が滅茶苦茶になっても魔法少女にはダメージ一つ入っていないことで、その特異的な戦闘能力を示す狂気を暗示させる。

戦闘終了後、魔法少女は弱者男性氏をスネークし、その忘れ物を届けてあげたところ、この弱者男性氏は魔法少女という存在そのものに殺意を抱いていた。運悪く魔法少女がエネルギー切れを起こし、単なる少女に戻ったため、その殺戮衝動が少女に向かうことになった。だがここで少女のお供妖精(寄生獣)が認識変換の異能を使い、弱者男性の殺戮衝動を変換する。だがこの殺意は男性の嗜虐心に変化したため、魔法少女はその凌辱の犠牲になってしまうのだ。「魔法少女がリョナられる被虐性をお楽しみください」な場面が描かれていく。個人的なおススメポイントは、エナジーを取り戻した少女が再変身してエネルギー波を撃とうとするも、死を覚悟している弱者男性に煽られて、殺害を躊躇してしまうシーンかな。エネルギー波が消滅していくコマが良いアクセントを利かせている。


こうして弱者男性の嗜虐性と魔法少女の被虐性が描かれるが、これは孔明の罠であり、更なる転換が起こる二重構造となっている。あくまでも魔法少女は上位存在であり、嗜虐性が強いのは穴役の方だったのである。弱者男性氏は魔法少女のお供妖精(寄生獣)によって認識転換されているだけで、ホントウは弱くて情けない存在。幼少期に目の前で父親が魔法少女の戦闘で死亡し、母親は発狂して家庭崩壊。そこから這い上がるために努力はしてきたが、弱者男性の就労場所など底辺非正規労働しかない。ワーキングプアとして生活保護よりも低い賃金で非正規労働に従事する一方で、マスコミは魔法少女を四六時中賛美し、魔法少女を目にしない日はない。ついにPTSDにより精神的限界を迎えた弱者男性は、魔獣に殺されて自死を図ろうとしていたのである。

魔法少女が現れて、自殺を邪魔され、しかも自宅まで追いかけてきたのだから、男性にとっては相当な精神的ストレスであっただろう。そんな弱々しい情けない男性が、必死になって一生懸命乱暴していることに、魔法少女はトキメキを感じてしまうのである。つまりは被虐心を満たしている魔法少女の方が、実は男性を弄んでいる非情さが、嗜虐性として表出しているのである。ブルアカのファンアートで、大人としての責任を果たそうとする立派な先生が、腕力では生徒たちに全然かなわず、それに気づいた瞬間に彼女たちの子宮が疼いてしまうというパターンが流行ったけど、まさにそんな感じ。

リョナられ尽くした所で男性の意識が飛び万事解決。魔法少女はお供妖精(寄生獣)から記憶消去の提案を受ける。だが彼女はそれをやんわりと断り、魔法少女としての義務と責任を示すのだ。上位存在である魔法少女である以上、一般市民の痛みも辛さも忘れてはいけないのだと。この展開には一瞬イイハナシダナー感が漂うのだが……。ここで魔法少女の嗜虐性が改めて暴露されるのだ。「押したら壊れちゃう普通の人が、せつか(※引用者註-メインヒロインの名称)に一生懸命乱暴していると思ったらドキドキしちゃって……」。

そして魔法少女はわざとスマホ録画を消さず残しており、その回収を口実にして、再び弱者男性氏のもとへと訪れるのである。凌辱して欲しくて緊張する魔法少女が、胸を昂らせながら目を細め、エナジー切れを理由に昨日みたいに休ませてくれませんか?とおねがりする場面がハイライト。再生した処女膜を再び破られる感覚に被虐性をゾクゾクさせながら、年上の男性を自分が弄んでいるという嗜虐性を満たすのである。このような魔法少女の行動にお供妖精(寄生獣)は呆れ果てる。彼は現地生物への介入は最小限にするという規定を想起しながら、目の前で繰り広げられている乱痴気に途方に暮れるのであった。
3.まとめ

本作は、弱者男性の嗜虐性によって魔法少女が凌辱される展開を描きながら、その実態を反転させる二重構造の作品である。幼少期に魔法少女の戦闘で父親を失い、家庭崩壊と貧困、PTSDに苦しんできた男性は、魔法少女への殺意を抱く。しかし、お供妖精の認識変換によって、その衝動は嗜虐性へと転換される。一方、圧倒的な力を持つ魔法少女は、弱い男性からの加虐行為に被虐的な快楽を見いだすと同時に、必死に腰を振る年上男性を弄ぶ嗜虐性も発揮する。つまり、男性が優位に立っているように見える凌辱劇は、実際には少女が主導権を握る少女優位の構図なのである。記憶消去を拒み、再び男性のもとを訪れる魔法少女の姿は、この二重の嗜虐性を鮮明に示している。