1.生命への畏敬
1-1.シュヴァイツァー『水と原生林のはざまで』
- 生命への畏敬
- ⇒生きることと生命あるものすべてを、価値あるものとして尊ぶこと。生命とは、神に通じる神秘的なものであり、生きんとする意志を敬うところに、普遍的な人類愛と倫理の核心がある。
- 生きようとする意志
- ⇒すべての命あるものが持っている本質的な意志。シュヴァイツァーは、「自分はいきようとする生命に取り囲まれた、生きようとする生命である」という事実から出発し、この「生きようとする意志」の生命の素朴な肯定を、倫理的な自覚に高め、倫理的責任を負うべきだと説いた。
1-2.ガンディー
- ☆インド独立の父
- ☆インドの独立運動と宗教的な真理追究の統合
- 手段
- ブラフマチャリヤー(「自己浄化」と訳される)
- 性欲をはじめとして喜怒哀楽など一切の感覚を統制し、真理のみをひたすら探究する心構えを確立すること。晩年のガンディーは毎晩同時に複数の女性と裸体で同衾しており、弟子たちから批判を受けたが、性欲を統制下においた行為だとして批判を退けた。
- アヒンサー(「不殺生」と訳される)
- すべての生物を同胞とみなし、肉食禁止・戦争放棄を説く。あらゆる虚偽・不正・不合理を許さず、一切の生けるものへの愛情を実践する。
- ブラフマチャリヤー(「自己浄化」と訳される)
- 目標
- サティーヤグラハ(「真理把持」と訳される)
- ガンディーの最終目標。真理を把握し、それを社会の中に具現化していく。その手段として要請されるのが、ブラフマチャリヤーとアヒンサーである。
- サティーヤグラハ(「真理把持」と訳される)
- 手段
2.理性主義の見直し
2-2.構造主義
(1)構造主義とは何か?
- 概要
- Ex.働きアリの法則
- 働きアリは集団のうち2割ほどが実際には働いていない。この働いていないアリを取り除いても残りのアリの2割は働くのをやめてしまう。このように働きアリを理解するためには、個体をいくら詳細に観察しても駄目で、役割分担を担っている集団を全体の構造(システム)でとらえる必要がある。
- 構造が個人に先立つ
- 社会とは理性的存在としての個人の総和なのではない。個人を秩序付ける構造が個人に先立つ。
(2)ソシュール
(3)レヴィ=ストロース
- a.野生の思考
- b.文化相対主義
- 文明社会と未開社会には大きな違いがあるけれど、それはけっして優劣の差ではないとうする考え方。未開社会の人たちは、西洋人が考えるように無秩序で非合理的な生き方をしているのではなく、非西洋的ではあるが、論理的な規則に従った生き方をしている。
(4)フーコー 主著『言葉と物』、『監獄の誕生』、『狂気の歴史』
- 規範と服従
- 近代的な<人間>とは、近代社会の諸制度(権力)を通じて作られた、規範へと服従する主体にすぎない。
- ⇒権力の構造/権力と知の結びつきを解明すべし
- ⇒自律的な主体とは実は権力に従う臣下に過ぎず、規範外のものを狂気とする⇒「人間(主体)の死」
- 近代的な<人間>とは、近代社会の諸制度(権力)を通じて作られた、規範へと服従する主体にすぎない。
- フーコーの権力論
- 前近代においては権力者は個人に対して死の権力を用いて社会的な規範を守らせるために死刑などの暴力的手段を取っていた。
- だが近代以降では生の権力と呼ばれる自立訓練型権力により個人に内面的規範を持たせる。監獄・学校・病院などで規律訓練が行われ、人々に自らを理性的存在だと思わせ、道徳的に自立させる。ここでは非理性的事柄を選別し、狂気として排除する抑圧の構造を持つ。
2-3.フランクフルト学派
(1)フランクフルト学派とは
(2)道具的理性
①近代理性:人間を未開状態・野蛮状態・迷妄状態から解放し、人間を世界の支配者へと変える
↓
②人間の内的自然(本能・衝動・感性・感情など)が、不合理・非能率的なものとして排除される
↓
③人間の感性を計算可能・操作可能なものとして扱うようになる
↓
④理性が、いかにしたら巧みな処世と出世が可能になるか思考する単なる道具・手段へと堕落
↓
⑤道具的理性…一定の目的を実現するための手段や道具としての理性。一定の目的に対する手段を判断し、もっとも効率的に目的を達成する方法を計算する。産業社会の利益獲得のためには、ファシズムの侵略政策や核兵器の開発にさえも奉仕する。
(3)フロム
3.科学観の転換
3-1.分析哲学
(1)分析哲学とは
- 概要
- 日常会話や哲学命題を分析し、何を意味しているのかを明らかにすることによって、問題そのものを解消しようとする。
(2)ウィトゲンシュタイン
- ①ウィトゲンシュタイン前期『論理哲学論考』
- 写像理論
- ⇒言語は世界全体を写しだす像である理論。世界は事実の集合体であり、その事実を写しだす言語と事実の間には、一対一の対応関係が成り立つ、とする。
- 「語りえぬものについては、沈黙せねばならない」
- ⇒言葉と現実の事象とは、正しい相応関係を持っているから、神や道徳など現実の事象と対応しないものは、言葉によって論理的に確認することはできない。
- 写像理論
- ②ウィトゲンシュタイン後期『哲学研究』(遺稿)