金月龍之助『雫』(ムービック) の感想

ヴィジュアルノベルを牽引した電波で有名な作品。
原作をやったことないので、メディアミックスの小説で補完。
日常の積み重ねで自己の存在理由を見失った少年が電波っこに赦しを貰う。


主人公の長瀬祐介は、毎日が同じことの繰り返しである日常に辟易しており、それを破壊する狂気を心のどこかで抱いていた。そんな長瀬祐介に訪れたのが、とある事件の調査依頼。生徒会に所属する女の子が発狂してしまったのでその原因を探ることになる。この事件に首を突っこんだのが新城沙織。彼女はバレーに打ち込む体育会系少女であるが、実は退屈な日常にうんざりしており、それを紛らすためにバレーに打ち込んでいると思い込もうとしていた。祐介の狂気を欲する無意識さは、沙織に感じさせるものがあり、沙織は祐介の気を引くために独自捜査を行っていく。


沙織は生徒会会長と接触を図るが、こいつがラスボスだった。幼少のころに両親を亡くし、叔父に引き取られたがうまくいかない。叔父は懐かない会長と妹を疎んじたが、会長は妹のためにささやかな日常の幸せを構築する。しかし、兄のその思いは恋愛感情にまで発展し近親相姦発動。妹は電波の操り手であり、妹と性行為すると電波の使い手となれる。妹を犯し精神崩壊した会長は、その毒電波で女を肉便器として貪り食う。沙織も陵辱されちゃうの。


一方、長瀬祐介は「日常を忌避する」という思考が電波っこに気に入られて、生存理由についての許しを得る。同じことの繰り返しの毎日でもきちんと生きていていいんだよ、大丈夫だよと。そしてセクロス。こうして祐介も電波使いになったよ。陵辱中の会長と電波バトルを繰り広げ勝利。電波っこの妹さんはとっくに兄である会長を赦してるんだと説得し、電波能力で全てを忘れさせカウンセラー。退屈な日常だけど、それって結構すばらしいということで、大切なことは日々の穏やかな幸せということでハッピーエンド。