ラノベ

新海誠『小説 天気の子』(角川文庫、2019年)の感想・レビュー

ヒロイン>セカイ。愛する女の為ならば世界などがどうなっても構わない。 地球の異常気象を安定化できる少女が、セカイの為に人身御供となる。 そんな「人柱」となった少女を救う為、主人公くんは既成の価値規範に抗うのだ。 少年の背中を押すのが、少女との…

夏海公司『ガーリー・エアフォースⅧ』(KADOKAWA、2017年)の感想・レビュー

「少女>世界」。所謂セカイ系しようとした主人公くんが、セカイ系を否定し社会にコミットする話。 当初は愛する少女を永遠のループに嵌めてしまうぐらいなら世界なんて滅んでしまえ!と息巻くが・・・ 少女は何よりも世界平和、地球環境の保全、人類の種の…

夏海公司『ガーリー・エアフォースⅦ』(KADOKAWA、2016年)の感想・レビュー

本作の世界設定が明らかになる話。ポストアポカリプスなナウシカ展開×ループモノだった。 未来の人類は滅亡に際し愚かさを反省。文明レベルを抑える歴史改変システムを過去へ送り込む。 21世紀前半になると歴史改変システムが発動。人類を間引いて資本主義社…

夏海公司『ガーリー・エアフォースⅥ』(KADOKAWA、2016年)の感想・レビュー

世界設定考察系その3。歴史の道標と神の箱庭。現実はシミュレーションのやり直し? 主人公くんたちは「人類を生存させるシミュレーションゲーム」のただのコマ。 もう既に何回も何回も繰り返し、ゲームオーバーを何度も見たことが示唆されている。 「少しで…

夏海公司『ガーリー・エアフォースⅤ』(KADOKAWA、2016年)の感想・レビュー

世界設定考察系展開その2。インベーダーはどこから来たのか問題について。 侵略者は非物理層の存在で、別の層のエネルギー投影が、人間世界に反映されるとのこと。 で、主人公くんは精神攻撃を受けて、現実にはあり得ない自分が望んだ世界を見させられる。 …

夏海公司『ガーリー・エアフォースⅣ』(KADOKAWA、2015年)の感想・レビュー

ヒトではないただの機械兵器である演算装置少女との恋愛観についてのお話。 3巻からゲストヒロイン消費方式でしたが、4巻ではロシアのベルクトが登場。 ロシアは異星人侵略者を呼び寄せる撒き餌としてベルクトを開発。 ベルクトを憐れみ恋人となったロシアの…

夏海公司『ガーリー・エアフォースⅢ』(KADOKAWA、2015年)の感想・レビュー

世界設定考察系展開に突入。地球を守り人類を生存させるために人類を間引いてやろう思想。 侵略者の目的が人類の殲滅ではないことが判明。主人公くんたちに接触してきます。 また侵略者と演算装置少女は表裏一体であり、手段が違うだけだと示唆されます。 故…

夏海公司『ガーリー・エアフォースⅡ』(KADOKAWA、2015年)の感想・レビュー

役割分業(人間が操縦、ヒロインがレーダー/火器管制を担当する)の優位性を示す話。 軍用機ヒロインズの集中運用が始まり、徐々に兵力が集まっていく小松基地。 2巻では衛宮切嗣よろしく人類70億救済の為なら日本人1億2千万は死ねヒロイン登場。 一方、異星…

夏海公司『ガーリー・エアフォース』(KADOKAWA、2014年)の感想・レビュー

人間の女の子の形をした演算装置が突如発生した異星人?の侵略者と航空戦で戦う話。 『ガンパレ』『マブラヴオルタネイティヴ』よろしく突如人類の危機となり戦時下へ突入! 2019年になってもセカイ系は健在でヒロインと主人公の関係性が世界の危機に直結す…

大槻涼樹・虚淵玄『沙耶の唄』(講談社、2018年)の感想・レビュー

クトゥルーやカニバリズムで有名な『沙耶の唄』。 設定が『火の鳥』復活編っぽいなと思っていたら、作中で言及されていた。 惑星外生命体の支配種層の乗っ取りは『レベルE』が彷彿とされた。 15年前にPC版をやるべきだったな・・・。 メモ 概要 主人公くんは…

内田弘樹『ミリオタJK妹!3』(GA文庫、2018)の感想・レビュー

第二巻は決戦前夜!というラストで終わったのですが・・・まさかの三巻で打ち切り!! イラストも表紙絵1枚の他にモノクロ2枚しかないという、何があったんだ状態。 三巻では唐突に出て来たエルフ国が、ナチス=ドイツを模した国であるという怒濤の展開。 他…

内田弘樹『奴隷エルフ解放戦争』(フランス書院、2018)の感想・レビュー

古代ローマ風の世界観においてスパルタクスの乱よろしく剣奴たちが反乱を起こす。 各都市の奴隷たちを結集し、鎮圧軍を蹴散らしながら、エルフを故郷に返すことが目的。 攻略対象はツンデレの姫騎士。くっころはなく凌辱もハーレムもなく、ピンヒロインとイ…

森見登美彦『ペンギン・ハイウェイ』(2010年、角川書店)を読んだ。

図書館で借りた。 世界の歪みを修理固成するお姉さん(世界五分前仮説)が世界を修復する話。 お姉さん自身は、自分が「世界の歪みの修復者」だとは認識していない。 主人公のアオヤマくんが世界の謎を解き明かすが、世界修正の完了はお姉さんとの別れをも意味…

「あの日のポケモン緑 1996夏〜1997夏」

1996年2月27日、初代ポケモン(赤・緑)が発売されると、じわじわと子どもたちの間に広がっていき、ついには大流行を巻き起こした。97年春にはポケスペやアニポケなどのメディアミックス展開も起こり、5月には第1回ポケモンリーグ ニンテンドウカップ97のルー…

長田信織『数字で救う!弱小国家2』(KADOKAWA、2018)の雑感

図書館で借りた。良くある異世界転生モノの一つ。能力がありながらも不遇な境遇にある主人公くんが環境を変えたら大活躍。 異世界転生パターンは同じでも、扱っている題材が数学・数字であり、その点で他の作品と差別化できている。 「専門知識を噛み砕いて…

内田弘樹『ミリオタJK妹!2』(SBクリエイティブ株式会社、2018)の感想・レビュー

レジスタンスVS傀儡政府の同民族間の殺し合いの悲哀を描いた作品。 ヴィシー政府の対独協力者が連合国勝利後、見せしめとして弾圧されたことが彷彿とされます。 同著者の『シュヴァルツェスマーケン』とは違い、エンタメ的なノリが強いので、コンビーフエン…

内田弘樹『ミリオタJK妹! 異世界の戦争に巻き込まれた兄妹は軍事知識チートで無双します』(SBクリエイティブ株式会社、2018)の感想・レビュー

妹はミリオタの皮を被った旧共産圏の殺戮マシーン少女兵器。自己の存在証明のために戦闘兵器となるガンスリ。 「詰んでる」ジリ貧消耗戦を謳う割にはお気楽ご都合主義ハーレムエンド。悲壮感はなくサブタイ通りに無双展開です。 人的資源の消耗や夜間無差別…

内田弘樹『ミリオタJK妹! 異世界の戦争に巻き込まれた兄妹は軍事知識チートで無双します?【立ち読み版】』の感想・レビュー

HoIのAAR読んでいるような感じ。粗製乱造された異世界転生モノの「お約束」をメタった上で現代兵装とドクトリンが輝きます。 近世国王主権期のファンタジー世界に異世界転生。ジリ貧消耗戦を軍事知識でひっくり返すことでカタルシスを得ることに成功。 近世…

白鳥士郎『りゅうおうのおしごと!』(1)〜(7)(SBクリエイティブ株式会社)の感想・レビュー

ネット依存プロ棋士はエゴサしてすぐ精神崩壊するけど少女を弟子にすることで将棋への情熱を取り戻すの。 挫折しては立ち上がる登場人物たちがステキ。 下ネタギャグが飛び交う軽いノリのコミカルなコメディの一方で、将棋を通して重厚な人生観や挫折経験を…

カルロ・ゼン『幼女戦記9』(KADOKAWA、2018年)の雑感

大まかな内容 大衆による革命/軍部によるクーデタ前夜というはなし。レルゲン大佐ゲー。濃いオッサンたちが苦悩する姿が魅力的。 東部戦線から後方へと舞い戻ったデグレチャフさん。総力戦体制により疲弊していく銃後を見せつけられる一方で、プロパガンダ…

すかぢ『幼女さまとゼロ級守護者さま』(GA文庫、2017年)の感想・レビュー

主人公くん無能力系学園異能バトル。勿論無能力は評価システムギミックなだけであって俺TUEEEEです。 視点交換ザッピングギミックにより途中までウザキャラを演じている道化師が本物の主人公。 とてもよくウザさが表現されており、あまりにも露骨なため、読…

枯野瑛『終末なにしてますか?もう一度だけ、会えますか?♯05』(角川スニーカー文庫、2017年)の雑感

搾取の上に成り立つ平穏を無意識に享受する罪を罰せよ!がテーマなラノベ。 主人公くんが求めるのは全種族の公平な罪の負担。全ての者が罪を贖えと願う。 その具体的な手段が、存在を知る全てのものを洗脳・動員する異能兵装。 シナリオの内容としては、登場…

裕時悠示『29とJK』(SBクリエイティブ株式会社、2016)の感想・レビュー

オッサンがJKに惚れられてフラグをへし折ってあげる所までは非常に面白いと思う。 おじさん向け90年代サブカル懐古厨的パロディテキスト満載俺TUEEE系現場主義労働社畜肯定論な作品。 作中で提示されているように評価の高い作品を分解して取り出した諸要素を用いて…

枯野瑛『終末なにしてますか?もう一度だけ、会えますか?♯02』(KADOKAWA、2016)の感想・レビュー

『すかもか』の2巻は死霊兵器少女がその種族に埋め込まれた無意識的な本能に従い自我が芽生えぬままにメガンテする話。 一部の人間に汚れ仕事を押し付けることを当然だと思う支配階級の傲慢さに革命精神を抱かせます。 主人公くんが死霊兵器少女の解放を決意…

枯野瑛『終末なにしてますか?もう一度だけ、会えますか?♯04』(KADOKAWA、2017)の感想・レビュー

本当は長持ちするはずの死霊兵器少女が、使い捨てにされる理由が、明らかになるはなし。 その理由とは、かつて巨大な軍事力となる成体死霊兵器少女が殺戮に使われたからだった。 以来死霊兵器少女は消耗品として「調整」されるようになっていった。 さらに外…

枯野瑛『終末なにしてますか?もう一度だけ、会えますか?♯03』(KADOKAWA、2016)の感想・レビュー

大義の為に世界を滅ぼそうとした主人公くんが単なるエゴでしかないことに気づく話。 そして自分のためでなく愛する女のために世界を滅ぼそうとするのであった。 一方で主人公くんが愛する女は、自分を救ってくれようとする主人公くんを止めようと決意する。 …

枯野瑛『終末なにしてますか?もう一度だけ、会えますか?♯01』(KADOKAWA、2016)の感想・レビュー

「世界なんて滅びればいいのに」と願った主人公くんが世界を滅ぼすために画策するはなし。 主人公くんは尊敬する義兄が世界の為に自分の命を懸けて死んだので、自己犠牲を何よりも嫌う。 そんな主人公くんが、仲間たちのために命を散らそうとする死霊兵器た…

枯野瑛『終末なにしてますか?忙しいですか?救ってもらっていいですか?』01〜05・EX(KADOKAWA 2014〜2017)の感想・レビュー

挫折系主人公くんモノ。終焉を迎えつつあるセカイで死霊兵器少女との交流に人生の意義を見出して死ぬはなし。 01〜03までは死霊兵器少女クトリちゃんが主人公くんに生き甲斐を見出し、充足した生活を送った後、メガンテする。 04〜05は中二系セカイ設定伏線…

ラノベ版『幼女戦記』(KADOKAWA)をとりあえず7巻まで読んだ。

近所の本屋で漫画版『幼女戦記』を立ち読みしてそのまま売ってるラノベ全部買って読み終えた。 世界大戦を題材にした異世界転生架空戦記でパラドゲーのHoIのAAR読んでるような感じ。 元人事部リーマンが「人的社会資本」を唱えながら戦場で部下たちに教育を…

『幼女戦記』を買った話

今はやりの異世界転生に性転換(幼女)と架空戦記(第一次世界大戦)だろう?アニメ化してるから話題なんだろうけど何番煎じだよ?とか思って軽い気持ちで立ち読みしたら、あら大変。世界史及び社会科学系ネタ満載で軍事や世界背景の伏線がしっかりと描かれて…