BS特集 シリーズ 中国・庶民の改革開放30年 第2回「取り残される農民たち〜革命の聖地 延安〜」の感想メモ

中国の農村経営の杜撰さを描く。
かつては人民公社により農村経営が行われていたが、改革開放の波で農地請負制(生産責任制)になった。余剰農産物の販売が可能になったが、様々な問題は露出した。なかでも、当局の政策がコロコロと変わり役人の腐敗と汚職に左右されることであった。ここで紹介されていたのが共産党が土地の使用権を競売にかけるというもの。大規模で集約化した合理的な農業のためには広い農地が必要だが、富裕農民の独占により下層農民の反発が激しく3年で失敗。土壌流出の洪水により「退耕還林」の政策がとられ開墾した農地も元に戻ってしまった。家畜の放牧も禁止されビジネスは転座。石油の個人発掘の奨励は、あとから政府が国有化で乗っ取る。結局、改革開放で成りあがろうとした農民も時流に乗れなかった農民も出稼ぎに出ざるを得ず、農業を捨てた者が社会的出世を遂げた。成功者は勉強や努力の自力救済で伸し上がり、社会的弱者なのは怠惰である自己責任だという理論がまかり通る中、もともと成功者は縁故や権力などによりスタート地点が違い、再生産を生んでいるという能力主義の逆説。改革開放は農村に貧富の格差と官僚の汚職と腐敗をもたらしただけであった。