一 新学習指導要領の下での世界史の役割
- 平成21年3月9日、新学習指導要領告示→平成25年度入学者から新教育課程
- 世界史は引き続き地理歴史科の必履修科目
- 「各時代において世界と日本を関連付けて扱うこと。また地理的条件とも関連付けるようにすること」(「内容の取扱い」)
- →世界史は地理歴史科の総合科目としての責務
二 世界史Aの改善事項
(一)目標
新学習指導要領世界史Aの目標
近現代史を中心とする世界の歴史を諸資料に基づき地理的条件や日本の歴史と関連付けながら理解させ、現代の諸課題を歴史的観点から考察させることによって、歴史的思考力を培い、国際社会に主体的に生きる日本国民としての自覚と資質を養う。
- 今次の改定の変更点
- 「諸資料に基づき」
- 年表、地図等の諸資料の活用を通して世界の歴史を理解することで、知識基盤社会と言われる今日の構造的変化に対応していくための思考力、判断力、表現力等の育成を図ることをねらい
- 「地理的条件や日本の歴史と関連付けながら理解させ」
- 地理、日本史との関連性をより一層重視した内容構成を図ることを目指している
- 「日本国民」
- 改正教育基本法の表現に合わせて「日本人」の表記から変更
- 「諸資料に基づき」
(二)内容
世界史Aの内容は、以下の項目構成となる
(1)世界史へのいざない
ア 自然環境と歴史
イ 日本列島の中の世界の歴史
(2)世界の一体化と日本
ア ユーラシアの諸文明
イ 結び付く世界と近世の日本
ウ ヨーロッパ・アメリカの工業化と国民形成
エ アジア諸国の変貌と近代の日本
(3)地球社会と日本
ア 急変する人類社会
イ 世界戦争と平和
ウ 三つの世界と日本の動向
エ 地球社会への歩みと課題
オ 持続可能な社会への展望
- 内容上の改善点
- 「(1) 世界史へのいざない」新設される
- 生徒の生活経験や中学校までの学習経験を踏まえて実施することで、地理と日本史への関心を高め、世界史学習の意義に気付かせる
- 近現代史の学習を一層重視
- 従前、大項目であった前近代史の内容を中項目「ア ユーラシアの諸文明」とし、大項目「(2) 世界の一体化と日本」の中に組み込む
- 主題を設定させ探究する学習を設定
- 「(3) 地球社会と日本」の「オ 持続可能な社会への展望」を設け、諸資料の活用、論述、発表などの総合的な活動を通して、言語活動の充実を図るとともに、持続可能な社会の実現を展望させることを目指す
- 「(1) 世界史へのいざない」新設される
(三)内容の取扱い
年表、地図その他の資料を積極的に活用したり、文化遺産、博物館や資料館の調査・見学を取り入れたりするなどして、具体的に学ばせるように工夫すること。
- 知識・技能の習得とともに、それらと思考力・判断力・表現力とのバランスを重視する
- そのために、多様な資料の活用が不可欠であり、博物館や資料館の調査・見学を取り入れるなどの工夫が期待されている
(主題を設定しての)学習の実施に当たっては、適切な時間を確保し、年間指導計画の中に位置づけて指導すること。
- 各教科各科目とも、批評、論述、討論などの学習活動を通して言語活動の充実を図る
- そのため、世界史では、主題を設定しての学習の充実が図られるようになった
- その実施に当たっては、適切な時間を確保するとともに、年間指導計画の中に位置付けて指導することが求められている