歴史教育-文献

勝山元照「新しい世界史教育として「歴史総合」を創る―「自分の頭で考え、自分の言葉で表現する」歴史学習への転換」(『岩波講座 世界歴史1』岩波書店、2021年、307-324頁)

本稿の主旨 歴史教育の転換にあたって、日本学術会議が提唱した「日本史と世界史の統一」と「思考力育成型授業への転換」という二つの難題について、神戸大学附属中等教育学校(神大附)が、「主題的単元史学習」として開発した「歴史総合」実践を基に、見解を…

中山拓憲「神奈川県における高大連携と授業実践-研究と授業をつなぐ試み-」(『歴史と地理』第704号、山川出版社、17-26頁)

概要 はじめにー教員の多忙化と授業準備について 授業準備 アクティブラーニング型授業等、生徒が主体的に取り組む授業を実践するための準備に時間がかかる。 生徒に、歴史の事実に気づかせたり、解釈させたりするためには、問いを解くための資料が必要であ…

奥村暁「「歴史総合」に向けての実践-神戸大学附属中等教育学校における「歴史基礎」の試み-」(『歴史と地理』第699号、2016年11月、16-25頁)

文章の概要 はじめに 趣旨 文部科学省の研究開発指定を受けて「歴史基礎」の研究開発に取り組む神戸大学附属中等教育学校の実践事例の紹介 一 「歴史基礎」という名の「鵺」 新設される「歴史総合」のための研究開発科目「歴史基礎」の目的 日本史と世界史の…

青木一真「国際バカロレア教育の手法を取り入れた授業 英語によるWorld Historyと日本語による日本史B」(『歴史と地理』691、世界史の研究246、山川出版、2016年2月)

概要 平成27(2015)年に国際バカロレア機構から認定を受け、国際バカロレア・ディプロマ・プログラムを実施する初の公立校となった東京都立国際高等学校の取り組み。 IBの教育手法を取り入れた「World History」 の2つの実践例→「模擬国際交渉」と「史・資料…

桃木至朗「世界史・日本史の統合と歴史的思考力」(『世界史のしおり 2016年度1学期号』帝国書院、2016年4月、pp.14-16)

概要 2017年度に公布予定の次期学習指導要領や新入試(いわゆる2020年問題)に際して教員に求められるものは何かを説く。現場の指導者には授業内容を自分で組み立てる力が求められる。単なる過去の集積ではなく、解釈・討論・判断するすべを身に付けさせる。ア…

畑尻麻紀「生徒の問いから始める教科横断型授業の試み‐IB調査研究・SGH校の実践として」(『歴史と地理』694、世界史の研究山247、川出版社、2016年5月、pp.16-26)

概要 札幌聖心女子学院における近現代オスマン帝国史の取り組みが紹介されている。必修授業ではなく高3数十名に対する選択の世界史授業である。タイトルが「教科横断の試み」とあることからも分かるように、音楽・文献講読・小説・映画・家庭科と様々な視点…

原田智仁「主題学習再考 ―世界史学習論の批判と創造(2)―」社会系教科教育学会『社会系教科教育学研究』第12号 2000(pp.1-8)

1 問題の所在 問題意識と問題設定 主題学習は1999年版学習指導要領で充実。だが主題学習は1960年版の登場以来70年前後が現場の研究と実践の頂点であり形骸化が進んでいた。 ではなぜ今主題学習か?、その背景は?、60年版のものと同じか?、同じならどのよ…

石井寛治「戦後歴史学と世界史 ―基本法則論から世界システム論へ―」歴史学研究会編『戦後歴史学再考』青木書店 2000年 29-71頁

はじめに 本稿の目的 「戦後歴史学」において「世界史」がどのように扱われてきたかを跡付ける 現時点において「世界史」の把握の仕方を歴史家としてどのように考えるべきかを述べる 本稿における「戦後歴史学」の定義 戦後民主主義の精神に立って歴史を研究…

鳥越泰彦「世界史未履修問題を考える」『学術の動向』2008.10

1. はじめに 受験教育と地理歴史教育の問題 2006年秋「世界史未履修問題」の発生 →履修漏れは全高校のたった一割 →どの程度履修漏れしたかではなく、何を意味するのか検討することが大事 「世界史未履修」の学校の大半は進学校、生徒の「受験に関係ない科目…

上原専禄『日本国民の世界史』岩波書店 1960年

まえがき 本書の目的 われわれ日本国民が明日への生活をどう生きるかという問題に面して、日々の行動を支える生活意識を確立したいという願いにもとづいて、世界史像の形成を試みた 国民の課題として生活意識・歴史意識の確立と深化がある 学校教科書として…

鳥越泰彦「世界史教育の何が問題なのか?」青山学院大学教育学会紀要「教育研究」第49号 2005 49-61頁

1.はじめに 本稿の目的 日本における高校世界史教育の現状とその問題点を整理する 本稿の手段 世界史教育の内容と方法を分けた上で、さらにそれぞれの現状と課題について分析を加える。 世界史教育の内容と方法とが必ずしも分かれないが、それでもなおこのよ…

樺山紘一・木下康彦・遠藤紳一郎編『世界史へ 新しい歴史像をもとめて』山川出版 1998年

本書の構成は、Ⅰ章で世界史というものを構成する方法論が述べられており、Ⅱ章で学校教育において世界史教育がどう展開されてきたかが分析されている。そして、Ⅲ章では世界史をどのように教えたらよいかについて新しい視点・素材・方法が提示されており、Ⅳ章…

南塚信吾「世界史は動いている」歴史学研究 第850号 30-39頁

Ⅰ 世界的な「世界史」を求める動き アメリカ WHA(1982年結成) アメリカにおける世界史学会。中等・高等教育の場でナショナル・ヒストリーやリージョナル・ヒストリーから、クロス・カルチャー的、比較史的、そしてグローバルな歴史の見方が求められたことを…

豊島宏「歴史教育論攷 ― 歴史教育における「主題学習」について ―」松山大学論集 第15巻 第1号  69-127頁

Ⅰ はじめに この論考のねらい;「今回の(平成11年)改訂での充実した「主題学習」を歴史教育の目標達成の要として位置づけ、歴史教育の本質を希求する現場の教師としてこれを定着させることを切望して研究の一端を提示する」 今回の指導要領の改訂で「主題学…

鈴木亮『日本からの世界史』大月書店 1994年

第一章 世界をどうみてきたか 日本人の世界観としては入欧脱亜、興亜対欧、それらに対するもう一つのものがある。入欧脱亜の思想についていえば、日本では世界といえば西洋のこととなる。世界は大国・強国だけを意味し、小国は眼中にない。世界=外国=西洋…

文部科学省『高等学校学習指導要領解説 地理歴史編』(実教出版 1999年初版 2007年一部補訂5版)における主題学習に関する叙述の分析

改訂の経緯と主題学習 平成11年の解説には改訂の要因となった社会的背景について以下のように述べている。「今日、国際化、情報化や、科学技術の発展、環境問題への関心の高まり、少子高齢社会の到来など、社会の状況が大きく変化する中で、21世紀を生きる人…

鳥山孟郎「授業が変わる世界史教育法」青木書店 2008年

第一章 "教え方"ではなく"学び方"から考える 1 生徒の疑問「何のために歴史を勉強するの?」 高校の生徒は学習意欲に欠ける。学習するための動機付けが受験にしかない。受験科目以外は勉強しない。受験しない生徒は勉強しない。教師は授業を聞かせるため様々…

平成元年告示高等学校学習指導要領の解説;『高等学校学習指導要領解説 地理歴史編』(実況出版 1989年12月) における世界史主題学習の分析

改訂の背景と主題学習への影響 改訂の背景 平成元年に改訂された学習指導要領の社会的背景について、第1章総説第1節改訂の趣旨「1 改訂の経緯」では「今日の科学技術の進歩と経済の発展は、物質的な豊かさを生むとともに、情報化、国際化、価値観の多様化、…

学習指導要領解説における主題学習についての叙述の分析 昭和53(1978)年版の解説

学習指導要領解説における主題学習 高等学校学習指導要領解説における主題学習の取扱いについて、その変遷を分析する。それにより主題学習が、どのようなねらいのもとで設置されたのかを明らかにする。 対象とする学習指導要領解説は、主題学習が公的に導入…

昭和45(1970)年告示高等学校学習指導要領の解説:『高等学校学習指導要領解説 社会編』(大阪書籍 1972年5月)

学習指導要領解説における主題学習 高等学校学習指導要領解説における主題学習の取扱いについて、その変遷を分析する。それにより主題学習が、どのようなねらいのもとで設置されたのかを明らかにする。 対象とする学習指導要領解説は、主題学習が公的に導入…

昭和35(1960)年告示高等学校学習指導要領の解説:『高等学校学習指導要領解説 社会編』(好学社 1961年初版 1963年4版)

学習指導要領解説における主題学習 高等学校学習指導要領解説における主題学習の取扱いについて、その変遷を分析する。それにより主題学習が、どのようなねらいのもとで設置されたのかを明らかにする。 対象とする学習指導要領解説は、主題学習が公的に導入…

昭和45(1970)年告示高等学校学習指導要領の解説:『高等学校学習指導要領解説 社会編』(大阪書籍 1972年5月)

学習指導要領解説における主題学習 高等学校学習指導要領解説における主題学習の取扱いについて、その変遷を分析する。それにより主題学習が、どのようなねらいのもとで設置されたのかを明らかにする。 対象とする学習指導要領解説は、主題学習が公的に導入…

昭和35(1960)年告示高等学校学習指導要領の解説:『高等学校学習指導要領解説 社会編』(好学社 1961年初版 1963年4版)

学習指導要領解説における主題学習 高等学校学習指導要領解説における主題学習の取扱いについて、その変遷を分析する。それにより主題学習が、どのようなねらいのもとで設置されたのかを明らかにする。 対象とする学習指導要領解説は、主題学習が公的に導入…

昭和45(1970)年告示高等学校学習指導要領の解説:『高等学校学習指導要領解説 社会編』(大阪書籍 1972年5月)

学習指導要領解説における主題学習 高等学校学習指導要領解説における主題学習の取扱いについて、その変遷を分析する。それにより主題学習が、どのようなねらいのもとで設置されたのかを明らかにする。 対象とする学習指導要領解説は、主題学習が公的に導入…

昭和35(1960)年告示高等学校学習指導要領の解説:『高等学校学習指導要領解説 社会編』(好学社 1961年初版 1963年4版)

学習指導要領解説における主題学習 高等学校学習指導要領解説における主題学習の取扱いについて、その変遷を分析する。それにより主題学習が、どのようなねらいのもとで設置されたのかを明らかにする。 対象とする学習指導要領解説は、主題学習が公的に導入…

茨木智志「「社会科世界史」はどのようにして始まったか」『歴史学研究』859号 青木書店 2009年 182-191頁

はじめに 本報告の課題 1949年4月に実施された「社会科世界史」がどのように始まったのかを現時点で確認できる範囲で提示し、その特徴を考察すること 世界史教育追求しているのは高校「世界史」のみ 小学校 1881年以来、世界史(外国史)を排除して日本史の…

ヴォルフガング・シュヴェントカー「グローバリゼーションと歴史学 ―グローバルヒストリーのテーマ・方法・批判―」『西洋史学』 No.224 2006年 1-17頁

Ⅰ グローバルヒストリーというテーマについて歴史家たちのもつ「見解」は人によって全く異なる 意見の一致があるとしたら、「グローバリゼーション」と「グローバルヒストリー」が密接なつながりがあることについて G・A・ホプキンズによる問題状況の2つの集…

宮崎正勝「中等社会科教育における主題学習とエクセムプラリッシュ方式」教育実践研究指導センター紀要(北海道教育大学14)1995年

<論文概要> 「知識偏重の教育に対する批判が高まる中で、中等社会科教育においては、主題学習・事例学習が重視されるようになってきたが、系統学習とそれらの学習法との関係が十分には整序されておらず、その意義づけも不明確である。ドイツにおける高等学…

田尻信壹「新学習指導要領世界史の実施に向けて(1)―世界史Aはどのように変わったか―」中等教育資料 平成21年7月号

一 新学習指導要領の下での世界史の役割 平成21年3月9日、新学習指導要領告示→平成25年度入学者から新教育課程 世界史は引き続き地理歴史科の必履修科目 「各時代において世界と日本を関連付けて扱うこと。また地理的条件とも関連付けるようにすること」(「…

主題学習構成案2 「モノ」を窓口とした世界史の授業構成 ―「砂糖入り紅茶」を窓口とした近代世界システム―

1.学習対象の決定 平成11年版学習指導要領「世界史B」内容(4)「諸地域世界の結合と変容」に依拠 (1)「諸地域世界」とは何か 平成11年版学習指導要領から「文化圏学習」が消滅し「諸地域世界」となった。つまりは、前近代の世界においてはそれぞれの地域が独…