蒼の彼方のフォーリズム 第四話「わたしだって、戦いたい」の感想・レビュー

第四話はうどんちゃんこと真白回です。「自己否定感と劣等意識」が主に扱われています。
憧れの先輩みさきちに釣られてフライングサーカスを始めることになった真白の心情変化がみどころです。
操縦が難しい真白を理解するために主人公くんはモンハンでコミュニケーションをはかります。
苦手なゲームにチャレンジする主人公くんは「教わる側」の気持ちを知ったのでした。

第四話の概要

  • 自己否定感と劣等意識
    • うどん屋の娘でゲーマーの真白はもともと自ら望んで部活に加入した分けではありませんでした。憧れのみさきちの入部に伴い、金魚の糞のように着いてきただけです。そのためセンスも練習への取り組みの熱意も他の部員と比べるとイマイチな様子。第三話の合宿編では練習試合の様子も1クリックで飛ばされたほどです。そんな真白でしたが、合宿後の練習中に怪我をしてしまいます。そんな真白との距離感をつかみあぐねる主人公くん。例えるなら、成績をあげたいと願う生徒たちに勉強を教える場合には伝達技術に長けていればよいのに対し、ただ何となく無為に塾に入っちゃった系の生徒を相手にする感じです。馬を水辺に連れてくることは出来ても水を飲ませることはできない。それでも主人公くんは真白の気持ちを理解するために奮闘します。その際、真白から提示されたコミュニケーション手段はモンハンでした。主人公くんは、自分は苦手だけれども、真白が好んでプレイしているピコピコゲームにチャレンジしていくことになったのです。当初、主人公くんはキャラを動かすことすらままならず歯がゆい思いをしていきます。しかしながら、この状態は部活における真白の状況と全く同じだったのです。真白は頑張ってもなかなか上達せず少し嫌気がさしている部活動への思いを主人公くんに分からせようとしていたのです。しかしながら主人公くんは苦手なものでも少しずつ頑張り克服していきます。その姿は真白の心をうちます。また主人公くんは主人公くんで、「教わる側」の立場の気持ちを理解していくようになります。こうして主人公くんは真白が抱いていた自己否定感と劣等意識を共感することができ人間関係を構築することに成功したのでした。


  • 主人公くんの転機
    • 第四話は主人公くんが周囲との人間関係に一歩踏み込もうとする重要な回でもあります。真白に「情熱がない」と揶揄されたように、以前の主人公くんは諦念を受け入れて達観し、表面上の人間関係に始終していたのですね。しかしながら明日香に感化された主人公くんは一筋縄ではいかない個性的なヒロインズたちの育成に本気で取り組むにあたり、表面的な指導だけでは対応できなくなっていくのです。みさきちは気分屋で部活ではやる気を見せないかわりに、合宿でフルボッコにされた悔しさを心の中で滾らせており陰で無茶な特訓を積んでいます。また真白は上記でも述べたように自己否定感と劣等意識に苛まされているのです。主人公くんはヒロインズたちと接していくなかで、格好悪くても辛くても弱い自分をさらけだす強さを身につけていきます。具体的には、師匠から言われた「お前はムチャクチャ負けず嫌いだよ。負けたくないから興味を持たないようにしているだけだ」との台詞に表現されています。負けたくないから興味を持たないようにしていた主人公くんが、負けて恥かいてださくて格好悪くてもいいから取り組んでやろうと思うようになるのです。こうして主人公くんは表面的な付き合いをやめ、その人間関係の構築にあたり内面へと踏み込んでいくことなりました。