マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝 2nd SEASON -覚醒前夜- 第8話「強くなんかねーだろ」の感想・レビュー

周囲から要請される社会的役割に押しつぶされ精神崩壊した少女たちの話。
メインは鶴乃回。仲間が死んでも自分は無力であったことから必要とされたがり始める。
自分が他人から必要とされるには、他人から必要とされる自己を演出する必要がある。
それ故、鶴乃は明るく元気で最強な自分を創り出したが、無理な振る舞いは長くは続かない。
結局鶴乃は自滅することになり闇落ちしたのである。
一方やちよもホントウは鶴乃を理解していないと知りながらそれを自覚することを拒んでいた。
だからこそ鶴乃の解放に失敗したのが、それをいろはが支えることで立て直すことに成功。
鶴乃の本質を理解したやちよは仲間に支えられ、今度こそ鶴乃を解放する。
マミさんの問題も本質的には同じであり、まどかとコネクトした美樹さやかにより解放された。

行き過ぎた他者受容願望 強い自分の演出

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  • 他人に必要とされることでしか自分を証明できない
    • 今回は鶴乃回。明るく元気で最強な魔法少女鶴乃の心の闇に迫ります。鶴乃が普段表に出している自分は全て計算された演技であったのです。鶴乃の演技による人格はやちよの過去とも繋がっていました。やちよと鶴乃はかつて別のメンバーとパーティーを組んでいたのですが、そのうちの一人メルが死亡します。その戦闘に鶴乃は参加できずに自分を追い込むのですが、心優しいメンバーたちは誰も鶴乃を責めなかったのです。しかしそれは鶴乃は役立たず、いてもいなくてもどうでもよいという思考に追い込むことになってしまいます。またメルの死を契機にパーティーは崩壊し、メンバーは自分から離れて行ったため、鶴乃は無価値である自分に絶望したというわけです。以来鶴乃は自分が必要とされることに執着し始めます。他人から必要とされる鶴乃の人物像、それが明るく元気で最強な鶴乃だったのでした。こうして鶴乃は演技を始めたのですが、次第に精神は摩耗していき、最終的にぶっ壊れてしまったのです。そんな鶴乃のトラウマを理解せず、やちよが最強である鶴乃を求めたため、コネクトが拒絶されたというオチ。
    • 一方でやちよもまた精神崩壊。やちよは薄々鶴乃の本質に気付いていたのですが、それを自覚することは自分が仲間の事を何も知らないと認めることに繋がります。だからこそ強引にコネクトしようとしたのですが、案の定上述した通りはじかれてしまったのです。さすれば、やちはは自分が仲間の事を何も分かっていないのだという現実に襲われることになるのは必定。精神崩壊待った無し。それを救うのがいろはであり、フェリシア。いろはの唱える「弱さの肯定」が皆を救います。私たちは弱いから繋がりましょうは結構グッときました。旧やちよファミリーの生存者たちも応援に駆け付け、大団円で鶴乃を解放します。鶴乃の心象世界でメルが手を振って別れを告げ、新たにフェリシアとさながやってくる演出は感動的。

 

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  • まどかたちサイド
    • 一方、マミさんサイドは直接的な描写はなされませんでしたが、マミさんが抱えている問題も鶴乃と類似していたことが匂わされています。周囲から求められる社会的役割としての自分に囚われてしまったというオチ。そんなマミさんを救うのが、原作では何をしても闇落ちしてしまう美樹さやかだったということは、さやか自身の救済にも繋がったことでしょう。ワルプルギスの夜問題もマギレコで解決するのかなと思っていたのですが、まどかたちは友情出演的な扱いで、いろはたちの街の問題が解決すればワルプルギスの夜は見滝原に来てしまうということで、彼女らの運命は変えられそうにもない方向になります。せっかく美樹さやかやマミさんが呪縛から解放されたのに、これから原作のような運命を辿るかとおもうと不憫だ……
    • そしていろはたちは最終決戦へ。ようやく当初からの目的であったいろはの妹であるういの問題の核心に辿り着きました。いろははどのようにしてういを取り戻すのか、黒江も闇落ちしたことを考えると、どのような展開になるのか?とドキドキしていたのですが、何か3期に続く模様。

 

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マギレコ感想セット