【感想】学園アイドルマスター「バズっちゃお!」を読んだ。

Pがいない世界線では救われる可能性が低い麻央と清夏は相互救済の対象となるか?という話。
麻央は王子様に憧れ男役にコダワリ続けていたため芽が出ずそのまま沈んでいくだけであった。
清夏は足の怪我のイップスに加えリーリヤに応えられないことがプレッシャーとなり闇落ちした。
そんな二人は親愛度・SSR世界線ではPに救われるのだが、イベスト・サポカ√にPはいない。
他のキャラたちはPがいなくても(それなりに)救われたが、この二人は救済が困難だと思われた。
だが今回はそんな麻央と清夏が結び付くことにより、救済の兆しが表れ始めた。
麻央の王子様キャラが清夏の動画でバズって話題を生み、清夏にも麻央になら心を開けると期待する。
いやマジでこの二人はバッドエンド直行フラグまっしぐらだったので、救われて欲しいと思う。

麻央と清夏の相互救済という可能性

麻央先輩をおちょくった挙句、許可を得ず撮影し、あまつさえSNSにアップする清夏

学マスのシナリオの基本路線は「少女救済」。アイドルを目指しているが様々な問題を抱えている少女たちと出会い、共に困難を乗り越えることで絆を深めていく展開になっている。だがそれは親愛度・SSRの世界線の話であり、イベスト・サポカではPにスカウトされていない(と思われる)世界線が描かれている。もちろんPがいなくても自助努力である程度は将来に救いがもたらされそうなヒロインたちもいる。ことねの金銭問題は莉波が補助金助成金などの支援策を提案するし、美鈴と佑芽は星南のプロデュース対象となるし、千奈は会長の後継者として育てられる。莉波はアイドル以外の進路を多方面に考えているし、何ならアイドルが終わった後の芸能界での立ち位置も見据えているし、何より千奈とスールの契りを結んだことにより「あねぢから」に覚醒して奮起する。こんな風にPと出会わなくても最良とは言えないが最善のエンドを迎えそうなシナリオが提供されているのだ。
 

勝手に撮影した動画でバズる清夏

だが麻央と清夏はPがいないと根本的な問題が解決されない為、サポカ・イベストは暗い雰囲気が漂っていた。王子様に憧れる麻央は男役にコダワリ続けており、さらには舞台でキラキラして賞賛を浴びるという夢想を捨てられず一瞬でもいいから輝きたいという刹那的な暗い願望を抱いていた。だが第二次性徴により女性らしくなってしまった麻央は子役時代のような中性的魅力が減退し需要を喪失したのであった。そんな中、Pは麻央にカッコイイとは何かという本質を説くことで問題の解決を図る。つまりは「カッコイイ」とは「心の所作」であり、麻央が世間的に評価される「カワイイ」属性の中でも「カッコイイ」は表現できると説く。こうして麻央は新たにカッコカワイイ自分に昇華をすることができ、救済がもたらされるのだ。そのためPがいない世界線では、永遠に表面的なカッコイイにコダワリ続けることになり、サポカ「そろそろ焼けたかな?」では高3の秋になってもまだ迷っている状態を自己憐憫する姿が描かれることになった。
 

麻央先輩の不意打ちにトゥンクする清夏

一方で清夏は二つの問題を抱えていた。一つ目が足の怪我のイップス、二つ目がリーリヤ・プレッシャーであった。清夏は一流のバレリーナであったが足を怪我してしまった。そのためイップスとなり、ダンスレッスンで思うように踊れず、PTSDを発症してしまう。清夏はそれを誰にも相談できず、ギャルの振りをしてサボっているようにカモフラージュすることしかできなかった。さらにイップスを乗り越えたとしても、リーリヤ・プレッシャーが立ちはだかる。清夏はリーリヤと一緒にアイドルになろうねと約束し、北海道から津軽海峡を越えて遠い内地へと上京したのである。だがアイドルになる熱量の差に違いがあった。アニメの影響で日本に興味を示したカジュアル勢かと思われたリーリヤだが、ところがどっこいスウェーデンから15歳で単身来日を決める程には覚悟ガンギマリであった。才能の無さに対し、それは前提だから諦める理由にはならないと奮起し特訓を重ねるリーリヤ。そんな彼女が清夏に期待をかけ一緒にステージに立とうねと笑いかけて来るのは、ダンスレッスンから逃げている清夏にとって恐怖でしかなかったのであった。親愛度・SSR世界線ではPが清夏の心の支えとなり彼女のトラウマを解消するのであるが、サポカ・イベストにはPがいないため、清夏の心の闇が解き放立てる事は無いのであった。
 

バズっちゃお!

以上によりPがいない世界線で一番救われない状態であったのが、麻央と清夏だったのである。だが今回のサポカにより、麻央と清夏が相互救済をする可能性が出てきた。と、いうのも清夏がSNSで麻央の王子様っぷりをバズらせたからであった。これまで麻央の王子様属性は需要が無いとされていた。だがそれはアプローチに問題があり、まだまだ需要を掘り起こせたのである。それがSNSの住民たちだったというワケで、麻央が王子様路線を諦めずに済む可能性が提示されたのだ。また最初は麻央先輩をいいね稼ぎの道具としてしか見ていなかった清夏にも変化が生じる。実際に麻央先輩と百合営業をしてみると、武道で鍛えられた身体つきにトキメキを感じてしまうようになるのだ。清夏の問題は心の弱さの側面が強いので、麻央が受け皿になれるのかもしれない。夏のイベストでは高3で焦燥感に駆られる麻央が、遊び呆けている清夏に説教をかましてウザがられていたのだが、今回のサポカから二人の関係性に変化が始まったと窺われる。