BS特集 シリーズ 中国・庶民の改革開放30年 第3回「失意からの再出発〜上海〜 」の感想・レビュー

改革開放下の上海における伝統的な下町「里弄」での失敗譚。
改革開放で一度は成功したものの奢れるものは久しからず、栄枯盛衰。
企業が生まれては消え去っていく状況の中であがいている庶民を描いた。


改革開放は上海において投資ブームを生み出し、一攫千金を掴むチャンスを得た。文化大革命の時代「農村に学べ」のスローガンの下で「下方」という農業地域強制移住政策をされた人々。改革開放によりそこから脱出できた人々はその欲望に思いを馳せた。共産主義からの反動での市場原理導入はチャンスを与える一方で、不正や汚職が次々と蔓延った。成金で蓄財を成した者は女と酒と賭博に溺れていく。彼らに止めを刺したのが、上海の再開発における立ち退き。伝統的な街並み「里弄」を追放され、補償金は出たものの、一から商売をやり直さねばならなかった。しかし、時代のうねりは「里弄」における小規模な商売など必要とはしておらず、昔ながらの暮らししかしらない成金崩れは過去に縛られかつての羽振りの良かった生活に囚われ続ける。焦点を当てられた人物の一人は、脱税目的で領収書を発行していなかったため、裏帳簿で経理に資本を丸ごと横取りされ、ニート生活に陥り、共産党が悪いと社会のせいにして、ろくすっぽ働かず、酒とタバコと女に拘り続ける姿が描かれた。