平成21年版学習指導要領の地歴科世界史B科目ではその「内容」において主題学習を7つ行うように規定されています。
ここでは利便性のために主題選定を行う際の基準を表にするとこんな感じ。
授業開発をする際の主題のテーマ選びに役立てば良いのだが。
分類 | 設定基準 | 身につけさせる能力 | 授業における活動 | 具体的な中身 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
自然環境と人類のかかわり | 導入,中学校社会科の内容との連続性に配慮 | 世界史学習における地理的視点の重要性に気付かせる | 歴史的事例の考察 | 生業や暮らし,交通手段,資源,災害など | 教師が主題を設定する |
日本の歴史と世界の歴史のつながり | 適切な時期,中学校社会科の内容との連続性に配慮 | 日本の歴史と世界の歴史のつながりに気付かせる | 歴史的事例の考察 | 人,もの,技術,文化,宗教,生活など | 教師が主題を設定する |
日常生活にみる世界の歴史 | 適切な時期,中学校社会科の内容との連続性に配慮 | 日常生活からも世界の歴史がとらえられることに気付かせる | 事例の変遷の考察 | 衣食住,家族,余暇,スポーツなど | 教師が主題を設定する |
時間軸からみる諸地域世界 | 諸地域世界の形成 | 世界史を時間的なつながりに着目して整理し,表現する技能の習得 | 関連事項を年代順に並べたり,因果関係で結び付けたり,地域世界ごとに比較したりするなどの活動 | 西アジア世界・地中海世界,南アジア世界・東南アジア世界,東アジア世界・内陸アジア世界 | 教師が主題を設定する |
空間軸からみる諸地域世界 | 諸地域世界の交流と再編、同時代性 | 世界史を空間的なつながりに着目して整理し,表現する技能の習得 | 諸地域世界の接触や交流などを地図上に表したり,世紀ごとに比較したりするなどの活動 | イスラーム世界の形成と拡大,ヨーロッパ世界の形成と展開,内陸アジアの動向と諸地域世界 | 教師が主題を設定する |
資料からよみとく歴史の世界 | 諸地域世界の結合と変容 | 資料を多面的・多角的に考察し,よみとく技能の習得 | 資料を選択して,資料の内容をまとめたり,その意図やねらいを推測したり,資料への疑問を提起したりするなどの活動 | アジア諸地域の繁栄と日本,ヨーロッパの拡大と大西洋世界,産業社会と国民国家の形成,世界市場の形成と日本 | 教師が主題を設定する |
資料を活用して探究する地球世界 | 地球世界の課題 | 資料を活用し表現する技能の習得,これからの世界と日本の在り方や世界の人々が協調し共存できる持続可能な社会の実現についての展望 | ,歴史的観点から資料を活用して探究し,その成果を論述したり討論したりするなどの活動 | 帝国主義と社会の変容,二つの世界大戦と大衆社会の出現,米ソ冷戦と第三世界,グローバル化した世界と日本 | 生徒に主題を設定させる |
学習指導要領に即して授業構成
- 主題学習の内容構成パターン
- A) 通史学習で学んだ個別具体的な知識を主題学習によって体系化し直す
- B) 主題学習の串刺し:主題の枠組みの中でミニマムな基礎知識→主題による歴史的思考力
パターンA「通史学習で学んだ個別具体的な知識を主題学習によって体系化し直す」授業構成
-
- (1)世界史への扉:主題学習「自然環境と人類のかかわり」
- (2)諸地域世界の形成:通史学習 → 主題学習「時間軸からみる諸地域世界」
- (3)諸地域世界の交流と再編:通史学習 →主題学習「空間軸からみる諸地域世界」
- (4)諸地域世界の結合と変容:通史学習 →主題学習「資料からよみとく歴史の世界」
- (5)地球世界の課題:通史学習 →主題学習「資料を活用して探求する地球世界」
- 適切な時期に実施
- 日本の歴史と世界の歴史のつながり
- 日常生活にみる世界の歴史
パターンB「主題学習の串刺し」の授業構成
- (1)主題学習→(2)主題学習→(3)主題学習→(4)主題学習→(5)主題学習→(6)主題学習→(7)主題学習
- 基礎的な知識は、主題学習全体に内包=主題学習(ミニマムな基礎知識→基礎知識の活用→主題の探求)
- 通史学習は基本的にしない