歴史教育-雑考

2022年度高等学校『歴史総合』教科書の採択数・占有率

2022年度高校1年生から歴史総合・地理総合が実施される(※高校は学習指導要領が段階導入なので高2・高3は現行のままA・B体制が続く)。「総合・探究」体制は「A・B」体制とは全く異なる内容であり、それがどのように教科書に反映されるのか注目が集まっている…

Abstract02: Subject learning about global history in high school world history

1.研究目的 2.研究対象 ①主題学習と内容構成論 ②主題学習と学習方法 3.研究方法 4.構成 1.研究目的 本論文は、主題学習の研究を通して世界史学習が抱える問題点を改善することを目指す授業開発である。 世界史学習の問題点は、学習内容と学習方法の2種類に分…

【草稿・レジュメ】「コンテンツツーリズムとヘリテージツーリズムの重層性 ~コンテンツツーリズムにより再評価された地域の文化財を活用する日本史授業実践~」

報告用レジュメ 【目次】 1.問題の所在 2.先行研究整理 2-1.コンテンツツーリズムによる地域振興・経済発展を唱えるもの 2-2.コンテンツツーリズムと地域資源・文化遺産の関係を論じたもの 2-3.コンテンツツーリズムが「文化遺産」を再発見・再評価させた「…

【授業実践】コンテンツツーリズムにより再評価された文化財と、それを題材とした高校日本史の授業実践について

これまでコンテンツツーリズムとヘリテージツーリズムの重層性を研究してきた。コンテンツツーリズムはこれまでとは違う客層を発掘し、従来の文化財などの歴史資源に新たなスポットライトを当てる。これにより文化財が再評価され、保存・継承の対象となり、…

【授業開発】コンテンツ作品で題材とされた重要無形民俗文化財を活用した歴史教育について

Key word 高校日本史、日本史B、歴史教育、「伝統や文化の学習」、コンテンツツーリズム、ヘリテージツーリズム、コンテンツ産業、アニメーション、『あの日見た花の名前を僕たちはまだ知らない』(通称『あの花』)、重要無形民俗文化財、秩父吉田の龍勢、地…

【学習指導要領】高等学校におけるヘリテージ(文化遺産・文化財)を利用した歴史教育について~コンテンツツーリズムの視座から~

コンテンツツーリズムとヘリテージツーリズムの重層性については以前にも述べたが、歴史や文化の継承の手段としてコンテンツツーリズムを役立てることが重要である。コンテンツ目的でやってきたツーリストの方々に、作品だけでなく地域そのものに魅力を持っ…

『詳説世界史』を中心とした世界史教科書(世界史B/世界史)の採択数・占有率の通時的分析31年(1988〜2018)

『詳説世界史』を中心に世界史Bの教科書の採択数・占有率を31年分、通時的に分析した。 『詳説世界史』の占有率は最大で55.7%(2006年度)である。 教科書会社と教科書の種類が淘汰され、世界史Bの教科書全体合計数はピークの1996年に比べて半減している。 そ…

世界史教科書『詳説世界史』(山川出版社)の変遷 及び 高校世界史の誕生

山川出版社の『詳説世界史』はどのようにして生まれたのか。その系譜は東京大学文学部内史学会編の『世界史概観』(山川出版社、1949(昭和24)年)に求めることができる。また、『詳説世界史』の変遷を追ううちに、そもそも科目としての「世界史」や世界史の教…

「高校の歴史学習で身につけること」と「歴史の複数解釈性」についてのメモ

どの教科書を使えばいいんですか論争にも役に立つかもしれない。 高校世界史・日本史で身につけること 教科書の内容を覚えるのではなく、自分で歴史の「能力」を育成するんだ!ときちんと意識する。 まず歴史用語や内容を暗記するという思考から脱しないと無…

世界史「主題学習」についてのメモ

世界史学習の問題点とは 教科内容 「世界史」が想定する世界とは何か? 指導方法・学習方法 講義形式:解説中心主義(板書、パワーポイントによるスライド、プリント、レジュメなど) 活動形式:課題解決学習、ジグソー学習、討論(ディベート)、発表学習、レポ…

2018年2月14日発表「高等学校学習指導要領案」における「歴史総合」、「日本史探究」、「世界史探究」について

2018年2月14日、高等学校学習指導要領案が発表されました。文部科学省は3月15日までパブリックコメントを募集しているので、皆さんも高等学校学習指導要領案に目を通して、疑問に思ったことなどを送りましょう。 パブリックコメント:意見募集中案件詳細|電…

世界史教育の2017年までの現状と課題

日本の歴史教育は戦後最大の改編期を迎えている。結局2017年中には高等学校の新しい学習指導要領は告示されなかったが、2022年の高1から年次進行で実施されることになっている。高等学校の新しい学習指導要領において地理歴史科の場合、教科編成論では「総合…

全国社会科教育学会 第66回 全国研究大会 第2日 10月29日(日)

印象に残ったのは「歴史家のように読む」史料読解学習、外国人で教科教育の研究職となった人々のライフヒストリー、アメリカの歴史教育、全社学のパラダイムの転換など。随分とアメリカ教育界の影響を受けており、歴史教育ではワインバーグ、ヴァンスレッド…

全国社会科教育学会 第66回 全国研究大会 第1日 10月28日(土)

学会第1日目では「文脈」が強調されていた印象が強い。すなわち「社会的文脈の中の子ども」が抱いている興味関心(見方や考え方)を分析すること。従来も「子どもの見取り」は行われていたが、それは教師の勘と経験に基づくものであった。そして従来は研究者は…

価値注入型教育に対する懐疑性

私は社会科教育の目的を「社会認識の深化」と考えており、世界史は「世界を解釈する」方法を学ぶと捉えています。価値観は多様であって良いと思っており、価値教育に対しては懐疑的です。特定の思想信条・政治的立場を取るように仕向けるのは価値観の押し付…

課題追究型・課題探究型の歴史学習におけるアクチュアルな課題設定とカリキュラムの体系性について

教科書の内容をルーティン的に指導することに反論するためのメモ。思考整理用。 課題追究学習・課題探究学習とアクチュアルな問題 歴史学習の目的のひとつに歴史的な物の見方や考え方を育成することがある。現在とまったく繋がりを連想できない昔起こった内…

2017年度採択高校教科書(公民編) 採択数・占有率

参考文献『内外教育』(時事通信社、2017年01月27日) http://www.jiji.com/service/senmon/educate/backnumber_doc/e170127.html 「公民」の選択で「現代社会」が多い理由とは? 『内外教育』では2017年度の「公民」の特徴として「現代社会」の採択数の比率が…

2017年度採択高校教科書(地理歴史編) 採択数・占有率

参考文献『内外教育』(時事通信社、2017年01月20日) http://www.jiji.com/service/senmon/educate/backnumber_doc/e170120.html文部科学省は高校教科書の採択状況をまとめているが、2017年度のデータも発表された。世界史をはじめ、地理歴史の教科書はどのよ…

体系的な世界史像の獲得(とそれを通じての歴史的諸能力の育成)

問題の所在 「世界史Bを教科書の配列通りに解説し、進んだところまでで必修の学習は終わりです。あとは受験で選択する人だけが続きを学んでね!」という尻切れトンボ問題が存在する。 この尻切れトンボ問題に対処するために生まれたのが、内容を覚えさせる…

桃木至朗「高校歴史教育の今後のあり方〜科目編成と入試から考える〜」

桃木至朗氏の講演会を聴講してきました。桃木氏が話したことをメモしましたので、今後の世界史教育を考えるうえで参考にしてみてください。(リアルタイムでタイプ打ちしたものなので誤字脱字がある箇所があるかもしれません) 1.高校歴史教育再編と入試改革の…

学校世界史の授業転換〜知識の網羅から概念の獲得へ〜

レジュメ台本 (1)内容構成論:世界史の授業で何を教えるか (1)-1.受験対策 世界史を受験に使わない生徒は? 予備校は大学受験に合格することが至上命題であり受験対策をする。しかし学校の場合は全員が世界史を受験科目にするわけではない。受験対策を前面に…

「授業世界史」と「歴史を通して抽象的な概念操作を身に付けさせる」こと

似たようなことを毎回考えてグルグルしてしまうので、文字でアウトプット。 ブレーンストーミング的なメモ。 世界史の全通史の内容を学びたい人は学校の授業だけでは無理。 学校の授業というものは学力を伸ばすためにある様々な装置の一つにしかすぎず、それ…

「大学入学希望者学力評価テスト」における世界史の問題例

出典:http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shougai/033/shiryo/__icsFiles/afieldfile/2016/02/17/1367231_04_2.pdf 歴史資料をよみとき,複数の歴史事象を関連付けながら,多面的・多角的に考察して仮説を設定し,論拠に基づいてその適否を判断す…

論理的な文章を書けない高校生を指導しながら世界史論述について思うことなど。

暗記を否定するつもりはないのですが、歴史用語の一問一答によるクイズ大会で学力の何が図れるのでしょうか?前々から言われていますが、現在の歴史教育では、「歴史的なものの見方や考え方」、「抽象と具体の思考操作」、「知識の活用や探究」などの育成が…

2020年問題で「世界史」はどう変わるのか?

2020年問題は、現在の中2(2016年度)が高2(2019年度)になった時から直接影響を受ける問題です。 「高等学校基礎学力テスト」と「大学入学希望者学力評価テスト」が始まるのです。(「現行」の学習指導要領のまま始まります) では世界史はこの二つのテストに…

IBDP「歴史」教師用参考資料における「学習の方法」と「指導の方法」

出典:http://www.ibo.org/globalassets/publications/history-tsm-2017-jp.pdf 学習の方法 ねらいと目的 DPの「歴史」は「学習の方法」の5つの主要スキル(思考スキル、コミュニケーションスキル、社会性スキル、リサーチスキル、自己管理スキル)を高め…

IBDP「歴史」教師用参考資料におけるコースの組み立て方

出典:http://www.ibo.org/globalassets/publications/history-tsm-2017-jp.pdf 知識の網羅ではなく主要概念の取得 「歴史」で重点が置かれる6つの重要概念(原因、結果、連続性、変化、重要性、観点)は、授業で扱うことのできるすべてのトピックをつなぐ…

IBDP「歴史」の三要素(内容・概念・スキル)とそのなかの一つの「概念」の詳細

出典:http://www.ibo.org/globalassets/publications/history-guide-2017-jp.pdf IBDP「歴史」の三要素とはなにか IBDP「歴史」は内容、概念、スキルという3つの主要素に基づいて構成されています。これら3つの要素は不可分な関係にあると考えられていま…

IBDP「歴史」とはどのようなものか?

出典:http://www.ibo.org/globalassets/publications/history-guide-2017-jp.pdf IBDPの特徴 ディプロマプログラムの履修方法 通常3科目(最大4科目)→上級 レベル(HL) その他を→標準レベル(SL) 批判的な思考と分析を重視 5つの「学習の方法」 …

高校世界史の授業・研究課題〜書き殴りブレーンストーミング〜

やってる取り組み・やりたい取り組みなど 目的達成学習×主題学習 1つの授業を1テーマで行う授業スタイル。最初に授業の目的を提示し、それを解き明かしていく。起承転結。その中で歴史の知識を増やしていく。教科書をダラダラと説明するより一つの授業にメリ…