Clover Day's「竜胆つばめ」シナリオの感想・レビュー

Clover Day'sのつばめシナリオは「演劇やろうぜ」と「幼なじみ関係性変化」。
幼なじみ関係性変化のテーマは以下の二つに分けることが出来る。
(1)変化を恐れず自分から掴み取れ!〜忍ぶ思いの解放編〜
(2)自分たちの想いをぶつけ合え!〜幼なじみ親友三角関係編〜
序盤からフラグ構築まではすごく面白くて緊張感もあるが、中盤はすごくだれる。
最後に幼なじみ三角関係対立が入り、そこでまた持ち直す感じです。

竜胆つばめのキャラクター表現とフラグ構築過程


  • 変化を恐れず自分から掴み取れ!〜忍ぶ思いの解放編〜
    • 竜胆つばめは幼なじみ親友で主人公くんの心の支え。関西弁でピンク髪担当。かつて主人公くんが転入してきた際、初めての友達になってくれたヒロインです。不慣れな日本の生活に色々と良くしてくれたつばめに対し、主人公くんは感謝の念を抱いており、つばめのためだったら何でもしてやりたいと想っていました。ですが、二人は幼なじみ達の緩い関係が壊れることを恐れており、男女関係になることを躊躇しているのでした。そんな折り、つばめが所属する演劇部でチャリティー公開が行われることになるのですが、人数不足でポシャりそうになります。ここで主人公くんたち幼なじみパーティーが一念発起し「演劇やろうぜ」展開に入ります。この演劇の脚本は主人公くんたち幼なじみグループのメタファーとなっており、それぞれの役柄を通して、関係性変化を迫る機能を有しています。いつまでもグダグダとしているつばめに対して、ヒカルが起爆剤となって煽っていく展開は手に汗握り、実に面白いです。今まで流されていた少女が自らの意思で立ち上がり、葛藤と挫折を繰り返しながら進んでいく姿は良いものだ。こうして近代的自我の確立を成し遂げたつばめは主人公くんとフラグを構築するのでした。

今のが本音なのではなくて?欲しいなら欲しいといいなさい!!そうやって自分の気持ちに嘘をついて…何もせず…ただ黙って流されるだけ!いつ来るか分からない幸運にすがってたってどうしようもないのよ!?…そう、分かったわ。あなたがそうやって黙っているのならそれでいいのよ…自分に嘘をついたまま、ずっとそこで、愛想笑いをしているといいよ。そんなことをしていたって、手に入る幸せなんて何もないのに!



  • 自分たちの想いをぶつけ合え!〜幼なじみ親友三角関係編〜
    • フラグ構築後の中盤からはだれます。「演劇を行う」ことが原動力となっているのに、フラグ構築した後も終局まで引っ張るので余計にそう感じられてしまうのですね。序盤は演劇の練習ネタで北原白秋の「五十音」を練習するなど深みがあったのですが中盤からは二人のイチャラヴに始終してうことに原因がありそう……。最終場面で提示されるのは「幼なじみ親友三角関係」。幼少の頃から主人公くんにちょっかいをかけ素直になれないかまってちゃんである泉さんと対決です。主人公くんとつばめは仲むつまじく演劇の腕をメキメキと上げるのですが、それを見せつけられた泉さんは自分の感情を表明できなかった上に精神崩壊してしまいます。つばめは主人公くんとフラグを立てる前に泉さんと対峙していたのですが、その時、泉さんはのらりくらりとかわしてしまったのです。そのツケを支払う時がここにやってきたのですね。苦悩する泉さんに対し、つばめの演劇が炸裂します。こうして泉さんはつばめの演劇に感化され、自分と向き合う強さを得たのです。主人公くんに思いの丈をぶつけて玉砕した後は、痛みを抱えながらも友達として主人公くんやつばめと生きていくとハッピーエンドを迎えます。

私は何もせずに、ただ流されて、色んなものを諦めたり、逃げ出したりして生きてきました。あははって笑って、誤魔化して……そうすれば深く傷つかずに済んだから。…でも、そんな生き方は、いつかかけがえのないものまで諦めることになる。きっと一生後悔することになる。みっともなく足掻いて、傷だらけになっても……。精一杯やってダメなら……後悔だけはしなくて済むって思った。だから変わろうって思った。