雑録

Clover Day's 「鷹倉杏鈴」シナリオの感想・レビュー

Clover Day'sの杏鈴シナリオは「双子三角関係」と「母親トラウマ問題」。
痛みを抱えたままでもその傷に向き合い現実を生きていかなければならない。
このシナリオは新しい家族を形成する話でもある。
メイドを新しい母として迎えるに際し、家族のトラウマを解消せよ。
後半はメイド;紫苑さんのお話でもある。

鷹倉杏鈴のキャラクター表現とフラグ生成過程


  • 双子三角関係
    • 鷹倉杏璃はお兄ちゃんに甘えることが生き甲斐のおぼこな妹。ですがその過去においては養子であった主人公くんと打ち解けるのに時間がかかりました。杏鈴は自分がアングロサクソン系のハーフであり金髪碧眼を有していたため日本社会と馴染めず鬱屈していました。自分の容姿を受け入れられず、大きなトラウマを抱えていたのです。そんな折り、イジメまで受けることになった杏鈴は自分で断髪し、精神崩壊してしまいます。そんな幼少期の杏鈴を救ったのが我らが主人公くん。いじめっ子を撃退し、杏鈴の存在理由を肯定してあげたのでした。以来杏鈴は主人公くんに対して甘えるようになり、現代においてもお兄ちゃんのこと好き好き大好き好き好きとなったのです。ですが杏鈴は自分の恋愛感情に無自覚でした。一方で、双子の妹;杏璃は早熟で主人公くんを想って一人寝具を濡らしていました。杏璃√では杏鈴が恋心に無自覚なため三角関係フラグは発生しませんが、杏鈴√では覚醒してしまうため、双子三角関係が発生する!という流れになります。選ばれなかったことに苦悩する杏璃でしたが、傷つきながらも、結ばれなくても一生に居て欲しいという杏鈴の願いにより和解することなるのでした。ただの恋愛関係を超える、杏璃にとっては残酷だけれども、そんな人間関係を構築するのでした。


  • 杏鈴と生母アンさんのトラウマ
    • 主人公くんと晴れて結ばれた杏鈴でしたが、父親がメイドと再婚することについて複雑な心境を抱いてしまいます。なぜなら杏鈴は「母親」という存在にトラウマを抱えていたからです。かつて母親が存命の頃、杏鈴は自分が金髪碧眼なので日本社会に打ち解けられないのは母親のせいだとなじってしまいます。さらにはどうして自分を生んだのかと。これにより口論となり、結果として母親の前から逃げ出す杏鈴でしたが、和解しないまま母親は病気になり死別してしまったのです。こうして許されることの無かった杏鈴は自責の念に煩悶し深いトラウマを抱えて生きていくことになってしまったのです。このトラウマは自己の存在理由を主人公くんに肯定されることによって和らぐのですが、根本的な解決とはなっていませんでした。再婚の話題がのぼると母親トラウマが杏鈴を苛むことになるのです。思い悩む杏鈴に対して死人だけでなく、他人の感情は分からないと説かれます。「苦しみ」や「喜び」や「悲しみ」と名付けられている「感情」の感じ方は人によって異なり自分のモノとは違うかもしれない。あくまでも自分の類推を当てはめることしかできないのだと。そうして類推したとき、もしも杏鈴が母親だったら娘のことを許さないだろうか?いや、そんなことはない!!勝手な解釈ながらトラウマ克服。過去と向き合い一歩ずつ現実を受け入れることが出来るようになるのでした。


  • メイドの紫苑さん物語
    • 双子三角関係と母親トラウマを解消した後、物語はメイドの紫苑さんにシフトチェンジしていきます。杏鈴と主人公くんはたびたび肉体関係をもったため、妊娠フラグが立ちます。これは思い過ごしで終わるのですが、ここでメイドの紫苑さんの逆鱗に触れることになるのです。自分が気持ちいいからと子どもができてしまった結果、悲惨な思いをすることになるのだと激怒されます!!この言葉は紫苑さんが自分を指して言っていることでもあったのです。紫苑さんは実は主人公くんの実母でした。親の反対を押し切りイギリスの大学に留学中、主人公くんを身ごもるも、男に捨てられシングルマザー。さらに胎内で双子であったものの、一人は流産し、主人公くんのみしかうまれませんでした。そして実家も頼れず、仕事もうまくいかず、精神崩壊した紫苑さんは子どもを捨てて逃げ出すのでした。以後、財政再建を果たした紫苑さんは主人公くんのことが気になり足跡を辿ると、鷹倉家の養子になっていることが判明しますせんか。主人公くんに一目会いたいとメイドとして志願し、そのまま居着くことになったのです。そんな紫苑さんを幼少期の主人公くんや杏鈴、杏璃は母のように慕い、また父親も紫苑さんを愛する様になっていったのです。そんな紫苑さんでしたが、いざ再婚となると、主人公くんを捨てたトラウマが発動し再び精神崩壊、逃げ出してしまいます。それでも鷹倉家は家族パワーで紫苑さんを探しだし、和解に成功します。こうして鷹倉家は新しい家族が形成されハッピーエンドを迎えるのでした。