国際連盟と国際連合の設立および問題点

モスクワ宣言


世界史は史料問題が出てくることは日本史と比べて多くはないわ。
けれども初見の史料を見て詰まってしまうことはありがちね。
1943年10月に出された以下の宣言は何か?
「国際的な平和と安全の維持のための一般的国際機構を、実現可能な限り早期に設置する必要性を認める」


すいません教員も分かりませんでした。教員にも分からないことはたくさんある。
「国際的な平和と安全の維持のための一般的国際機構」をヒントにすると
フツーの受験生だったら
国際平和機構の再建を唱えた「大西洋憲章」、
もしくは
国際連合憲章の草案作成を行った「ダンバートンオークス会議」
を書いてしまうのではないでしょうか?


これは1943年10月とあるからモスクワ外相会議における「一般安全保障に関する四カ国宣言」。
通称「モスクワ宣言」ね。
初めて公式に平和機構設立の必要性を声明したことが歴史的意義かしらね。


まぁ「モスクワ宣言」を当てることはさっさと諦めるのが吉かと。
いつまでも拘ってると時間も無くなるし、
連盟と国連の問題点を書くことに重点を置きましょう。
連盟の問題点は総会の全会一致、米の不参加、軍事制裁欠如の三点。
国連の問題点は冷戦期と冷戦後で分けましょう。
冷戦期には拒否権の乱発、冷戦後にはPKOによる価値観の押しつけと米の単独行動主義。

国際連盟国際連合の設立及び問題点


国際連盟の設立は第一次世界大戦と切り離せないわよね。
WW?といえば初めての総力戦。国民が総動員されたため未曾有の被害となったわ。
このため集団的安全保障機構の設立が求められ、1920年国際連盟が発足したわ。


そしてお約束の国際連盟の問題点3つ。

  • (1)総会の決定が全会一致 → 有向な意志決定が困難
  • (2)アメリカの不参加、独ソは当初は除外 → 主要編成国の偏り
  • (3)経済制裁のみ → イタリアのエチオピア侵略では石油の禁輸が除外される。

ここら辺はフツーに勉強していれば習うでしょう。


このような問題点を抱えていたため、国際連盟の集団安全保障は有効に機能しなかったのね。
結局は第二次世界大戦が起こってしまったわ。
だからこそ、国際連合では上記の問題点が克服されたのよ。

  • (1)総会で多数決制を導入
  • (2)大国一致の原則:五大国に拒否権を付与
  • (3)国連軍による軍事制裁

以上の三点ね。しかし冷戦によって弱点が表面化してしまうのね。


国際連合の問題点は、冷戦期まではきちんと書けるかと思います。
米ソの対立により拒否権が乱発され大国一致の原則が足枷になってしまったことですね。
しかし冷戦後の問題点が難しい。


これは指定語句がヒントになっているわ。PKOから問題点を考えるべきよ。
冷戦後は国連の平和維持活動は軍事制よりもPKOに重点が移ってくるの。
PKOの前提は中立的性格を維持していることでしょう?
けれどもPKOは先進国が主導して行われることが多いわ。
だから、
民族・宗教などが先進国とは異なる地域にとっては先進国の社会秩序を強要される側面もあるの。


そしてアメリ単独主義の問題点も挙げておきましょう。
国際連盟の意志を無視してアメリカが暴走してしまうこともあるのですね。
対アフガン攻撃やイラク戦争などを思い出しましょう。