雑録

ひこうき雲の向こう側「美汐瑛莉」シナリオの感想・レビュー

調子こいてたら子宮を殴られ不妊となった万能少女が、忌避していた生殖から愛を見出すはなし。
傲慢で腹黒、計算高い我が儘なキャラクター表現を受け入れることができるかどうか。
瑛莉が恋愛を斜めに見ていた理由が、過去に暴行を受けて不妊になったというのは少し安易。
陰湿な過去がバレて友達から距離を置かれた瑛莉がしがみついた部活動。
そのすがった部活動が廃止になり精神崩壊して自我をさらけ出すのはカタルシスを感じる。
バッドエンドも用意されており、廃部疎遠エンドもなかなか好きだったり。
しかし瑛莉を最後まで諦めないとご都合主義展開エンドになる。嗚呼ご都合主義。

美汐瑛莉のキャラクター表現とフラグ生成過程


  • 瑛莉が恋愛にこだわるのは何故か?
    • 美汐瑛莉は万能少女であり何でも結果が残せるからこそ学生生活に打ち込むものがなく飽いていた。そんな瑛莉が望むものが恋愛であり、人々が夢中になるという恋愛というものを理解できれば自分の渇望も満たされるのではないかと思っていたのだ。故に、恋愛の結果としての性交というものに対して神聖視している傾向があり、動物のように肉慾のため、生殖のために性交することに忌避感を抱いていた。しかし本当に瑛莉はツマラナイ日常の渇望感から崇高なる恋愛を求めていたのだろうか?答えは否である。中学時代、瑛莉はその万能を鼻にかけるようなことがあったため、同級生にシメられてしまったのである。具体的には肉体的暴力であり、瑛莉は腹を殴られた結果子宮を傷つけられ、不妊となってしまったのである。以上により子孫を残せなくなった瑛莉は、生殖行動としての性交に強い抵抗感を抱くようになり、恋愛の結果としての崇高な性交を求めるようになったのである。ウジウジする瑛莉に対し、主人公くんは子孫を残したいからではなく、瑛莉が好きだからこそ身体を抱きたいと求め、その証拠として献血のオマケで貰った避妊具をつけて行為に望むのであった。



  • ツマラナイ日常の飢餓感を部活の青春に求めすぎて廃部待ったなしカタルシス
    • 高校時代のリア充青春タイム。ツマラナイ日常に飢餓感を抱く瑛莉に青春の楽しさを与えるの巻き。みんな天体観測したりキャンプしたりワーワーキャーキャー騒ぐ。そんな中にある楽しさ。気の置けない仲間と過ごす掛け替えのない瞬間に瑛莉は渇望を満たされる。ちなみに瑛莉に惚れていた幼馴染みの男子と親友になるイベントは結構好きだったりする。瑛莉の部活への思い入れは、中学時代の過去がバレ、クラスメイトに遠巻きにされても、部活とその仲間達がいるから大丈夫!と、すがるほどまでになっていた。しかしそんな瑛莉に廃部のお知らせ。以前瑛莉が隠しカメラを使ってカップルに試練と称して仲を破局させていたことがばれてしまったのである。縋った大切なモノを急に取り上げられる切なさよ。常に上位的な存在であった瑛莉が学生会の前で泣きわめいたり、最後の日に部活仲間たちと語り合ったりとする場面はカタルシスを感じて思わずグッときたね。最後の選択肢では、瑛莉を振るかどうかの問題が投げかけられる。個人的には初志貫徹して瑛莉をフリ、今まで恋を知らなかった主人公くんが残りの1年半を通じて恋を知りバッドエンドになるのがとても好きだ。しかし最後まで瑛莉を諦めないとご都合主義展開に。主人公くんはイモウトを部長に新たな部活を新設して居場所を用意、瑛莉の友達らも中学時代の過去など全く気にしていなかった。エンディングの後は二人のその後がダイジェストで紹介され、大学受験編・大学生活同棲編・就活編・新婚編・子どもが出来たよ編・孫が出来たよ編・死後の家族達編までが展開され幕を閉じる。