※書きなぐり版
コンテンツ産業を観光資源にして聖地巡礼・舞台訪問を生み出し、歴史(文化財・文化遺産)に繋げて、博物館などの社会教育や生涯学習に活かす取り組みを研究したい。
- 例
abstract
- 摘要 コンテンツツーリズムの整理体系化と教科教育・生涯学習への活用
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Overview
- 大衆娯楽のメディアミックスとコンテンツツーリズム
- 大衆娯楽のメディアミックス展開によりコンテンツ産業が盛んとなって久しい。一つの作品が流行ると、小説・映画・実写・ラジオ・漫画・アニメ・ラノベ・ゲーム・キャラクターグッズ・舞台・声優講演・二次創作などメディアの垣根を越えて消費される。そのような中で重視なのがシナリオ・物語であり、登場人物たちの悲喜こもごもが視聴者の琴線に触れると、その作品に愛着や思い入れができる。そうすると、話を展開させるイベントや起承転結の軸となった重要な場面、登場人物たちの元ネタを深く調べるようになる。そして調べるうちに元ネタとなった舞台を訪問したいという気分が醸成され、コンテンツツーリズムという旅行行動が発生するのである。そしてコンテンツツーリズムは観光学と深く結びつき、経済的な効果や、町おこしや地域振興についての研究が積まれてきた。
- コンテンツ産業と教科教育・生涯教育
- その一方で、作品について調べるうちに、知識が増えたり新しい物の見方や考え方ができるようになるのもまた確かであろう。大衆娯楽作品に興味を持った生徒が、元ネタを調べるうちに評論・小説・古文・漢文ができるようになったり世界史・日本史・地理が得意になったりする事例も教育現場では日常的に見られる出来事である。さらにコンテンツツーリズムによって元ネタとなる舞台を訪問することで、その地域の風土に触れて地理的特徴を体感したり、建造物、モニュメントなどの歴史的な背景の一幕を実際に垣間見たりすることができる。こうして机上の知識が体験に裏打ちされて自らの血肉となり人生を豊かにすることができる。
- コンテンツツーリズムとヘリテージツーリズム、コロニアルツーリズム
- コンテンツツーリズムはその周辺としてコロニアルツーリズムやヘリテージツーリズムとも親和性が高い。なぜなら、元ネタとなる建造物やモニュメントには歴史遺産が豊富であるからだ。故に、旅行者は「コンテンツの中に出てくる場所を訪問すること」を第一の目的としてその地域やスポットを訪れているかもしれないが、歴史遺産をも観光することにつながるのだ(逆インシデンタルツーリズム?)。とりわけ、現在まで残っている歴史遺産には、寺社や仏閣などを除き、明治近代になってから作られたものが多い。いわゆる近代化遺産である。そのため、近代化遺産を辿れば旧日本帝国に行きつき、それはコロニアルツーリズムと切り離せないものである。
- コンテンツツーリズムの整理体系化と生涯学習への活用
- 近年においては聖地巡礼をまとめた紀行文系の同人誌も増えており、個別具体的な研究事例は進展しているといえよう。だがしかし、コンテンツツーリズムの事例研究を整理体系化し、その知識を活用させていく研究は充分とはいえない。また現在の研究では、活用する目的も経済であったり、地域振興や町興しだったりする。故に、教科教育や生涯教育の分野での研究は未開拓である。コンテンツツーリズムは中高生の地理歴史教育への活用が期待されるし、中高生だけにとらわれず大人の学びとして、地理歴史を生涯学習する効果も期待できる。少子高齢化社会かつ死ぬまで学び続けなければならない現代社会において、成人層を含めた生涯学習にコンテンツツーリズムを活用することは有益であると考えられるのではないだろうか。