ツーリズムは単なる観光資源の消費ではなく「文化的交流」。文化遺産を価値づけし、その重要性と保護の必要性をコミュニティ並びにビジター双方に理解してもらう。ツーリズムを通して、社会的・財政的・政治的な支持を得ていく。
導入
- 「庶民派」のアイヌがどのような考え方を持っているのか?
- →大学院や研究者には自戒の念が必要。研究者の付き合いは限定的になってしまい、皆が知識階級だと思ってしまう。
- 世の中のヒトの大半は学問とは全く関係ないこととして生きている。→乖離性が生じないように注意!
- 一般市民の立場からアイヌ民族が苦労していることが分かる。
- 大学にいるキツネ
- フン エキノコックス かなり悪化するまで症状が出ない 観光客が餌付けをして問題となってしまう。
- 「アイヌヘリテイジトレイル」プロジェクト(2011~ CAIS×CATS)
- 【目的】先住民族自身による主体的な文化遺産価値の発掘
- 文化遺産価値の発掘、インタープリティション
- ツーリズム・マネジメント
- 遺産価値・情報の発信
- 「先住民文化遺産とツーリズム」
- 【経緯】
- 日本における先住民族の転換
- 世界自然遺産・知床を巡る議論
- ICTCにおける先住民の位置づけ【読んでおくこと!】
①日本における先住民政策の転換
- 近年の動き
- 1989「ILO第169号条約」
- 1997「アイヌ文化振興法」←「旧土人保護法」 ※文化を回復するだけで表面的
- 2007「国連総会「先住民族の権利に関する国際連合宣言」」 ※ここからが非常に重要
- 2008 衆参両院「アイヌ民族を先住民族とすることを求める決議」 ※観光政策との連動
- 2011 「民族共生の象徴となる空間」の整備決定(アイヌ文化復興のナショナル・センターを2020までに白老に整備)
- 2019「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」
②世界自然遺産・知床を巡る議論と北海道の観光が抱える問題
- 語源
- 知床=Sir(大地の) etuk(さきっちょ)=地の果て エト エトピリカ エト(先っぽ)
- 知床と世界遺産の種類
- 自然遺産
- 自然資源の消費
- 自然遺産と文化遺産
- 自然遺産に文化的価値をどう付与するか。もっと言うと、知床エリアにアイヌは余りいない。地元に住んでいるアイヌ民族はなかなかいない。
★北海道の観光が抱える問題点
- 偏った地域イメージ
- 先住民族に対する無知と無関心
- 旅行商品、ガイドブックに溢れる偏った地域イメージ
- あたかも人が住んでいなかったかのとうな「手つかずの大自然」といった表現 → 事実誤認
- 実態
- 人は住んでいないが、住居跡がいっぱいある ゴロゴロ転がっている → 明治以降開拓が入っている 手つかずの大自然ではない
- 事実誤認が広がっていく!!!!
- フロンティア精神 明治期以降の開拓の歴史のみを強調した「フロンティア精神」といった表現 歴史の一部の過度の強調 → 東京など中央では鈍感
- 大学 アイヌから嫌われていた
- 明治大正昭和 民俗学の研究でアイヌの墓から骨を掘り起こした→現在は骨を返還する運動
- 知床には開拓も入っている
- 漁業 開拓入って撤退の後 短い期間 先住民としてのアイヌ
★【知床関係者?から質問が出る】
- 自然遺産とあるが今も番屋で仕事をしている人々がいる。 そういった人々を無視してすぐにアイヌにつなげることに違和感。「local residents」の問題
- 明治以降の和人の生活は無視される。 番屋の近くの橋をはずせなど言われる。砂防
- 自然保護 環境省マターの限界
■当たり前のことを伝える必要性
- 先史時代より人が連綿と住み続けて来た 文化の蓄積
- 明治期以降の開拓はごくいちぶ
③ICTCにおける先住民の位置づけ
- ICOMOS 文化遺産を管理していこう 「国際文化観光憲章」
- ツーリズムの再定義
- ツーリズムとは 「もっとも重要な文化交流の手段」のひとつ
- ツーリズム開発の主体
- ①ホストコミュニティ ②資産の所有者 ③土地ならびに重要な場所に対する伝統的権利と責任を有する先住民族の三者 →三者の関係性の構築
- 遺産情報へのアクセス
- 文化遺産を管理(活用・公開)することの第一義的な目的
- その文化遺産の重要性と保護の必要性をコミュニティ並びにビジター双方に理解してもらう事にある。もし双方理解が得られないと社会的財政的政治的な支持が得られない。
- WGでの結論
- 「ツーリズム振興」とは文化継承に対する「ファン・サポーターづくり」であると戦略的に捉える必要 ※ 普及・啓蒙・啓発というよりも・・・
- 「to experience」,「to learn」,「to feel」
- 興味を持った人たちにハイレベルなものを与えてしまうと失敗する。「楽しい」から始まらないといけない。ツアーの満足度→知識よりもエモーティヴな満足度!エモかった人たちはくり返しリピーターになる。
- 「適切」で「刺激的」・「現代的」な、教育・メディア・技術・個人の語りを通して提供されるべき
- 実践へ
- 道内全域に、地名や遺跡を始めアイヌ文が存在する。
- 身近な動植物からも神話や伝統的活用法を語ることが出来る
- そもそも道内全域で生活しているアイヌ民族の現在そのものが文化である。
- 「ファン、サポーターを増やす」という観点から、こうしたことを、これまでアイヌ文化に接点の無かった人々をターゲットに捉え、通常の観光ルートにアイヌ文化を組み込むことを検討。
- 「現代のアイヌ文化はツーリズムの文脈だと伝わらない!」
- ならば遠隔地で設定するよりも様々な観光客が来る札幌で!
- 先史時代の遺跡から、アイヌ文化期の遺跡、開拓期の文化遺産まで2000年の文化遺産が存在
- 河川名が現在もアイヌ語
- コンセプト
- 【コースの基本設計】
- サクシュコトニ川を軸線 複数の物語 大学を2000年以上
- アイヌヘリテージトレイル ガイドブック キャンパス
- 【重要】ツーリズムが文化遺産を守るための環境を生み出せるか
- 【重要】相互の風習と生活を知らないということが、世界の諸人民の間に疑惑と不信を起こした。→それをツーリズムが埋めていく。