雑録

Contents Tourism Planning & Management 2019(002)「コンテンツツーリズムの論点と考え方」

初回の講義では少数精鋭の選ばれし者たちが集ったかに見えたコンテンツツーリズム論演習。
しかしながら2週目に入ると、留学生の方々がわんさか履修登録していた。
どうなる!?コンテンツツーリズム論演習!

【今回のメニュー】

1.主な論点

①定義

  • 「ものがたり、キャラクター、舞台(ロケーション)など、ポップカルチャー作品を構成する創造的要素によって、全体的にあるいは部分的に、動機づけられた旅行行動。なお、ここでいうポップカルチャー作品とは、映画、テレビドラマ、マンガ、アニメ、小説、ゲームなどを含む」(Seaton,Yamamura,Sugawa-Shimada,Jang 2017)
  • 冬ソナインパク
    • オバサンが韓国に大量に旅行→日本政府、コンテンツは観光客誘致に効果的だと思い知る。
    • 小泉政権…観光を重要な産業として位置づけたのは、小泉内閣。観光も国の重要産業であるとした。
    • 小泉政権以前…観光はそれまでは取るに足らないものとされていた。観光は運輸省が管轄していた。それが2000年代に変化していき、2008年に観光庁が設立された。

②物語、キャラクター、ロケーション、作者(原作者、制作者、製作者)

  • 物語が何よりも重要(プロット、ナラティヴ)
  • メディアの中で流通・消費されるものをコンテンツと呼ぶ。コンテンツにより誘発されるツーリズムがコンテンツツーリズム

③なぜメディアよりもコンテンツに注目するのか

  • 今までのフィルムツーリズムやリタラリーツーリズムはどうなるのか?
    • 一つのメディアでは把握しきれない!【理由】メディアミックス展開が起こるため。Ex.角川による戦略 『時をかける少女』,『セーラー服と機関銃
    • 同時多発的にメディアミックス展開すると今までの概念では通用しない。
    • 原作/映画化/ノベライズなど様々に複層化していく。
    • メディアの方に注目するのではなくコンテンツに注目する必要がある。
Contents Tourism in Japan(2017),“Introduction” pp.3-4

Seatonら(2017)は、ポップカルチャー・コンテンツが、物語やキャラクター、ロケーションなど様々な要素から複合的に構成されており、こうした諸要素が様々なメディアを通して流通し(メディア・ミックス展開し)、人々の銅器を醸成している現象に着目し、コンテンツツーリズムを以下のように定義してる。
 
「映画、テレビドラマ、マンガ、アニメ、小説、ゲームなど、ポップカルチャー(大衆文化)作品を構成する創造的要素(物語、キャラクター、ロケーションなど)によって、全体的あるいは部分的に動機づけられた旅行行動」「したがって、コンテンツツーリズムには、場所の特性ではなく旅行者の動機によって定義されるという重要な特徴がある。たとえ、『この場所があるマンガ作品と何か関連している』というような極めて漠然とした結び付きだとしても、1組以上のコンテンツ群が場所に与える意味または物語性が、旅に出たり、旅を楽しんだりする上で欠かせない理由なのである。」(Seaton et al.2017,pp.4-5)
 
同書でSeatonらは、従来のfilm-tourismやliterature tourismなど、旅行行動を誘発するメディアの形態に着目した分類では、近年のメディア・ミックスが一般化した時代(コンテンツが複数のメディアで同時展開するメディア・ミックス時代)においては、現象を説明しづらくなっている点を指摘している。

  • One source、multi-use
    • 情報化→メディアの多様化→メディアミックス展開 メディアに注目して作品を語ることが難しい

④なぜContentではなくContentsなのか

  • 欧米では単数で言いたがる。しかしアニメを見て現地に行くだけではなく声優のライブに行ったりもする。それはContentではとらえきれない複数のものである。アニメはその典型例であり総合芸術。例としえは『君の縄』。脚本、キャラクター(お土産物)、音楽(主題歌)、コスプレでアニメのイメージを消費する→コンテンツがバラバラに分解されて消費される。

ポップカルチャーコンテンツとヘリテイジ

ヘリテイジのコンテンツ化
  • 文化は創造される
    • 昔はポップカルチャーだったものが今は文化遺産。歌舞伎など。伝統文化と見なされているものでも近世や近代に成立したものが多い。室町~江戸後期。現在に継承されている文化としては、江戸後期のものがかなりの部分を占める。ポップカルチャーは消費され形を変えて継承されていく。
  • ヘリテイジのコンテンツ化(エンターテイメント化)=観光資源化
    • 歴史上の出来事を映画化する、漫画化する→コンテンツ化するという
    • この時のコンテンツ化で重要な事 幕末維新をコンテンツ化≒エンターテイメント化
    • コンテンツでは、エンタメが重視されている。教育または娯楽の範疇。
  • ほかのツーリズムとの関連 これはコンテンツツーリズムに入るのか問題
    • ダークとコンテンツで重なる部分と重ならない部分がある
    • ダークツーリズムじたい定義が揺れているジャンル
コンテンツのヘリテイジ化
  • 映画のセット 文化遺産的にはニセモノ
    • コンテンツツーリストにとってはオーセンティックな体験。
    • しかし日本の幕末の文化遺産を見に行く人にとってはまがい物。 

2.コンテンツツーリズムの考え方

コンテンツツーリズムは若者だけではない

“The Mediatisation of Culture :Japanese Contents Tourism and Pop Culture”(2013),p.151

「「コンテンツツーリズム」は若者のツーリズム形態にとどまらない。中高年のツーリストもまた自分自身の(あるいは他者の)ポップカルチャー、あるいはポップカルチャーの多様な側面に魅了され続けていることも事実である。ポップカルチャーをきっかけ・資源としたツーリズム(popular culture tourism)を、そのコンテンツと意味するところから捉えることで、我々は、ツーリズムと他者の現代文化との関連性を考えることができる。この枠組みこそがコンテンツ・ツーリズムの可能性である。」(Beaton et al.2013,p.151)」

  • 中高年のコンテンツツーリズム

メディア研究では得難い洞察が引き出される。

  • メディアツーリズムが良いのかコンテンツツーリズムが良いのか。水面下で熱いバトルが繰り広げられている 
Contents Tourism in Japan(2017),“The potential of the Contents Tourism Approach”p.8-9
  • コンテンツツーリズムの効果
    • 「ある意味で概念としてのコンテンツツーリズムは、広く認められている現象を別の角度から取り上げただけのものである。しかし、この別の角度によってliterature tourismなどメディア形態に基づく研究手法では得難い洞察が引き出される可能性がある。Stijn Reijnders(2011)が言うところの『多くの最新事例のマルチメディア性を認める』より包括的な『メディアツーリズム』という用語により近いものである。」
  • コンテンツツーリズムは既存のメディアツーリズム研究を侵害しない
    • 「それでも、我々はコンテンツツーリズムがフィルムツーリズムや、その他の各種メディアツーリズムに関する既存の言説を侵害するものであるとは考えていない。その正反対で、我々はコンテンツツーリズムを、既存の研究手法と競合するというより、むしろ補完する理論上・方法論上の追加的研究手法と考えている。」
  • コンテンツツーリズムが恩恵を受ける例
    • 「これとは対照的に、ジェーン・オースティンをめぐるツーリズムの分析は、コンテンツツーリズムの恩恵を受ける。オースティンの小説のファンと、映画化・テレビ化された作品(さらには、多くの派生的な作品)のファンを区別するには、煩雑な分析が必要である。そのため、フィルムツーリズムとliterature tourismを区別しようとすることには問題が多い。それよりも「オースティンの世界」の多様なコンテンツに焦点を当てる方が有益であろう。そこには、著者であるオースティンにゆかりの場所、彼女が書いた小説に登場するキャラクターやモノ狩りや実際の場所、そして、ドラマのロケ地として使われることでオースティンの世界に加えられた場所が含まれる。」
  • 応用可能性
    • 「要するに、多様な作品やメディア形態を通じてコンテンツ群(物語、キャラクター、舞台をはじめとする製作上の要素)がファンのもとに届けば届くほど、手法としてのコンテンツツーリズムの応用可能性が広がるのである。」

3.メモ 受講生の発表「札幌・小樽がロケ地・舞台・ゆかりの地」となっている作品

  • 日系の方
    • ラブライバーの方→声優鈴木愛菜の実家の食堂を紹介。各地でイベントが行われるごとにラブライバーの皆さんがグッズを奉納するためプチ博物館状態になり聖地化していることを論じる。
    • ボカロの方→楽曲『Hello,Worker』のPVでクリプトンが出て来ることを紹介。