【下馬評】2020年1月発売ノベルゲームはどれを買えばいいですか?

2020年最初の月、ノベルゲームはどのようなものが発売されるでしょうか。
1年を占う最初の新作、その作品群を確認していくことにしましょう。
全体の傾向としては少数ヒロインや短編、低価格の作品が中心です。
体験版をやった限りではシナリオとして読めそうなのは『サルテ』くらい?
『あまいろショコラータ』はケモミミのキャラゲー路線狙い。
2019年12月が初版だが1月17日にDL版が出された『なまいき誘惑ロリータ』が一番面白いかも。

【目次】

誘惑なまいきロリータDL版(夜のひつじ)

  • ネガティブケイパビリティを扱う作品。生きる目的の無い曖昧な状況の中での肯定を得る
    • C97で初版が発売されているので厳密には1月発売ではありませんが、DL版とショップ委託版は1月17日に出たので便宜的に1月発売のところに入れて置きます。いつもは下馬評として発売前の体験版をプレイした時点で、どれを買えばよいかについて個人的な雑感を書くのですが、本作はもう既にプレイ済みです。それを踏まえて読んで欲しいのですが、本作は1月発売の中ではダントツで面白いと思います。
    • テーマとしてはネガティブケイパビリティを扱う作品で、生きる目的の無い曖昧な状況の中での肯定を得るという流れです。主人公は生きる目的を喪失した男性であり、今にももう死ぬ寸前だったのですが、①ネグレクトされている美術系少女「かやり」および②スポーツのコーチである両親から才能を見限られた少女「あゆき」と交流するなかで、死から逃れることとなります。
    • 本作で重要なのは「つらくない」という思想であり、世の中そう白黒はっきりつくものでもなく、解決できないことが多々あるのだという救いを与えてくれるのです。本文中では「雪では白すぎる。夜では暗すぎる。鈍色で灰色で、ひんやりして優しい。」と表現されており、グレーであることを認めてくれるのです。そして即座に問題を解決するのではなく、不確定の状態で待っていても良いことを教えてくれるのです。これを読んで実際に私は救われており、夜のひつじの作品群は救済をもたらしていると言えます。


 

あまいろショコラータ (きゃべつそふと)

  • ケモミミ娘と喫茶店
    • 圧倒的なキャラゲーで、ケモミミ娘と交流して親睦を深めることが主眼となっています。まったりとしたぬるい作品やケモミミが好きな購入層をターゲットにした作品です。そのため劇的なイベントやシナリオ展開としての面白さは二の次かと思われます。
    • では肝心のキャラはどうかというと、メインヒロイン1はやや面倒くさい系であり、その頑なさをどのように解すかで面白さが分かれると思います。このメインヒロイン1はクール系ぽんこつであり、個人の能力は高くなく、お情けでウェイトレスのバイトをやらせて頂いているという立場です。やる気が空回りしてしまい頑張れば頑張るほど、自分の力を示そうとすれば示そうとするほど、雁字搦めになってしまうのですね。このように不器用な少女を主人公がどう救えるかが見どころとなっています。もう一人のメインヒロイン2は元気系で能天気な田舎娘。このヒロインのルートについては純朴な娘が都会にどのように染まっていくかがポイントになるかと思われます。


 

サルテ (Soiree)

  • 凌辱ループ
    • 中世ヨーロッパ的な世界観で凌辱された姫がループを繰り返して悲劇から脱しようとする作品です。凌辱されて死ぬまでのシーンを何度も見せられることとります。ヒロインの姫は原型となる時間軸において死亡するのですが、どのように死んだのかを忘れさせられています。この原型の世界線での死因を思い出すことがループ世界を司る形而上学的存在から課題として出されており、何度も何度もループすることになります。体験版の時点では1周目のループが提示されるのですが、くっ殺展開となった姫様は、自分の意地とプライドを示して凌辱されて死んでいきます。すなわち最後まで誇りを捨てなかった尊厳死と言えるでしょう。しかしこの尊厳死は原型での死因ではありませんでした。果たして主人公の姫様は自分がどのように凌辱されたのか、思い出すことができるのでしょうか。思い出せるまで何通りもの凌辱を体験しなければなりません。登場人物たちが抱く殺意もどのように扱われるのかが気になるところとなっています。


 

神様のしっぽ ~干支神さまたちの恩返し~ (DESSERT Soft)

  • シナリオが冗長で構造がワンパターン
    • 体験版がものすごく長く感じる作品です。作風としては『天使のしっぽ』と同じノリ。動物と話せる異能を持つ主人公が、過去に動物愛護したことの恩恵を受け、神社に祭られていた干支神が顕現するという展開です。主人公は幼馴染の巫女から神社で祀っていた干支神さまたちなので家族になりたいという要望を承けます。幼馴染の巫女が唱える家族とは一緒に食卓を共にすること。こうして体験版では干支神たちの好感度を上げ、家族になることが目指されます。しかしながらこの過程がワンパターンであり、問題発生→その解決→好感度上昇→食事メンバーに加わるという構造を12キャラ分見せられるのです。内容は変わっていてもパターンは変わらず、少し辟易してしまうかもしれません。


 

風雷戦姫 神夢 (LiLiM)

  • 抜きゲーなのに魔力供給せず、異能バトルなのに1度も勝てない
    • 抜きゲーで魔力供給しないと死ぬという世界観なのにウダウダしてセクロスしない作品。しかも変身ヒロインの異能バトルなのに、バトル描写も微妙かもしれません。主人公はヒロインが変身するための触媒となる存在であり、変身後にはヒロインの防具となります。またヒロインは変身の代償として身体が疼くため性的な慰めを必要としており、戦闘で力を発揮させるためには主人公の魔力供給が求められます。ここまでお膳立てされているのにも関わらず、主人公はまるで純愛ゲーのようにウダウダしまくります。セクロスは好きな子としなければダメなのにほぼ初対面なので抱けないとかウジウジしており、出るジャンル間違ってんじゃないのと突っ込みを入れたくなります。そしてヒロインを抱かないので体験版のバトルは同じ敵と3回くらい戦っても勝つことができず、ダラダラと引き延ばしが行われたのでした。せめて1回くらい討伐成功するところを見せてよ!という感じでした。


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