- この項目で学習すること
1.マザー=テレサ
- カトリックの修道女としてインドで貧民のために奉仕活動
- 精神的なケアが重要という認識から「死を待つ人の家」というホスピスを開設。見捨てられた余命短い人を引き取り、最後を看取る。
- 「恵まれない人々にとって必要なのは多くの場合、金や物ではない。世の中で誰かに必要とされているという意識なのです。見捨てられて死を待つだけの人々に対し、自分のことを気にかけてくれた人間もいたと実感させることこそが、愛を教えることなのです」
2.レヴィナス『全体性と無限』
☆他者との倫理的出会いを突破口として自己の内在的世界から無限への脱出を説く
①ユダヤ人として強制収容所に送られ、親族を皆殺しにされる。他者の生命を軽視することの極限を体験。
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②西洋哲学では、「自己」を中心にして存在を「全体化」し、その全体性の世界に固執して他者からの呼びかけに耳をふさぎ、他者に暴力をふるう。
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③圧倒的な暴力に満ちた世界で、真の倫理の可能性を示すにはどうすればいいのか?
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④レヴィナスは「他者」を倫理の中心に据える
(※他性…他者のもっとも基本的な性格は、「私」とは根本的にあり得ないということ)
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⑤他者は自己の世界を根本的に超越した「顔」と呼ばれる存在であり、貧困・暴力・死の恐怖におびえながら「私」をみつめ「汝殺すなかれ」という倫理的命令を呼びかけてくる。
(※顔…自己にとって絶対的に他なるものとして迫ってくる他者を指す。)
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⑥「私」は自己の利益と享受をこえて、他者を倫理的に迎え入れ、他者の苦痛に責任を持つとき、無限の世界へと開かれて、倫理的主体となる。