倫理 西洋思想【12】個人と社会のかかわり④社会参加と他者への奉仕(マザー=テレサ、レヴィナス)

  • この項目で学習すること
    • 人間は独立した一個人としてその尊厳を認められなければならないが、一方で社会を構成している一員であり、他社とのかかわりなしに生きていくことは不可能。
    • ここでは他者の存在にあたたかな眼差しを向け、他者への共感を信条としたマザー=テレサレヴィナスを学習する。

1.マザー=テレサ

  • カトリックの修道女としてインドで貧民のために奉仕活動
    • 精神的なケアが重要という認識から「死を待つ人の家」というホスピスを開設。見捨てられた余命短い人を引き取り、最後を看取る。
    • 「恵まれない人々にとって必要なのは多くの場合、金や物ではない。世の中で誰かに必要とされているという意識なのです。見捨てられて死を待つだけの人々に対し、自分のことを気にかけてくれた人間もいたと実感させることこそが、愛を教えることなのです」

  • ホスピスって何?~生命倫理のおはなし~
    • 治療の見込みのない末期患者の苦痛を取り除き、最後の時間を有意義に過ごさせ、安らかな死を迎えさせるための施設。転じてその患者のことを指す場合もある。

  • QOL(Quality of Life):クォリティー・オブ・ライフ、生命の質
    • ターミナル・ケア(終末医療)の重視…苦痛の緩和や精神的ケア
      • a.尊厳死(消極的安楽死)…延命治療を停止すること(自然死)
      • b.安楽死(積極的安楽死)…薬物投与や自殺などで人為的に死なせること
        • ※オランダなど一部の国では安楽死は法的に認められているが、日本では尊厳死のみ認められる。

2.レヴィナス『全体性と無限』

☆他者との倫理的出会いを突破口として自己の内在的世界から無限への脱出を説く

ユダヤ人として強制収容所に送られ、親族を皆殺しにされる。他者の生命を軽視することの極限を体験。

②西洋哲学では、「自己」を中心にして存在を「全体化」し、その全体性の世界に固執して他者からの呼びかけに耳をふさぎ、他者に暴力をふるう。

③圧倒的な暴力に満ちた世界で、真の倫理の可能性を示すにはどうすればいいのか?

レヴィナスは「他者」を倫理の中心に据える
 (※他性…他者のもっとも基本的な性格は、「私」とは根本的にあり得ないということ)

⑤他者は自己の世界を根本的に超越した「顔」と呼ばれる存在であり、貧困・暴力・死の恐怖におびえながら「私」をみつめ「汝殺すなかれ」という倫理的命令を呼びかけてくる。
 (※顔…自己にとって絶対的に他なるものとして迫ってくる他者を指す。)

⑥「私」は自己の利益と享受をこえて、他者を倫理的に迎え入れ、他者の苦痛に責任を持つとき、無限の世界へと開かれて、倫理的主体となる。