レヱル・ロマネスク 第9話「上毛線再生基本方針」の感想・レビュー

今回は上毛電鉄ちゃんがメインです。
上州名物「かかあ天下」と上電の経営難を絡めて金策に走る様子が描かれます。
上電は利用客の減少に歯止めがかからず補助金でズブズブになっています。
この赤字経営は社会的なものであるため本質的に改善できるものではありません。
社会インフラの維持のためにかろうじて成り立っている上電はいつまで生き残れるのでしょうか。

「〔……〕沿線市の少子高齢化モータリゼーションの進展等により、鉄道事業者の経営努力のみでは、今後も利用者の減少は止まらず、維持存続のための国、県、沿線市の公的負担額は増加し、近い将来、地方自治体の財政的な理由から公的負担の継続が困難となることは明白である。」(https://www.city.maebashi.gunma.jp/material/files/group/9/kennsyou.pdf)

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  • このアニメを見て少しでも上毛電鉄に興味を抱いて頂けたら……
    • 皆さま、いよいよ上電ちゃんの出番ですよ!前橋市桐生市を繋ぐ赤城山南麓の鉄道です。伝承によればグンマーでは製糸業が盛んであり、かの上毛かるたにおいても「県都前橋糸の市」・「桐生は日本の機どころ」と謳われております。それ故前橋と桐生を結ぶ鉄道網が求められたのですが、同じく織物業が盛んな「銘仙織りなす伊勢崎市」を繋ぐために迂回する形でV字型を描くように両毛線は敷設されたのです。それ故、赤城南麓の養蚕農家たちは交通輸送に困ってしまい、それで建設されたのが上毛電鉄だったのです。マエバシの民は幼少の頃より古老から上記のように聞かされます。
    • しかしながらモータリゼーションの波によりグンマーでは自動車産業が盛んになります。中島飛行機富士重工(スバル)に転生し、北関東工業地域の一翼を担ったのです。グンマーはすっかりクルマ社会となり、鉄道を利用しなくなってしまいました。上電では特に通勤利用の乗員数が激減し、現在は通学利用が大半を占めています。その通学に利用する高校生ですら虎視眈々と運転免許を狙っています。グンマーの自動車教習所は授業が終わると学校まで迎えに来てくれますし、チャリも一緒に運んでくれます。グンダイ、タカケー、ケンジョ、コウカダイといったグンマーの大学は僻地にあるので自動車通学でなければとても通えないのです。
    • そんなわけで上電は大ピンチに陥っており廃線待った無しとなっております。一応、方針としては群馬県と沿線3市(前橋市みどり市桐生市)からは必要な路線と見なされており、補助金が継続して出ています。しかしながら小見出しにも書きましたように「〔……〕沿線市の少子高齢化モータリゼーションの進展等により、鉄道事業者の経営努力のみでは、今後も利用者の減少は止まらず、維持存続のための国、県、沿線市の公的負担額は増加し、近い将来、地方自治体の財政的な理由から公的負担の継続が困難となることは明白である」と結論づけられてしまっています。
    • 一応このアニメではグッズ開発とか言ってますが、現実では以下のような政策が取られています。「〔……〕自治体において、沿線への居住誘導や、公共施設、病院、学校、商業施設等の誘致など、沿線のまちづくり施策を実施していくとともに、鉄道ネットワーク化や二次交通の充実等による抜本的な利用者増加策について引き続き検討を行う必要がある」。いや、本当の話、補助金で支えきれなくなったら潰れるので、乗るなら今のうちだと思います。このアニメで少しでも上電に興味を持って頂けたら幸いです。

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