【感想】ラブライブ!スーパースター!!第6話「夢見ていた」【レビュー】

幼馴染回(後編)。依存や従属ではなく自立と対等を前提とする友人関係が描かれる。
かつてちぃちゃんはいじめられっ子であり、それを救ってくれたのがかのんだった。
ちぃちゃんはかのんに感謝する一方で守られるだけの自分にNoを突きつけ自立を目指す。
制約と誓約。ちぃちゃんはかのんに出来無いことで結果を出すまで馴れ合いを禁じたのだ。
一方で、ちぃちゃんの在り方・精神性はかのんに影響を与え続けており、お互いを高め合ってきた。
他者の為に歌いたいというかのんの想い。その他者とはちぃちゃんの事だったのさ(歌詞的な意味)。
そしてちぃちゃんの気高さは母の呪縛によりスクールアイドルを忌み嫌うポニ子をも感化していく。

1.イジメから救ってもらったからこそ庇護されるだけでなく対等になりたい!

f:id:r20115:20210906084215j:plainf:id:r20115:20210906084219j:plain
ちぃちゃんの人格形成におけるかのんの影響
  • ちぃちゃんの存在証明!かのんの為に役立ちたいというレゾンデートル
    • 【1】今回は今まで提起されていた「何故ちぃちゃんはかのん激ラブなのにスクールアイドルを一緒にやらないのか?」、「かのんがちぃちゃんのダンスに対して非常にデリケートな態度をとるのは何故か!?」という問いの解決編です。ちぃちゃんの人格形成の根底にあるのは幼少期におけるかのんとの交流でした。ちぃちゃんは引っ込み思案で暗くコミュ障でぼっちだったためイジメを受けることも多かったのですが、それを助けてくれたのがかのんだったのです。子どもとは残酷なもので、自分とは異なる他者に対して排斥を行います。心無い言葉を投げつけられたちぃちゃんは逃げることしかできず、転んで号泣。痛みだけでなく、惨めさとか切なさとかもあったのでしょう。靴も脱げコンクリートの道路で這いつくばることしかできないちぃちゃん……そんなちぃちゃんに優しく声を掛けてくれたのがかのんだったのです。さらにかのんはちぃちゃんの手を引き、勇気を出すことで新しいセカイが見えることを示してくれます。公園の小高い遊具から見た夕焼けはちぃちゃんに深く焼き付いたのでした。そして極めつけは髪飾りとられたよ事件。ちぃちゃんは女子集団に大切な髪飾りを奪われるのですが、それを取り返してくれたのがかのんだったのです。ちぃちゃんはかのんに感謝する一方で子供心ながらに守られているだけではいけないと思ったのでしょう。かのんと対等になりたいと決意し、その旨を語るのです。この幼少期のちぃちゃんの演説はかのんの心を打つことになり、それ以降かのんはちぃちゃんの気高い精神性を尊敬するようになり、お互いを高め合って支え合って生きて来たのでした。
    • 【2】ちぃちゃんが若いながらにしてトップクラスのダンサーになれたのは制約と誓約があったから。すなわち自分がかのんと対等になれると納得できるまでは、馴れ合わないと決めていたからでした。ちぃちゃんにとってその区切りというのがダンスで結果を示すこと。かのんとスクールアイドルをするためには時間的にラストチャンスであり、退学届けを用意して背水の陣を敷くほど。一方でかのんは誰かの為に作詞をしたい、歌いたいと思うようになるのですが、その対象こそがちぃちゃんだったのです。作中では名言はされませんでしたが、歌詞を見れば一発でちぃちゃんの事だと分かるという仕組みのエモさよ。さらに大会前の電話でちぃちゃんの不安を読み取ったかのんはなんと合宿を中座し来ちゃった☆を決行。はい、ここで『タッチ』を想起した人は挙手。南の呼び出しベルが~っていうシーンね(最近図書館で読んだ)。心情告白→うぃっすうぃっす→抱擁の流れはグッとくる展開となっています!おススメ。かのんのおかげでサクッと優勝を決めたちぃちゃんは、かのんにお持ち帰りされることとなり、そのまま合宿に合流。4人でステージを決めたのでした。
f:id:r20115:20210906084228j:plainf:id:r20115:20210906084247j:plainf:id:r20115:20210906084255j:plain
今回の天候変化による感情描写の推移

 

2.かのちぃ以外のその周辺

f:id:r20115:20210906084157j:plainf:id:r20115:20210906084201j:plain
クゥすみ(すみクゥ?)
  • 2-1.すみクゥ/クゥすみ
    • かのんとちぃちゃんの間で百合的空間が展開されている一方、すっかりギャグ要員として落ち着いたクゥクゥと平安名の姿が!同衾して一夜を過ごし、クゥクゥが夕食当番を失敗した際には平安名のフォローが入ります。相変わらず平安名さんはスペックたけぇな!純粋なる日本人で由緒ある神社の巫女なのに(金髪だけど)上海料理も何のその!しかも功績を自分のものとはせずクゥクゥに配慮を見せるのは完全に勝者。二人でエプロンをつけて並んで座っている姿がとても良いですね。そんな平安名さんの気づかいに対してクゥクゥが謎の対抗心を燃やすのもお約束。クゥクゥが尊敬とかアイドルとかそういうのを抜きにして一番心許せるトモダチというのが平安名さんなのかもしれません。クゥすみ?すみクゥ?すみクゥかもしれない。普段平安名さんのへっぽこな面が強調されるので、クゥクゥがしたり顔でマウントをとろうとするも、実は平安名さんの方がスペックが高くて返り討ちにあうエモさがウリなのですみクゥなのかもしれない。
  • 2-2.同じ音楽科であるちぃちゃんに同族意識を抱いていたポニ子だが……
    • そして5人目の戦士ポニ子。同じ音楽科でありかのん達に協力しているのに、「スクールアイドルしない」という共通項を持つちぃちゃんに、ポニ子は興味津々です。おそらくポニ子は自分が抱えるモヤモヤをちいちゃんと共有したかったのでしょう。ちぃちゃんが退学届けを持っていたことでさらに踏み込んできます。しかしここで返ってきたのは、ちぃちゃんの精神的気高さでした。ポニ子は自分が母に対する劣等感や呪縛を吐き出したかったのに、ちぃちゃんにマイナスの感情など無かったことで、自分の矮小さを知ることになります。ちぃちゃんはあくまでも自己のプライドを賭け自立を証明しようとしているのに、ポニ子の親を気にして自分の好きを貫き通せないという小ささが浮き彫りになるのです。何という伏線!最近の作品では少なくなりましたが、親と戦い自己を確立するのは思春期にとって欠かせないイベント!ポニ子がママンの呪縛をどう打ち払うのか、非常に楽しみです。
f:id:r20115:20210906084210j:plainf:id:r20115:20210906084224j:plain
ちぃちゃんを気にするポニ子



感想まとめ