アマナツの感想・レビュー -

都会での勉強漬けの毎日に嫌気が差した主人公が山村に転校して田舎暮らし生活をする話。
主人公の両親は成績にしか興味が無く主人公を進学校に通わせ塾にぶち込み勉強漬けにした。
だが主人公は青春を謳歌したいと思い親に反発。親戚を頼って居候しスローライフを求める。
ところが主人公はアニメやゲームに精通していたり筋トレに励んでいたり趣味がちゃんとあった。
勉強漬けに嫌気が差したんじゃなかったのか？と読者が思った所でヒロインも同じ疑問を持つ。
真相は希薄な人間関係が寂しかったのであり人との繋がりを求めていたことが判明し体験版は終了する。

山村での田舎暮らしを体験！スローライフで青春疑似体験

よくある「都会で勉強漬けの毎日を送っていた主人公が田舎で視野を広げる」というパターン
- その昔コットンソフトというメーカーが『ナギサの』という作品を出しておっての、それは都心の進学校に通い勉強漬けの毎日を送る主人公が田舎でのひと夏を体験することで自分の視野や価値観を広げていくというのがコンセプトだったんじゃ。と、いうわけでコンセプトだけ見れば『アマナツ』は『ナギサの』の二番煎じであり田舎暮らしのメインが海から山へ変わっただけじゃね？と一見すると思われるかもしれません。しかし、差異を挙げるとするならば、それは主体性の違い。『ナギサの』の主人公は自らの意志で勉強漬けの日々を送っており、偏向的になることを心配した親が田舎へ連れて来ます。その一方『アマナツ』の主人公は両親によって勉強漬けの毎日を送らされており、それに嫌気が差して自ら青春を求めて田舎にやってくるのです。すなわち『アマナツ』の場合は主人公と両親の間に問題があり、体験版内でも勉強をボイコットして田舎暮らしを押し通したとあるため、その問題をきちんと描けるどうかで作品の面白さが変わってきそう。単にヒロインとイチャコラするだけのキャラゲーじゃないことを祈ります。

『アマナツ』の面白かったところとか
- 体験版ではキャラ紹介、人間関係、作品の舞台の紹介がメイン。攻略ヒロインはわざわざ市内から山村に通う元気系ウザかわ後輩、ミステリアスな雰囲気を漂わせるも実はおちゃめなバブミ系巫女先輩、親戚であり居候先で同居するツンデレ系世話焼き従姉妹の3人。主人公は田舎の山村でヒロインと交流しながら絆を深めていきます。富山県南砺市にある五箇山の合掌造りをわざわざ出してきているのだから、この舞台装置を生かしたフラグ構築が出来れば良作になりそうだが果たして。
- そして青春と言えばヒロインだけでなく男友達もまた重要な存在。キモヲタ・陰キャ系筋トレ配信者・お姉系ホモォの3人衆が山村暮らしを盛り上げてくれます。彼らとの交流の中で気になるのは主人公全然勉強漬けだけじゃなくて趣味あるやんということ。主人公はアニメやゲームを嗜んでおりキモヲタと意気投合。また毎日動画サイトで配信される筋トレ体操を欠かさず行っておりドーパミンで鬱や不安を吹き飛ばしていたとのこと。そんなわけでプレイヤーたちは、主人公よ、お前勉強漬けとか言っておきながら、全然勉強漬けじゃないやん……勉強漬けとは!?……とツッコミどころ満載になったことでしょう。
- しかしながら面白いのはメインヒロインもまた同様の疑問を持っていたということ。勉強漬けの毎日が嫌になったと述べる主人公の本質をツンデレ系世話焼き従姉妹は見抜くのです。主人公が田舎に「逃げて」来た真相は唯々寂しかったからだけなのでした。主人公の両親は成績にしか興味が無く主人公自身の事を見てくれようとはしませんでした。また遠距離の進学校に通うことで地元の友達とも疎遠になります。そして学校が終わったらすぐ塾となるため放課後友達と遊びに行くということなども無かったのです。こうして寂しくなり人恋しくなった主人公は人間関係を求めて田舎にやってきたのでした。
- 田舎の人間関係は悪い所や嫌な所も多いですが、緊密なのは確かですからね。特に作中に出て来る合掌造りの家屋では屋根の葺き替えの際に「結」という相互扶助が必須になってきますし。以上により、主人公が田舎にやってきた本当の目的が終局部で明らかになり体験版は幕を閉じます。父親が都市部に出稼ぎに行ってしまい寂しさを抱えている従姉妹とわざわざ都市部から山村の高校に通ってきている後輩は主人公とシンパシーを感じているところも多く、これらを丁寧に描いて欲しい所。ちゃんとキャラの人物像の掘り下げが出来るかどうかで評価が分かれそう。