ウォーラーステイン/山下範久訳「資本主義的世界=経済としての近代世界システム―生産・剰余価値・両極化」(『入門世界システム分析』藤原書店)

  • 世界経済概念について
    • 近代世界システム―16Cにその起源
    • 世界=経済とは?
      • 分業+資本・労働+諸財の交換が行われているような大規模な地理的領域
      • 単一の政治構造によって境界づけられていない
  • システムとしての資本主義
    • 「無限の資本蓄積」を優先するシステムが現れてはじめて、資本主義のシステムの存在いうことができる。
  • 世界=経済とシステムとしての資本主義
    • 世界=経済は政治的構造・等質的な文化という統合の紐帯が欠け、分業の有効性だけが根拠
    • 世界=経済は近代以前にも構築されたが、解体されるか世界=帝国化した(アジア諸国専制王朝)。
    • システムとしての資本主義は、世界=経済以外の枠組みでは存在しない。
  • 近代世界システムに埋め込まれた諸制度
    1. 市場
    2. 市場で競争する企業
    3. 国家間システムを成す複数の国家
    4. 家計を構成する世帯
    5. 階級
    6. 身分集団
  • コンドラチェフ循環
    • 主導産業が独占に準ずる状況にあるときには世界=経済は拡大し独占の程度が低下すると世界=経済は縮小するという過程
      • A局面:主導産業の正常な展開=独占がゆっくり溶解していく過程
        • 独占の溶解⇒雇用の拡大⇒賃金水準の引き上げ
        • 企業の参入⇒価格競争⇒利潤率の低下
      • B局面:世界=経済の停滞や後退
        • 失業率の上昇⇒コスト削減⇒生産過程の移転⇒相対的に低賃金であった半周辺に進出
        • 中核地域に圧力となり賃金の低下⇒消費者の稼得の現象が有効需要の不足を生み出す
  • コンドラチェフ循環の長期的趨勢と漸近線
    1. 主要な生産過程における利潤率の低下はコスト削減のために反周辺へと移転をもたらし中核地域では失業率が悪化する。
    2. グローバルな有効需要に影響を与え消費者は減少するため逆説的に中核地域で労働者の賃金上が起こり新しい主導産品に対する有効需要を生み出す。
    3. しかし、中核地域の賃金上昇は企業家にとっては利潤の減少であり、より体主意順の賃金で働く世界の他地域で労働力を拡大して埋め合わせる。
    4. 中核⇒半周辺⇒周辺への労働力の拡大は最終的に枯渇する。