猫撫ディストーションExodus 体験版 の感想・レビュー

猫撫ディストーションは、哲学的世界認識のおはなし。
妹死んで、家族崩壊。失われた二十年、生存理由の証明、アイデンティティ拡散。
生きる意味を失った無職ニートが、世界を創造する。
社会的存在としての人間の在り方とは何か。

前作の流れと体験版の内容

妹を亡くしたことにより家族が崩壊し生きる意味を失った主人公くん。前作では、研究職崩れのダディの画策により、主人公くんは攻略ヒロインが構築するあまたの並行世界を観測していく。主人公の姉は妹の代償を近親相姦子作りで生み出そうとするも世間に受け入れられず、変化を否定し、全てを無機物化?することによって永遠を得ようとする。主人公の母は、変化を肯定し、人間を植物と同化させ、最後には宇宙における意識的存在にまで昇華させる。変わり続けることで、家族の紐帯を取り戻そうとするのだ。はたまた、幼馴染は、現実と戦うことの世界を突きつけるのであった。そんな中でも、尻切れトンボちっくなエンドを迎えたのが猫耳メイド√であった。前作の猫耳メイド√は猫を人間にするために、人間が認識する世界観を再認識することが物語りの根幹となる。しかし、途中で「どうして猫は人間になれないんだ!!」それはもう猫ではない、ということに気付き、現実世界に舞い戻るはめになり、しかも絶望の後には希望があるとか言っちゃって、トートツに猫耳メイドのそっくりさんと現実でも出会い孕ませ子作りエンドになるんですよ。ファンディスク?の体験版では、この猫耳メイド√の再挑戦となる!!


猫耳メイドは元々は捨て猫であった。琴子が死んだ後、琴子の生まれ変わりを探して彷徨い歩いていたとき、代償として見つけ「ギズモ」と名づけたのだ。主人公の樹(タツキ)は、この猫を琴子の代わりとし、孤独の心を慰めてきたのであった。世界が揺らいで、並行世界の可能性が確定されようとしたとき、猫は猫耳メイドとなった。そして前作のクリスマスからファンディスクの体験版はスタートする。最愛の妹琴子と琴子の代償であったギズモと主人公くんだけで構築されている世界。この世界を「観測者としての主人公くん」が望み、永遠に変わらないことを願うようになる。その一方で、「プレイヤーとしての主人公くん」には、前回「猫は人間になれないんだ」→「現実」となった展開とは別の世界が用意される。世界を確定させなければならない主人公くんは、この「変わらない世界」か「もうひとつの猫耳メイド世界」かの選択を迫られるのであった。「その50時間が過ぎたら、時間の矢は方向を失い、ここは永遠に落ち続ける世界として確定する」というところまでが体験版。