雑録

蒼の彼方のフォーリズム「倉科明日香」シナリオの感想・レビュー

倉科明日香ルートは「何事にも楽しみを見いだせることが出来る尊さ」が描かれます。
「上を向くこと、頑張り続けること、元気でいること、そして好きなものに真っ直ぐでいること」
敵から精神攻撃を受け挫折のトラウマが発動して崩れ落ちる主人公くんを明日香が救います。
明日香の楽しむという姿勢は勝利至上主義者にも影響を与え、友情を結んでいくことになります。
でも、個人的にはみさきちルートの方が好きだったりする。
明日香で人の善性を描くのなら、みさきちでは人間の負の感情を描いているから。

明日香ルート概要


  • 明日香特訓計画
    • 夏の大会から数日後、明日香ルートでは突如として乾さんがヘリで乗り付け勝負を仕掛けてきます。真の狙いは主人公くんを精神崩壊させることなのですが、その代わりとして明日香が出撃。乾さんにバードゲイジ(相手より上位のポジショニングを維持して動きを封じる技)を発動され惨敗の結果に終わります。この戦いは主人公くんチーム全体に影響を与え、みさきちも真白も明日香のために自分たちを使ってくれと提案してくるのでした。さらに部長や真藤さんも加わり、明日香をひたすら特訓する修行回が展開されます。練習で叩きのめされ疲れ果てても次の日には弱点を修復してくる明日香に、みんなは驚きが隠せません。しかし明日香の上達の裏には、凄まじい努力があったのです。こうして明日香はオーバーワークとなり倒れてしまうのでした。主人公くんは選手の体調管理を見誤り、自分はコーチ失格だとショックを受けることになります。



  • 指導者は教え子の内面にまで踏み込む必要があるか
    • 明日香が倒れて衝撃を受ける主人公くんに対して、師匠の葵さんから倉科明日香のことをどれだけ知っているのか?と質問が投げかけられます。その問いに何も応えられない主人公くん。そうなんです、主人公くんは選手の能力育成には長けていたものの、選手個人に対しては表面的に接していたのでした。もちろんある程度の線引きは必要なのでしょうが、それでは内面に抱える諸問題を解決することはできません。葵さんから問題点を指摘された主人公くんは明日香のもとへと走ります。それを見つめる葵さん。これは葵さんが主人公くんの内面にまで踏み込まなかったので、主人公くんが挫折してしまったことへの悔恨からくるアドバイスだったのですね。
    • 明日香のお部屋へお見舞いにいった主人公くんは色々な話をします。このイベントで主人公くんは明日香のことを何も知らなかったのだと思い知らされる結果となるのです。明日香は日に日に成長が著しいものの、それは地道な努力の結果であること、そのため体調を崩してしまったこと。また個体スペックとしては劣っており、少し抜けている性格の明日香が常に向上心に溢れている理由も知らされます。それはかつて引っ込み思案でオドオドとしていた幼少期の明日香が貰った言葉でした。「上を向くこと、頑張り続けること、元気でいること、そして好きなものに真っ直ぐでいること」。明日香はこの誓いがあったからこそ、明るく前向きに生きようと努力ができるようになっていったのです。明日香の人間性に触れた主人公くんは明日香を化け物扱いしたことを恥じるのでした。



  • 主人公くんの心情吐露タイム
    • 今まで選手のことを表面的にしか見てこなかった主人公くんは、明日香の体調が回復すると、みんなで大型ショッピングモールへ遊びに行きます。ウィンドウショッピングを楽しむ中で、主人公くんは明日香に対し、自分のこともさらけ出していきます。自分の原初体験、つまりは師匠の葵さんと楽しんで空を飛んでいた時の気持ちを告げるのですね。そして自分が葵さんから貰った言葉「空を見ろ、空を見続けろ、答えはそこにある」を伝え、楽しく空を飛んでいて欲しいと明日香に思いを託すのです。明日香との交流は主人公くんの傷も癒していき、俺もまた楽しまなくちゃと思わせるのでした。
    • 傷が癒えかけていた主人公くんのもとへ、そうはさせじと乾さんのパートナーであるイリーナが襲いかかってきます。主人公くんのトラウマをえぐり「選手にツライ思いを押しつけて自分は傷つかないコーチという立場で高みの見物か?」となじり、追い詰めていくのです。主人公くんの心は砕け散り、精神崩壊寸前、膝を屈して倒れかけます。しかし、そこへ明日香が駆けつけ主人公くんを庇います。トラウマと戦いながら主人公くんがどんなに選手達のためにフライングサーカスについて取り組んでいるかを語ります。明日香のおかげで我を取り戻した主人公くんは何とかイリーナの精神攻撃から逃れるのでした。
    • 明日香に庇われて窮地から救われた主人公くんは、女神である明日香にすがりつき過去を告白していきます。自分が競技を辞めた理由、挫折の経験を分かって欲しい。今まで誰にも話せず燻らせていた思いを吐き出し、過去と向き合っていきます。明日香に話すことで、自分の過去を受け入れることのできた主人公くんは、長い挫折から覚醒。明日香からも飛んで欲しいと後押しされた主人公くんは空へと舞い上がり、かつて鍛え上げた技の数々を明日香に伝授するのでした。



  • 葵さんも過去の呪縛から解放されます
    • 主人公くんの師匠も過去の呪縛に囚われていました。その原因は二つあり、自分の弟子の主人公くんを挫折させたことと、勝利に拘る余り禁じ手となりうる技を使ってしまったことでした。この二つの呪縛が明日香により解放されたのです。まずは明日香のおかげで主人公くんが空へと復帰できたこと。これにより葵さんは明日香に直々に稽古をつけることになります。そして葵さんは明日香に対して過去に封じられた禁じ手を使用するのですが、これを主人公くんとの連携により破って貰うのでした。こうして葵さんも過去の呪縛を克服することができたのです。葵さんもまた選手として現役復帰し、フライングサーカスに取り組むことを決意するのでした。



  • 勝利至上主義者に 楽しむことの素晴らしさを
    • いよいよ秋大会の新人戦。明日香も乾さんも順調に勝ち進み、決勝で対決することになりました。明日香は最初から全力全開。特訓の成果を遺憾なく発揮していきます。葵さんの技を発展させた高速加速やみんなとの特訓で身につけた多方面攻撃を駆使して乾さんを追い詰めていきます。まさに友情・努力・勝利!となるところへ乾さんの奥の手が発動されます。それは個人の技術ではなく、メーカーが開発した競技用シューズの新たな性能を発動することでした。イリーナの指示によりなぶられ続け延長戦に突入する明日香。それでも主人公くんは諦めません。高性能な相手のシューズに対して、シューズの制御装置を切って飛ぶことを提案します。賭けに出た主人公くんですがこれは無謀なものではなく、夏の特訓で鍛えられた明日香には使いこなせると踏んでいたからでした。明日香もそれに応えて見事シューズを操り、乾さんと接戦を繰り広げます。その戦いの様子はとても楽しそうなものであり、楽しさを否定するために飛ばせてきたイリーナは考えを改めざるを得ません。最後の局面では、明日香が主人公くん直伝の技を披露して劇的勝利。全力を出して試合を楽しんだ結果、乾さんとも友情を深めることに成功したのでした。そして、勝利至上主義であったイリーナに楽しむことの素晴らしさを教えたのです。人生、どんなことでも、楽しさを見出すことが重要なのかもしれません。