クロノクロック-chronoclock-(体験版)の感想・レビュー

テキトーに生きてきた金持ちのボンボンがタイムリープを契機に人生を見つめ直すはなし。
主人公くんの内面描写が巧く書かれており、痛い目にあってチャラい考えを棄てる場面はすてき。
ヒロイン達も良い感じに歪んでくれているので、どのように救われるのかが楽しみ。
体験版では主人公くんが人の感情を弄んだ結果しっぺ返しをくらい考えを改める所までプレイできる。
わりと面白く感じ熱心にエンターキーを押す作業を行ってしまいました。

概要

  • 主人公くんが自己を省みることになった契機
    • 主人公くんは地域における政治的支配階層かつ経済的特権階級の御曹司。幼少の頃から「個人」としてではなく「家の後継者」として色眼鏡で見られていたため若干擦れてしまっております。自分が家督を継ぐことに関しては甘んじて受け容れ唯々諾々と日々を過ごしているものの、それに納得しているわけではありません。しかしながら個人では何も出来ず襖火を抱いたまま燻り続けています。祖父の蔵から発見された「1時間に5分間だけ過去跳躍できる時計」を手に入れても享楽的な行動しか行いません。スクラッチをやって小銭を稼いだり、女の子にちょっかいをかけては巻き戻したりと刹那的な人生を送る日々。そんな主人公くんでしたが、因果応報、痛い目に会う時がやって参りました。
    • ある時女の子が空から振ってきて・・・グシャっと死亡!!!驚愕した主人公くんは思わずタイムリープを発生させて5分前に戻り、屋上へとひた走ります。身投げを止めようとするも、そこには1年生の後輩(鈴木さん)が自分の親友に告白するシーンが!!なんと主人公くんは愛を告げる場面を台無しにしてしまったのです。まとめると鈴木さんは極度の上がり症であり時間跳躍前の世界では告白に失敗し転落死に繋がった模様。主人公くんはお詫びの意味もあり、もう一度告白の場をセッティングし、上がり症を克服できるように協力していくことになります。はい、お約束展開ですね。ヒロインが他の男に告白する手伝いをしていたら好感度上昇してしまい、逆に主人公くんを好きになってしまうパターンです。主人公くんは機微を察することに長けていたため、自分に好意が向いていることを早々に気がつくと困惑します。そしてフラグが成立するたびにタイムリープを駆使してなかったことにしてしまうのですね。ときかけ展開です。


  • おちゃらけて生きてきた主人公くんなりのケジメの付け方
    • どうして主人公くんは片っ端からフラグをへし折ったのでしょうか?それはあまりにも鈴木さんが誠実であったからでした。過去跳躍を使って自己保身に走る主人公くんにとって、積極的に未来を切り開いて選択肢を増やそうとする鈴木さんは眩しすぎたのです。主人公くんは鈴木さんの人格に接する中で如何に自分が卑小な人間であるかをまざまざと感じてしまいます。故にせめてもの信念を貫き通すため、鈴木さんの告白を成功に導く努力をすることを実行することを決意したのです。故に、鈴木さんにおける主人公くんへのフラグはすべてへし折ったのですね。
    • また主人公くんは少しでも鈴木さんの告白の成功率を上げるために自分の親友のフラグもへし折ることを決意します。親友が好きな相手は主人公くんの実妹;沢渡満だったのですが、その実妹である満は主人公くんのことが好き好き大好き好き好きで好感度MAX状態であり、親友のフラグ生成成功率は0%。そんな親友に対して主人公くんが自分の心情を吐露し真摯に向き合うシーンは普段がおちゃらけている分だけ一種の見せ場となっております。結果、親友は秘めておこうしていた想いを吐き出すことになり、振られはしたものの、すっきりとしたような感覚を持つに至るのでした。これにてようやくお膳立てが整い、再チャレンジ告白タイムへ突入。鈴木さんへの未練や葛藤などを乗り越えて自分の信念を貫いた主人公くんにはグッときますな。

攻略ヒロインズまとめ

  • 城之内真琴
    • ヤクザの娘。親からはカタギの世界で生きるように言われているためフツーであろうと猫を被っています。けれども蓋を開けてみれば生粋の姐御肌であり、真琴の正体を知っている主人公くんに対してはメンチきってきますしネクタイを締め上げます。カタギの世界とヤクザの世界で揺れ動く真琴に対して、ありのままを受け容れて上げればフラグは成立。親の言いつけを守って猫を被りフツーに生きようとするのも真琴であるし、親を尊敬して姐御肌の素を見せる方もまた真琴であると。主人公くんに受け容れられた真琴は、気を遣わなくても済むし一緒に居て安心できる相手認定をするようになり好感度蓄積していきます。真琴の出身である城之内家は、主人公くんの実家である沢渡家が土地集積を行う際に、地域住民の反対運動を調整した役割だったことが伏線として張られています。このことを考えると土地問題や住民対立がテーマともなりそうですが、果たしてどんな展開になるのか楽しみです。薄っぺらくなりませんように!!

  • 沢渡満
    • 正統派清楚系黒髪ロングお嬢様・・・とみせかけ実はガチ妹近親相姦願望少女。後天的な盲目であり目が見えません。満は幼少期までは目が見えており、お嬢様教育を受け居ていたものの、高熱を出して盲目となってしまいました。そのため現在の家での地位も期待されておりません。そんな満に対して、主人公くんは高熱の時には傍に付き添い熱心に看病し、盲目となってからは陰に日向に手助けしてあげました。故に満における主人公くんへの信頼度・好感度はカンスト状態。主人公くんと性的に結ばれることを願っては毎晩寝具を濡らしているほどです。実妹は書類上婚姻できないことも了承しており、妾として囲って貰うつもりまんまんであり、理解ある主人公くんの正妻を求めています。「最初から好感度マックス」であり「実妹関係性変化」モノなので、どうシナリオをひねってくるかが期待されます。個人的には盲目のきっかけとなった熱病が伏線だと思っており、熱病に感染した理由が主人公くんにあったことが判明して精神崩壊とか予想しています。

  • 安藤美咲
    • アホの子チョロイン枠。愛すべきお馬鹿な弄られ系キャラであり、主人公くんに突っかかってきては適当にいなされワンワンのように嬉しそうにします。主人公くんからはストックホルム症候群と分析されており、沢渡家の後継者である主人公くんを憎く思う余りアレコレと調べたりケンカを売るようになったりするうちに憎いのか好意なのかごっちゃになっちゃうとかいうやつ。どーでもいいやつなら無関心になるだけですが愛憎は表裏一体であるという展開です。体験版では鈴木さんと満の親友ポジションとして登場し、良い感じにアホの子っぷりを見せてくれますが、人間像については深くは掘り下げられません。周囲からの視線に慣れないといけないという伏線やオープニングで楽器を演奏しているところか、音楽系シナリオになりそうな予感がします。

  • ドロシー=ダヴェンポート(D.D.)
    • アングロサクソン族。大英帝国出身であるものの明るく元気なヲタ少女。洗練された流暢な日本語を操れるものの、キャラ設定のために自らカタコトで喋るヲタっぷり。実家はりんご園を営んでいることから地主と推察され、イギリスでは地主=貴族なのでノーブルであろうことが予想されます。アニメやゲームが大好きであることから日本に留学、主人公くんのお家にホームステイしながら自ら見習いメイドに志願してきます。まぁそれは建前でありホントウは主人公くんがどんな人物像か見定めるため。主人公くんの祖父とドロシーの祖父の情交が深かっため、酒の席で許嫁認定されたことから、どんな人間なのかと見定めるために日本にやってきたというノリです。(※ちなみに主人公くんはドロシーの情報を実妹の満によってシャットダウンされていたため知りませんでした)。攻略ヒロインのうちドロシーだけプロローグ後からの登場です。主人公くんの過去に戻れたらどうしたい?という問いに対し、擦れていた幼少期の主人公くんを救ってあげたいと答えます。ヲタ少女ヒロインではスクールカーストやイジメ問題がテーマとして扱われるので、ドロシー√では民族差別で傷心の所、過去の主人公くんがゲームだの漫画だので励ましていたのだ〜とかいう展開になるのだろうか?まぁ思い付きですが。