雑録

芝村裕吏『遥か凍土のカナン』(星海社FICTIONS)の感想・レビュー

6巻でメインヒロインのオレーナを殺して退場させたので良くやった!!と狂喜したら最後に生きているフラグ。
見事に騙されてしまいましたとさ・・・。
まぁ生きてる伏線はかなり張られていましたけども。死体を主人公が確認していないとか醤油を使った似而非日本料理とかね!!
こういう擬似史もので「実は生きてました〜」ってやられると本当にやるせない気分。
あれだ、るろ剣でメインヒロインが死んだと思ったら「実は生きてました〜」ってやられたのと同じくらいな気分。
英伝キルヒアイスやヤンが「実は生きてました〜」とかやられたらどう思いますか?
亡き妻への思慕を抱えながらコサック国家建国に魂を捧げた良造(主人公)の気持ちは一体・・・。
生存フラグはブラフで本当に次巻(最終巻)では退場していたらかなり評価できる。それどころか歓喜するだろう。

  • 人口移動と国家建設内政ゲー好きにオススメ
    • いやこの「はるかな」は擬似史モノ好きには結構面白い題材を扱っているのですよ。前半の巻は帝国主義の時代(19世紀後半〜20世紀初頭)における人口移動がテーマ。「日本にやってきたウクライナ生まれのコサックロシア貴族少女をサンクト=ペテルブルクにまで送還する」ことを目的として設定とすることで、「帝国主義と世界の一体化」の時代の「日本からインドまでの海路と中央アジアの陸路」を描き出しており、実にワクテカするのである。『乙嫁』と似たような時代設定だし。そして後半の巻からは国家建設モノとなり内政スキーにはたまらない内容となっている。工場経営から兵器開発、移民導入やインフラ整備、土壌改良に農業試験、小学校教育の導入による読み書き計算の徹底と人材育成、そして資本導入や金融など大興奮するだろ!?内政スキーが喜びそうなテーマがちりばめられているのだ!!また本当かどうかは分からないが現地の人々の生活習慣や風習が細かであり、その描写もステキ。後書きから判断すると実際に現地に取材へ行っているそうで、それが反映されているのだとか。まぁ歴史のことなんで過去そうだったかは分からないのですが、地誌ネタは大好き。
  • 良造さんと嫁達
    • で、この作品の主人公のリョーゾーさん。朴念仁やロバと評される寒村農村三男の騎兵上がり。俺TUEEE展開で無双もするよ。実直な性格であるが故に移動中あちこちで嫁が増えていきます(3人だけですが)。リョーゾーさんは14歳のオレーナ嬢(メインヒロイン)を嫁にすることを躊躇しているため、お嬢本人にとっては気が気ではありません。私を娶ってくれず他の女の所にいってしまうのではないかしらん?と。結果、第三婦人ジブリ―ルを出し抜きロシアへと逃亡。さらにオレーナ嬢は己の身体を使ってリョーゾーさんを繋ぎ止め、性交することに成功し、孕みます。しかしながらオレーナ嬢はその他の嫁を出し抜いたことを悔恨しており、流産の危険性が迫っていたのです。そのためリョーゾーさんはジブリ―ルを迎えに行くのですが、そこで待っていたのは強姦されることを拒んだが故に気狂いとなった憐れなジブリールの姿でした。リョーゾーさんはこれまた無双してジブリールを救出、自領へと戻るのですが・・・オレーナ嬢死亡のお知らせ。まぁ死体を既に処理したとかジブリール日本食作ってる時点でレナ生存の伏線がばんばん張られているのですがね、見事にミスリードに引っかかって死んだと思い込んでいましたとも。結局、最後にリョーゾーさんの友達のユダヤ人であるグレンがオレーナ嬢と手紙の遣り取りをしていることが提示されて「実は生きてました〜」っていうオチいになる。あーあ。7巻も買うけどね!!