はるるみなもに!「イモウト√」の感想・レビュー

土地と神を結びつける異能に開眼した主人公くんが現人神である実妹の暴走を鎮めるはなし。
イモウトモノはインセスト・タブーをどう処理するのかがシナリオの見せ方の一つとなるのですが……
何の障害もなくあっさりと受け入れられおった!両親も氏子の皆さんももそれでいいんかいな。
フラグ構築後は主人公くんと結ばれた実妹が余りにも嬉しくて神意を暴走させてしまう。
これを解決するのがメインイベントであり、先代の神や設定の回収などが行われる。

雑感


  • インセスト・タブーどこいった?
    • イモウトモノで必ず問題となるのがインセスト・タブー。すなわちこの近親相姦の禁忌を描く中で、様々なイモウトシナリオ類型を生み出してきたのです。イモウトシナリオ類型の代表なものとしては以下の通り。社会的制裁を受け入れて逃避行に走りイモウトだけいればそれでいいとセカイ系エンドを選ぶ「イモウト的実存」、社会的モラルを重視し肉体的には結ばれずともお互いを尊重する「イモウトプラトニック」、イモウトが他の男と結ばれてしまったとしてもイモウトへの精神的奉仕を貫通する「イモウトNTR」、イモウトへの愛というテーゼと男女としての愛というアンチテーゼをより高次元の愛で止揚する「イモウトアウフヘーベン」、セカイ系を否定しインセスト・タブーを自分の周囲に受け入れてもらい祝福してもらおうとする「イモウト社会承認」など様々なものがあるわけですね。モラルに反する行為だからこそ、そこでは人間の心情描写を表現できるというわけです。クロポのよるよる曰く「レッツ背徳」。
    • しかしながら本作ではインセストタブーの問題は殆ど起こりません。両親に対して相談すると即座に了承となり、主人公くんの神社の氏子たちも賛成。全く気にしないのは割と違和感満載。イザナギイザナミの話とかちょっと出てきましたが、本格的には触れられず、違和感を増しているのはこのせいかもしれません。もっとしっかりがっつり神話伝承編やって国生み神話を詳述すればまだ読めたかも。まぁクロシェットの作品群はもともとインセストタブー全然気にしませんしね。いうなれば「イモウトご都合主義」。



  • 作中設定回収編
    • 他√では主人公くんの異能は「神殺し」として紹介されてきました。神々の力を引き出すというものです。しかしイモウト√では世界観の設定回収とともにホントウの能力に覚醒していきます。主人公くんの地元は山サイドと海サイドがあり、もともとは一つの神が治めてきたものの、その神が山に入ったため、来訪神が海サイドを治めることとなったというものです。しかしその実態は、山サイドにおいて災いが起こり、それを鎮めるために、山に入ったことが明らかになります。
    • こうして山神となった先代は、その本分を全うしたものの、本心としては山の怪異を恵に変えることを意図していました。それ故、先代は自分の神力を二つの方向に分け、土地と神を結びつける能力を主人公くんに、そして自分の山神としての能力をイモウトに分けたのでした。先代の趣旨としては、イモウトに山サイドを治めさせる一方で、主人公くんと海神を婚姻させ、来訪神である海神を土地と根付かせようとしていたのです。
    • しかしイモウト√では近親相姦してしまったがために、神力がカンストし、イモウトの能力が暴走してしまいます。この暴走を鎮めるためにはどうすればいいでしょうか?それは主人公くんの異能とイモウトの神力をかけ合わせること、つまり跡継ぎを作ることだったのです。二人の遺伝子を掛け合わせて最強の子孫を!そんなわけで地元をかけた孕ませっくすを展開。世界をかけた近親相姦はらませっくすって以前のクロシェットのイモウトでもやりましたね(中二系黒髪イモウト参照)。そんなわけで子供を作ってハッピーエンドを迎えるのでした。