「椎名杳子の取材記録」(面影レイルバック補完エピソード)の感想・レビュー

補完エピソードでしか読めないのは「ルイディアーナ決起」と「コマへの手紙」。
上記2編に加えて「泥亀の月」と本編でも読める「椎名の難民キャンプ」が所収されている。
補完エピソードですらシナリオの一番重要で面白くなるであろう箇所が補完されていない。
「泥マサの隼人探索記」、「ルイディアーナ途上国医療」、「コマ過去」は語られるべき。
本編樹理個別√も投げっぱに感じられたので、そこも補完して欲しかったものよ。
非常に面白くなる要素を含んでいたし、実際一部分は読み応えがあったので製品版については残念であった。

雑感


  • ルイディアーナ決起
    • 泥亀の月のその後が描かれている。吉岡隼人を陥れた吉岡重太郎はその地位と妻:ルイディアーナを手に入れようとしていた。説明会と称してルイディアーナを呼び寄せ、自分の後妻であると紹介しようとしたのである。その意図を知った樹理はルイディアーナに知らせようとするが監禁されてしまう。そんなピンチに駆け付けるのはいつだって泥マサ一派。乱闘騒ぎで会を滅茶苦茶にし、樹理を救出。重太郎もノックアウト。そして身を投げようとしているルイディアーナに泥マサは優しい言葉を投げかけ、救済するのであった。こうして泥マサとルイディアーナのフラグが構築されたかにみえたが、泥マサにとって大切なものは、ルイディアーナへの愛情よりも隼人への友情。泥マサは行方不明となった隼人を探すため、人知れず姿を消し、帰らぬ人となったのであった。泥マサの出奔を知ったルイディアーナは男に左右されず自立した女性として生きることを決意。吉岡建設に堂々と戻り、お腹にいるのは泥マサとの子ではなく、隼人の子であると公言し、強く生きるのであった。
    • この後、ルイディアーナがいろはを出産することまでは分かるのだが、それ以降は描かれず。どういった経緯で途上国への医療支援に従事することになったのかや、現地で何があったのか、コマとどうやって再び出会ったのかなどは謎のままである。


  • コマへの手紙
    • 本編で触れられていた「コマに何度か手紙を書いたわ」という樹理のセリフの回収。コマへの想いやルイディアーナの出産といろはの誕生、泥マサの指輪などの件について述べられている。
  • せめて「コマ過去」だけは描いて欲しかった
    • むしろこれが醍醐味でしょうに。樹理と別れてからコマがどうやって生きていたのかがホント謎。一応本編とオマケの「item&episode」で断片的に設定が触れられているが。一応分かるのは以下の通りだが、これだけでも面白そうすぎるじゃん!!なぜこれを本編で描かないのか!?
      • 3年前に不良少年少女らのリーダーであったこと
      • 九鬼飛鳥と寝食を共にしていたこと
      • 発狂してしまったルイディアーナの治療のために吉岡家に出入りしはじめたこと
      • ルイディアーナへの風評被害を避けるために吉岡家の養子となったこと
      • 芳子をジャイアントスイングしてしまい吉岡の家を追い出され、寮暮らしをしていたこと