雑録

ラズベリーキューブ「海道美琴シナリオ」の感想・レビュー

借金大家さんのためにオンボロアパート再開発大作戦!というおはなし。
ヴァイオリンの天賦の才を持つ美琴が音楽の道を選べるように主人公くんが大奮闘。
奇想天外なアパートの住人たちが良い味だしており、美琴のために一致団結して活躍する。
最後はアパートを外国人観光客向け格安宿泊施設に転化させ、家を守るよエンドとなる!
主人公くんが、才あるヒロインを羽ばたかせ、疲れた時の止まり木となる展開。
このような主人公くんがヒロインのアジールとなるエンドはサクラノ詩や恋カケが存在する。

海道美琴のキャラクター表現とフラグ生成過程


  • 借金返済編(フラグ構築)
    • 海道美琴は、母性溢れる大家さん(300万円の借金あり)。ヴァイオリンの才能があり、音大志望であったものの経済上の理由から断念し、アパート経営と内職に追われる日々でした。さらには父親も蒸発し借金取りも現れるなかでも明るく気丈に振る舞っていました。しかし、やはり少女の身には重い問題であり、寂しさも抱えていたのです。そんな苦労を分かち合ってあげればフラグは成立さ。奇想天外なアパートの住人たちとドタバタ劇を繰り広げ、貧しいながらも楽しい生活を送ることになります。しかしとうとうついに借金問題が大事になってしまうのです。この事態に対し、主人公くんは亡き母が身を擦切らして貯めてくれた多くはない遺産に手を出すことを決意。婉曲的にはお金で女を買うと解釈できますが、主人公くんは美琴惚れていることを語り、美琴も想いを募らせていたことを応えてフラグ成立。主人公くんは違法金利ではなく、現実的な借金返済の契約を交わし、ヤクザ問題に肩を付けたのでした。


  • 1学期期末〜夏休み編(イチャラブ)
    • はい、ここからラブコメターイム。ギャグのノリが結構面白く、たわいもないテキストなのに何故か思わず笑いがこみあげてきてしまいます。コメディパートが結構好き。風俗嬢の童貞論を信奉していたら、ヒロインの方がグイグイ求めてきちゃうとか(膣穴模造性器具を発見されて糾弾されるパートは必見です)。カウントダウンボイスの時に周囲のヒロインから性欲が強そうとか言われていた伏線が見事に回収されています!交換日記で想いを深め合い、赤裸々な感情や肉欲を綴るもそれがアパートの住民に読まれてしまったり。夏休みに突入すると、海の家にアルバイトに行ってイチャラブしながら焼きそばソースまみれな鉄板の日々を送ります。海から帰った後は夏祭りの神社手伝いでヒロイン地元アイドル化作戦を展開しながら、これまた焼きそばを売りまくります。こうして借金返済のためのバイトをこなしながら、楽しい夏休みを満喫していきます。ちなみに描写そのものはありませんがアパートの住人の話ではやりまくっているそうな。しかし、美琴にはまだ解決されていない問題があり、それこそがヴァイオリン問題だったのです。


  • 外国人観光客向け格安宿泊施設編(根本的問題の解決)
    • ある時、台風の夜にこれまた震災イチャラブをしていると、アパートに侵入者が。捕り物騒動が終わると、なんと犯人は美琴の父親だったことが判明。ああ勘違い。しかし、この父の帰還がヴァイオリン問題に繋がるのです。美琴はこれまでヴァイオリンに専念し師のレッスンにもつき音大を目指していました。美琴の父はそれを断念させたくなくて、お金を工面していたのです。親戚を回ってカネを用意した父親は美琴のためにアパートを処分することを告げます。しかしこの土地と建物は美琴にとって大切なものであり、それが自分の為に無くなってしまうことは耐えられなかったのです。こうして父と娘の間ですれ違いが発生!(しかも後半は主人公くんの活躍となり美琴は少しフェードアウト気味です・・・)
    • 主人公くんは美琴の才能を埋もれさせたくもないし、建物も守ってやりたいと思います。美琴に対してはヴァイオリンの道を諦めちゃだめだ!と説得。その一方で、アパート経営のために新住居者を探そうとするのですが、オンボロなため、誰も住んでくれそうにありません。途方に暮れていた主人公くんのところに一筋の光が!!(ご都合主義っぽいですがギャグで流した!!!)なんと偶然泊めた外国人が有名なユーチューバーであり、SNSでバズって一躍注目されるようになったのです。これを契機に主人公くんは外国人観光客向け格安宿泊施設を経営することを決意。アパートの住人たちが実は結構凄腕な人々であったことを頼りに英語と経営を熱心に学び、リフォームに励みます。美琴の大切な土地と建物は無くならずに済んだのでした。
    • そして卒業式。美琴は無事に音大に合格し、旅立っていきます。そうです、主人公くんはヒロインがいつでも帰ってこられる心のふるさととなったのです。このようにして、才能あるヒロインを羽ばたかせる一方で主人公くんが地に足つけるという対比的な構造になります。ヒロインが輝くなら、自分はその支えで構わない。疲れた時にはいつでも受け入れてあげるというように、主人公くんがヒロインのアジール(聖域)となるのですね。このような類型としては恋カケやサクラの詩がありますが、本作はおもっ苦しくなく明るい感じで終わります。ハッピーエンド。