青い空のカミュ 体験版の感想・レビュー

閉鎖された小都市でゾンビ的なアレに襲われる二人の少女の百合友情モノ。
場面転換は「テレビの砂嵐」が使用され、各場面が断片的に提示される。
元気系少女:燐は明るいしっかり者だが、学校での人間関係と両親の離婚に苦しむ。
和風おしとやか系お嬢様の蛍は実は人間ではなく儀式の供物とされる座敷童。
二人は心象世界の初代座敷童:オオモト様に導かれ閉鎖都市からの脱出を図る。
タイトルの「カミュ」は高校倫理では不条理概念でお馴染みのアルベール・カミュ
他にも文学作品の引用が多数なされており色々と楽しめる。

民俗学系ホラー風味の世界観で百合友情を培い文学トークをする所がおススメ!!

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  • ゾンビに襲われる閉鎖都市から脱出せよ!
    • 学校帰りの電車の中で、燐と蛍の二人の少女はイキナリ非日常へと転落します。なんと居眠りから目覚めたら終着駅で人間の変異体(ゾンビ?)に襲われるのです。命からがら逃げだした二人は、終着駅がある都市の異変を探ることになります。まずは、蛍の家へ。道中、突如イヌが現れ二人を助けてくれるのですが、二人を庇って犠牲になるイヌを探しに行くとバッドエンド。凌辱エンドとなります。イヌを振り切り蛍の家に辿り着くと、そこでも様々な怪異に直面するのです。蛍の家には座敷童がいるという伝説があったのですが、その幼女が輪姦されているシーンがフラッシュバックします。疲れ切った二人がようやく蛍の部屋に辿り着き、休憩のために睡眠をとると、今度は別の異空間に飛ばされることになります。その異空間は初代の座敷童:オオモト様の心象風景だったのです。二人は閉鎖都市と心象世界を行き来しながら、この現象の謎を解き明かしていくことになるのです。
    • 小都市が立地的にも不利な条件にも関わらず衰退しないのは、蛍の家系、すなわち座敷童がいたからでした。蛍自身もまた座敷童の子孫だということが判明します。座敷童は成長すると御利益が薄れてくるので、街の住人たちが強姦し、種を仕込んでいたのです。蛍たちがフラッシュバックで見た輪姦のシーンがまさにそれだったのですね。座敷童は幸運を呼ぶと言いますが、幸運は一定量であり、座敷童が呼んだ分の幸運はどこかで不幸を生じさせていました。そして、長年にわたり不自然に幸運を呼び寄せ続けていたため、遂に崩壊してしまった状態が「イマココ」であることが明らかになります。

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  • 本作のウリは文学トークと百合友情!
    • 体験版のためか、各場面は断片的で、飛ばされているシーンもあります。しかし提示される場面での二人のやりとりが結構グッときます。銀河鉄道の夜のジョバンニとカンパネルラの関係をオマージュしていたり、文学作品を引用しながら哲学トークはおススメのテキストとなっております。軽自動車で語らうシーンとかどことなく『少女終末旅行』を思わせました。
    • 特筆すべきは元気っ子少女燐の不安と悲しみを自己の人生に存在意義を見出せない蛍が救う描写でしょうか。燐は明るく元気に振る舞っているものの、両親は離婚し、家庭は崩壊。学校の友人たちとのうわべだけの関係性を維持するのに疲れ切っています。特に相手とのやり取りでうまく空気を読んだり、相手に応じた態度を取ったりすることがなかなかできないのです。離婚した後でも父親のことが大好きな燐なのですが、母親は父親のことを悪し様に罵り、それを燐に同意して欲しがっています。しかし燐は頭では理解していても感情が追い付かず母親の気に入る反応が出来ないのですね。それを燐も自覚しており、メンタルブレイクしかけているのです。また大好きな従兄とも連絡が途切れがちであるため、大切なことが零れ落ちていくかのようだと涙するのです。
    • 一方で蛍はこれまでの人生において自分には何も無いという空虚な日々を送ってきました。上述の通り、蛍は座敷童であり強姦により仕込まれた種。それ故両親のことなど知らされず、強姦を正当化するための町の複雑な儀式の遂行だけを聞かされて育ちました。そんな空っぽな蛍だからこそ、燐を支えることに生き甲斐を見出すのです。体験版ラストのシーンでは突如二人が森林の中の緑のアーチを手を繋いで歩いていく場面になるのですが、ここで燐が「わたし、蛍ちゃんと友達でよかった」と述べる所は心が揺さぶられますね。

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製品版の感想はコチラ

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