雑録

MUSICUS!「香坂めぐる」シナリオの感想・レビュー

認知症で余命幾許もなく孤独死寸前の老人にライブを捧げる話。
香坂めぐるは母子家庭で、母に芸能活動を強制され虚無的な幼少期・思春期を過ごした。
しかし母親は富裕層の男と再婚、めぐるも解放されるのだが拠り所を失う。
自殺しかけていためぐるの生きる理由となったのが老ロッカー:朝川周だった。
しかし朝川は詐欺事件を起こし周囲から見放され孤独となり、今では寝たきり老人に。
めぐるのことすら認知症で忘れてしまった老人に対してめぐるは何が出来るのか!?
市民ホールでライブを行いそのネット配信をタブレットで見せると奇跡的に復活。
病院に駆けつけためぐるに朝川老人はライブ評を行い息を引き取るのであった。

人間の生老病死とロックンロールと音楽

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  • 香坂めぐるの生きる理由
    • 香坂めぐるはベーシスト。バンドメンバーの中では、承認欲求も出世欲も薄く、音楽が演奏できればそれでよいという思想の持主である。そんなめぐるの人生が描かれるのがこのシナリオ。なぜめぐるは楽器を弾ければそれで良いのであろうか。結論をあらかじめ述べれば、もうめぐるは1回自決を覚悟して居り、そこから這い上がって来たからであった。話はめぐるの過去に遡る。母子家庭であっためぐるは子役のスカウトをきっかけに芸能界入りすることになる。母親は自分の娘が認められたことに舞い上がり、めぐるにギリギリの仕事をさせる。マイクロビキニを着せ魚肉ソーセージを舐めさせるなど炉利系の性的欲求を喚起させる仕事ばかりさせたのだ。幸いセクロスをさせられることはなかったものの肉体をまさぐられることは日常茶飯事であり、めぐるの心は死にはてた。子どもの性を売れる時期が過ぎ、中3の時だけ安寧な生活を送るが、高校に進学すると今度はアイドルとして働かされることとなる。虚無的な日々を過ごすめぐるであったが、母親が富裕層の男と結婚したことを契機に、芸能界から抜け出すことができた。しかし、そのあとめぐるに待っていたものは、空っぽの日々。母親はの関心はめぐるから離れて男に移り、めぐるは人生に生きる理由を見いだせなかったのだ。自殺を決意しためぐるは最後にアイドル時代に楽曲を提供してくれた朝川周に会いに行く。そこで朝川氏はめぐるの悲壮感に気づき、ベースを与え、辛い時には音楽をしろと生きる理由を与えるのであった。「音楽はただの振動だ。しかし、ただの空気の振動が豊かで美しい世界を作り出すんだよ」

 
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  • 有名ロッカーの孤独死
    • 以上によりめぐるは自殺を免れ、音楽をすることだけが生き甲斐となる。もう既に1回死んでいたに等しいめぐるは、だからこそ、出世欲や承認欲求から自由であったのだ。しかし、ここでめぐるに問題が降り注ぐ。自分に生きる理由をくれた朝川老人が死ぬ寸前だったのである。しかも認知症になり、めぐるのことなど覚えていない。さらに朝川老人は著名なロッカーであったにも関わらず、音楽スクールを作ると称して資本金を集める詐欺事件を起こしてしまい、それをきっかけに交友関係は断たれ孤独となってしまったのだ。このままでは、無縁仏として孤独死することになる。生老病死を前にしてロックンロールは何ができるのであろうか!?ここで活躍するのが金田であり、朝川翁の一件を知ると、ライブで朝川翁の魂を揺り動かすことを提案する。こうして市民ホールでの2000人ライブで朝川氏が若かりし頃につくったかつての曲を演奏する。そのライブのネット配信を病院で見てもらおうというのだ。危篤状態に陥る朝川老人のためにめぐるたちはロックを捧げるのだ。ライブ終了後、病院に駆けつけるめぐると主人公。なんとそこには奇跡的に死の淵から復活し、認知症から記憶を取り戻した朝川老人がいたのである。朝川老人はめぐるにライブ評を行い、満足して死んでいく。音楽には、ロックンロールには、朝川老人の人生には、人の心を揺さぶるものがあったのである。

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