MUSICUS! 学園祭バンド編(「尾崎弥子」シナリオ)の感想・レビュー

定時制夜間学校ドロップアウト組達がそのコンプレックスを学祭バンドで歌う話。
ヒロインは弥子だが佐藤、胡桃、鳥山等の青春群像劇が展開され人物描写も魅力的。
学園編だけでも一本作れそうな勢いであり胡桃などもう少し掘り下げてもよさそう。
この学園√では主人公はギターを封印し、ドラムを担当することとなる。
最終的に医学部に合格して元のエリートコースに戻り弥子とも結ばれる。

学祭バンドで夜間学校コンプレックスをぶちまけろ!

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  • 登校拒否のヒキコモリ小川胡桃編
    • 小川胡桃は攻略ヒロイン尾崎弥子のマブダチだが根暗かつ陰キャで登校拒否に陥っていた。主人公は弥子に付き合い胡桃の家へ登校刺激をしに行くことになる。しかしここで大活躍するのが、偶然バチ屋の帰りに遭遇してついてきた金田であり、社会から排除されたからこそ分かる共感を示すのだ。そして胡桃がバンドに興味を持っておりベースを練習していることを知る。初回は何も成果がなくオメオメと帰ることとなったが、なんと金田は個人で胡桃の家に乗りこむという度胸を見せる。金田が語った社会的敗残者の怨恨は見事胡桃の心を打つことに成功する。金田は胡桃を伴って登校し、音楽の授業に乗り込んでロックを披露するのである。業界ルートの方でも金田の情熱を主人公が買っているが、物語を展開するうえで非常に便利で重要なキャラとなっているのがこの金田の役割である。

 
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  • 学祭バンドを目指して修行編
    • 金田の活躍により胡桃が復活し、定時制夜間学校の生徒たちはバンドやろうぜ展開となる。発表の場は文化祭だ!ということで、そこでの披露を目指して特訓に励む。主人公はバンド活動と縁を切ろうとしていたので、ギターでなくドラムならやってもいいと了承する。こうして練習が開始されるが、経験者の主人公に依存し、イマイチ他のメンバーの士気が上がらない。それゆえ、実力差を埋めるために試練が課され、主人公抜きでライブに出ろと修行編となる。ライブを成し遂げたメンバーたちは自分たちの改善点を自分たちで発見し、至らなさを知るのであった。こうして経験を積んだメンバー達は仕切り直しで文化祭を目指すのだが、サブキャラ達も主人公に感化されてバンドに加わってくる。イジメられて前の学校を辞めたアニヲタぽっちゃり系の高橋や、進学校に入ったものの勉強について行けず退学したクソ真面目系女子鳥山等が立ち絵も用意されているためか特に印象に残っている。

 
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  • 学祭バンド当日編
    • 文化祭直前、みんなのサポート役であった弥子をバンドのボーカルにさせるというシナリオのご都合主義的展開上、今まで皆を引っ張って来たボーカルの佐藤が伏線もなく突如風邪で咽喉を痛めるという目にあわされるのは少し可哀想かもしれない。文化祭では弥子がボーカルを務め、高らかに夜間学校コンプレックスをぶちまける。彼らがMCの時に自己のワケアリの境遇をネタとして語れた時、それはコンプレックスや黒歴史ではなく肥しや経験に代わるのだ!見事学祭バンドを成功させた主人公たちは、定時制夜間学校における青春を示す!レールから外れ不利な状況下でも、多種多様な年齢、社会階層出身の脛に疵持つアウトサイダーたちが青春を味わうことが出来たのだ!!一応攻略ヒロインは弥子であるが、青春群像編としての役割が強い。だからこそ、弥子を活躍させるためにリストラされた佐藤さんが可哀想だったし、胡桃をもう少し掘り下げて攻略ヒロインにして欲しかったかもしれない。個人的には学力コンプの鳥山が好きである。一応、主人公が定時制高校に通う契機となるのが弥子の役割であり、主人公がロックバンドではない人生の意義を見出すのも弥子のおかげなのだが、胡桃とか佐藤も十分ヒロインとしての格は備えていた。

 
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