TrymenT-今を変えたいと願うあなたへ- 体験版の感想・レビュー

旧日本的経営(終身雇用・年功序列賃金)から脱落した若年層の自立支援プログラムという設定。
前作と世界観を共有しており、今作のTrymenT編と前作のRe:LieF編が交互に提示されていく。
多分前作プレイしていないとRe:LieFパートは意味不明なのではないかと思われる。
前作は結局の所、計画自体が昏睡したイジメられっ子の為の仮想世界というオチであった。
たった一人の少年を救うためにプログラム参加者の多くが巻き込まれていたという展開。
ヒロインを攻略してもそれは数多ある可能性世界の一つとしてAIの演算で処理されてしまう。
最終的にはイジメられっ子だった主人公がピアノで存在証明し仮想世界から脱出する。
前回は就労・雇用という社会問題を描くと見せかけて個人の問題に収斂してしまった。
果たして今回は「今を変える」といテーマをきちんと描くことができるであろうか?

TrymenT編

f:id:r20115:20200118211616j:plain

  • TrymenT計画とは何か!?
    • 小泉構造改革の時に日本的経営が終焉を迎えて早数年。終身雇用制と年功序列賃金制は崩壊し、社会階層は経済エリート・知識階級の高度専門職・大衆労働者に区分され、格差が固定化されていきました。さらに制度は崩壊しても人間の意識は早々と変えられないため、かつての日本的経営に縋りつく旧時代の勝ち組たちの企業風土に若者たちは馴染むことができず、折角正規労働者として採用されたものの心を病み、退職してしまう現象も顕著になりつつありました。このような社会問題に対処するために計画されたのが、若年層向け社会復帰支援プログラム、それがTrymenT計画だったのです。
    • このTrymenT編では、車椅子の少女と打ち切りにあった漫画家のコンビが主軸となります。車椅子の少女は自立・自活するため手に職つけようとデザインを学びなおそうとします。一方で漫画家の方は打ち切りになってしまった作品を完成させようと再チャレンジを目指します。このTrymenT編では男性役として空気が読めず自分の価値観でしか推し量ることのできない人物が出てくるのですが、この男性がウザさをまき散らしながらも少しずつ成長していく姿は結構好き。
    • このようにして自立支援プログラムが展開されていくだけならまだ面白かったのですが、たびたび前作のRe:LieF編が挿入されていきます。多分、前作やったことない人はキャラとか背景とか説明されないので置いてけぼり感が半端ないかと思われます。で、本作と前作の関係としては、どうやら漫画家ヒロインの打ち切りになってしまった作品が前作『親愛なるあなたへ』であるという設定のようです。TrymenT編ではグループメンバーと共通点を3つ見つけるという課題がかされており、それをこなしたところで体験版は終了となります。車椅子ヒロインは夢遊病でその時には二足歩行できているという伏線も張られています。物語の目的が見えていない以上、これからどうなるかが少し不安かもしれません。前作のように実は仮想世界エンドとかね。

 

Re:LieF編おさらい

f:id:r20115:20200118211633j:plain

  • 自立支援プログラムは建前であり、本当はいじめられっ子の少年を救うための仮想世界
    • 前作「Re:LieF」の体験版は、社会復帰が強く打ち出されていました。体験版の時点での主人公は、プレゼンに失敗したことから社会不適合となり退職に追い込まれた女性が設定されていました。この女性が若年層向けの自立支援プログラムに参加し、見事トラウマを乗り越えて、負の象徴であったプレゼンに成功することで精神的成長を果たせて良かったねいう展開でした。
    • しかし、これは体験版詐欺であり、本当の主人公は昏睡している少年。この少年はいじめられっ子だったのですが、友達役の人工知能からいじめっ子を見返すことを提案されます。その手段が自己の能力を示すことであり、ピアノをチョイスします。少年はAIの指導のもとでレッスンに励んでいたのですが、もう少しで発表できる!という寸前で事故にあい意識不明となってしまうのです。
    • この少年の脳を保護するために仮想世界が作られ、自立支援プログラムの参加者は仮想世界に巻き込まれていたに過ぎなかったというワケ。この仮想世界は少年の為に都合よく作られた世界であり、主人公はチート能力で文武両道才色兼備を発揮し、ヒロインたちを攻略していきます。しかしこれらは仮想世界における可能性世界の一つにすぎず、AIの演算処理のパターンとして処理されるのです。
    • けれども、この周回プレイを繰り返すことで少年は仮想世界に違和感を抱き始め、そこから脱却しようとするのです。仮想世界を構成しているのは少年の為にすべてを捧げてきた人工知能。この人工知能に対して主人公が自己の存在証明を果たすと、仮想世界から脱却できるという流れになっています。少年は事故に会う前に、ピアノの特訓をしており、AIの少女と連弾することで、自分の能力を示そうとしていました。それゆえ、仮想世界でその目標を実現することで、自分を囲い込んでいたAIから解放されるのです。以上が『Re:LieF~親愛なるあなたへ~』の内容となっていますが、この登場人物たちのシナリオが「TrymenT編」にもたびたび挿入されていきます。最終的にRe:LifeとTrymenTは一体どのように接続するでしょうか?注目が集まります。


f:id:r20115:20200118211622j:plain

f:id:r20115:20200118211628j:plain

f:id:r20115:20200118211638j:plain

【関連】2020年2月発売 新作ノベルゲーム体験版 感想・レビュー集










【まとめ】2020年発売 新作ノベルゲーム体験版の感想・レビュー