ハミダシクリエイティブ「和泉妃愛」シナリオの感想・レビュー

人気声優の妹が屑兄に奉仕するのはクソデカ巨大感情を拗らせていたからという話。
幼少の頃から聡明で子役として活躍していた妃愛は世間を見下していた。
特に兄である主人公に対しては、幼稚であると蔑視し嫌悪していたのである。
それを見かねた両親に指導を受けるが反発した妃愛は兄などいらぬと反抗する。
しかしその翌日に交通事故で両親は死亡。妃愛は孤独と自罰意識に悩まされる。
そんな妃愛を救ったのが他ならぬ兄であり、以来妃愛は兄べったりとなった。
妃愛√ではSNSトラブルが契機となり、兄妹愛が男女の愛へと変化していく。

和泉妃愛のキャラクター表現とフラグ生成過程

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  • 大人気声優のSNSトラブル
    • 和泉妃愛は今を時めく大人気声優。兄である主人公のことが大好きで、声優としての仕事を持ちながらも家事炊事を一手に引き受け、稼いだ金で兄にスマホゲーのガチャを回させることを生き甲斐としていました。しかしそんな兄が自分の庇護下を離れて生徒会長となり這いずり回りながらも良き仲間たちに恵まれていくと妃愛は喪失感から兄を意識し始めるという寸法です。妃愛√の前半では、星の数ほどある妹ゲーと同じように、兄妹愛が男女の愛へと変わる関係性変化が描かれていきます。その手段として使われる題材がSNSトラブルであり、同僚の声優の鍵垢の解除から芋づる式に妃愛の裏垢が暴露されてしまったからさぁ大変。心が弱っているイモウトが兄に縋りつくこととなり、フラグが成立します。ついでに声優のお渡し会でタマゴを投げつけられたりなんだりもして、トラブルごとに絆が強まっていくという流れを取ります。妃愛の安全の為に文化祭での朗読劇を中止しようとしたら、妃愛が文化祭の出し物に拘っていたことを詩桜先輩から説教されるシーンはとか好き。

 
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  • 完璧超人系イモウトの巨大拗らせ感情
    • ここまで書くと、そこら辺のイモウトゲーと大差ないじゃん、どこが違うの?このゲームならではの面白さ、つまりはオリジナリティとか独自性って何?とツッコミが巻き起こりそう。妃愛ルートの真骨頂となるのは、拗らせたクソデカ巨大感情。妃愛が文化祭の出し物で演じた朗読劇『兄妹ぼっち』において、その心情を告白するのです。幼少期においては兄を蔑視し嫌悪していたこと。両親に窘められた時には自分だけが叱責を受けたと感じて不満であり兄の存在そのものを拒絶したこと。両親が死亡した際に孤独や自罰意識になやまされたこと。そんな境遇を救ってくれたのが他ならぬ自分が拒絶した兄であったことなど云々。まさか妃愛がこんなにも拗らせていたなんて・・・!主人公は完璧超人であったイモウトの本質を知ったのでした。こうして妃愛が抱えていた昔年の苦悩が解消されハッピーエンドを迎えます。声優業界においても両親を亡くしたが故に家族を大切にする兄大好きなイモウトというイメージ作りに成功し、失墜した地位を取り戻したのでした。

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