ひぐらしのなく頃に 卒 第11話「主体的意志により奇跡は起こせるという梨花の信念を打ち砕く沙都子」の感想・レビュー

本作は梨花と沙都子の根競べともいえ、梨花の希望を圧し折り雛見沢エンドを迎えるためにあります。
原作ひぐらしは諦念に駆られていた梨花に希望をもたせるものでしたが業&卒はその逆がテーマ。
梨花に諦念をもたらすため、数々の絶望を叩きつけていく様を、視聴者は見せられることになります。
梨花祭囃し編を乗り越えたという信念があるからこそ屈強にループを耐えています。
それ故その信念を折るほどの絶望を与えねばならず、祟明し編では救いからの絶望がもたらされました。
今回は沙都子によってL5を発症し都合よくオヤシロ様の祟りを曲解した大石の発狂シーンが見所でした。

沙都子の掌で転がされているにも関わらず、羽生に対して主体的意志で奇跡を起こせると感動する梨花ちゃまの滑稽さ

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  • 救いからの絶望を体験させるために大石を利用する沙都子
    • 梨花の心を折るため絶望を与えるべく惨劇を繰り返す沙都子。祟明し編のテーマは救いの希望からの絶望。祭囃し編を乗り越えた実績を持つ梨花は、主体的意志によって奇跡は起こせるという信念を持っています。しかしこの信念を持っている限り、梨花は諦めません。そのため、沙都子は梨花の信念を砕く必要があるわけです。それに利用されるのが、大石でした。オヤシロ様の謎を追う大石を雛見沢症候群に感染させることで、全てが解決した後に理不尽な破滅を経験させようという寸法さ。大石はオヤシロ様の祟りを雛見沢の支配者が村にとって都合の悪い人物を殺害するための装置だと思い込んでいます。その思い込みをほんの少し後押ししてあげれば、後は勝手に全自動梨花殺害マシーンとなってくれるわけです。沙都子は色仕掛けにより圭一を誘い出すと撲殺。あたかも圭一と鉄平が殺し合ったように見せかけるのです。すると大石は牽強付会により圭一が村からの指示を受けてオヤシロ様の祟りを実行したのだと確証し、梨花ちゃまを殺害しに出かけます。今回は梨花がみんなの力で運命を変えたと一人で勝手に感動しているので、その分、哀れさが強調されています。ここまで酷い目に遭う梨花ちゃまを見ると同情心も起こりそうなものですが、元を正すと全ての元凶が梨花のせいであるため、視聴者は全く同情できないというギミックになっています。ようやく次回から沙都子と梨花の対決が見られるのか。ここまで長かったね。

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