フタマタ恋愛【体験版】 (2022/ ASa Project)の感想・レビュー

大学生活モノ。女の涙と泣き顔に執着するワケアリ主人公と感情を拗らせたヒロインズの関係性が主題。
主人公は過去に傷心を抱く不眠症の学部生。猫系幼馴染と共に鬱屈気味なキャンパスライフを送っていた。
メインヒロインは好感度ゼロの腹黒な黒髪ロング。高校時代に偶然海辺で見た泣き顔が強烈な印象を残す。
大学進学後、彼女と再会した主人公は会うたびに挨拶の如く告白していたが、その結果はなしのつぶて。
だが合コンにおいて初めて参加した留学生を介抱したことから周囲の関係性が変化していく。
腹黒メインヒロイン、ポンコツ系アホの子留学生、ワケアリ正妻的猫系幼馴染、暴力系ガチヲタコスプレイヤとヨツマタ恋愛となる。
アサプロ作品なのに単なるバカゲーではなくシナリオが割と洗練されており体験版は面白かった。

過去に傷心を抱くワケアリ主人公と感情を拗らせたヒロインたちのキャンパスライフ!

腹黒VSアホの子
  • 腹黒メインヒロインVSアホの子留学生
    • 主人公は鬱屈気味なキャンパスライフを送る学部生。高校時代に傷心を抱くことになり、たまたま見に行った海で偶然腹黒メインヒロインと出会います。そのインパクトは強烈なものであり涙を流した横顔が主人公の脳裡に鮮明に焼き付くことになります。以来主人公は女の泣き顔と涙に執着するようになり、腹黒メインヒロインに囚われることとなります。この時の出逢いは一瞬のものでしたが、大学進学後に再会すると、速攻で告白。これが実ったら『フタマタ恋愛』(完)となってしまうので即座にフラれる主人公。しかしながら主人公は腹黒メインヒロインを諦めることなどできず、会うたびに告白するという関係に落ち着いたのでした。
    • しかしながらこのような固定的な日常に変化が訪れます。そのきっかけとなるのがポンコツ系アホの子留学生との出会い。このアホの子留学生は初めて参加した合コンでたらふくたこ焼きを食べながら酔いつぶれてしまい、主人公が介護することになります。おんぶして家まで送る途中、寝ゲロを吐かれた上おしっこまで漏らされたので、やむなくラブホに泊まることを選びます。宿泊中、途中で目覚めた留学生は自分のあられもない恰好に慌てるのですが、それ以上に主人公が酷く魘されている姿を見て憐憫が湧き、穏やかに眠れるよう膝枕をしてあげる流れになります。この膝枕により本来不眠症であったはずの主人公は癒されることになり快眠。しかし主人公が起きた時にはひと悶着あり、アホの子留学生はトンデモ理論を展開してきます。アホの子が自分は処女を奪われたので責任を取って欲しいと述べ、それに対し主人公がそれは誤解であり処女膜が残っているかを確かめれば分かると対応するのは理解できるのですが……この後アホの子が続ける主張は以下の通り。①処女膜が残っているかどうかは行為をして確かめたい→②だが単なる肉体的繋がりじゃヤダ→③自分と恋人となって丁寧に関係性を積み重ね、愛のある夜伽をして確かめたい(分かりやすいチャート方式)。以上により主人公は半ば強制的にアホの子留学生と恋人関係になるのでした。
    • アホの子留学生との出逢いは、腹黒メインヒロインとの関係も連鎖的に変化させます。主人公は毎日挨拶のようにメインヒロインに好き好き言ってたのですが、アホの子と恋人となったこともあり、初めて好きと言わなかったのです。これには腹黒メインヒロインもびっくり。自分に固執していたと思っていた存在が、自分の手から離れようとしている。これを受けてメインヒロインは主人公と付き合ってあげると言い出すのです。こうして腹黒メインヒロインとアホの子留学生とのフタマタ関係がスタートするのです。

 

正妻的猫系幼馴染
  • 正妻的猫系幼馴染とその周辺
    • 本作のタイトルはフタマタですが、実質的にはヨツマタです。特筆すべきは主人公の正妻ポジションである幼馴染の存在。体験版では主人公の傷心の理由は語られませんでしたが、多分この幼馴染と何かあったのだろうと伏線が張られまくります。そして何かあった割には(もしくは何もなかったせいで)今でも二人は分かり合って通じ合っている比翼連理の相互依存的関係となっています。作中ではまるで夫婦のようであると喩えられています。いやもうこのワケアリ幼馴染との相互依存的関係という構造は好きな人にとってはたまらないのではないでしょうか(懐古ゲーとなりますが戯画時代の丸戸三部作のヒロインズを彷彿とさせるのではないでしょうか)。私は大好きです。春海の浜辺で童心に帰り水遊びをする二人。夜独り寝が寂しくて布団に潜り込んで来る幼馴染の手を握ってあげる主人公、腹黒メインヒロインに何故主人公に返事をしてあげないのかと問う幼馴染、アホの子留学生に膝枕されているのに幼馴染の名を呼んでしまう主人公と二人の関係性が並々ならぬものではないことが窺われます。このワケアリの二人の過去がどのように描かれ、再び絆を紡ぎ直し、これからを歩んでいくのか楽しみでしょうがありません。あともう一人の攻略ヒロインとしてガチヲタコスプレイヤーがいます。彼女は腹黒黒髪メインヒロインに固執しており、フタマタ関係が露呈しないように主人公に協力してくれることになったことから関係性が芽生えます。なぜメインヒロインに固執しているのかを中心にシナリオが描かれそう。
    • 最後に周辺人物について。主人公くんは鬱屈気味な大学生活を送っていますが、そんな傷心な彼を温かく見守る寮の先輩たちやバイト先で受け持つ塾の教え子たちなど、取り巻く人々も個性的で尚且つ丁寧に描かれています。特に母性溢れるバブミ先輩と一匹狼を装うインテリヤクザ先輩は主人公や幼馴染を時には癒し、時には導き、慈愛?を持って接してくれます。またそんな二人の関係も夫婦のようでグッとくる展開。ノベルゲーで主人公以外の恋愛描写をやるのはご法度な風潮がありますが、トナコイとか主人公の男友達の恋愛が描写されますし、サクラノ詩でも主人公の両親の話に丸々一章分割かれるので、是非この寮の先輩方の関係性を掘り下げて欲しいものです。アサプロならやってくれると信じてるよ!
    • そうそうアサプロと言ったらSMEEと共にバカゲーアホゲーの二大巨頭であり、中でもぶっ飛び具合がピーキーでキャラに変顔させたり声優に変な演技をさせたりすることで有名だったのに、今回の作品はシナリオにテーマを置く割と重厚な洗練されたシナリオでちょっと驚いちゃった。アホゲーが苦手なプレイヤーでも十分楽しめると思います。ヒロインが涙を浮かべる泣き顔を是非見て欲しいな!

 

ヒロインの涙と泣き顔がコンセプト
正妻と腹黒の攻防
一番無害なアホの子ヒロイン
おんぶからの寝ゲロとおもらしのコンボ
主人公を導く先輩ズ
突如人生観を語り出す腹黒メインヒロイン
2022年4月ゲー

フタマタ恋愛感想集

アホゲーで名高かったあのアサプロがシナリオで勝負してきたぞ!

これまでのアサプロ作品を復習しておこう!