六、国語愛と外来語

  • 言語ごとの国家の成立という政治史
    • 俗語で書かれる文学、俗語のために書かれる文法、俗語に特権を与える法律
    • 国家語として維持されるかどうかは、話しての母語に対する忠誠度に懸かっている。
    • 日本語のように自分の言葉をことさらに褒めるのは劣等意識とそのてこ入れ。
  • 純化主義
    • ある一定の言語がいあかに純粋であるかを分析的に示すにはその言語の固有性が隣接語との間に証明されなければならない
    • 語彙の独自性:純化主義が大衆的な基盤をもって一つの基盤に高まるためには、どうしても外来語の排斥という形をとる。
  • ドイツと純化主義
    • ドイツをはじめとする欧州の後進国は言語的に統率されたラテン語・フランス語に対抗するため、方言と都市化されない土着農民生活語にその民族特有の原初の純粋な姿をみようとした。
    • ひたすら言語エリート好みに高度に規範化された言語の完成度を誇る代わりに、たえまなく生成し変化にさらされる言語の本質を見、規範はそれに死を与えるのだろうという考え方は、ついにアカデミーを持たぬことを誇る自由を打ち立てた。
    • 全ドイツ言語協会「純化運動に反対する」声明

外来語の洪水が押し寄せるたびに、その精神にとってなじまぬものは、やがて再び捨て去るであろうが、新しい概念の語像は豊かにしてくれる得として手放さぬだろう。そのことにおいてドイツ語は貧しくなるはずがない。