五、母語から国家語へ

国語とは陸海軍を備えた方言である―マックス・ワインラヒ

  • 日本語の場合 「国語」「国家語」
    • 明治の初期においては「日本語」の方が月並みで、「国語」はその時代の新語であった・
      • 柳田国男「国語という言葉は、それ自身新しい漢語である。是に当たる語は、古い日本語では無いやふに思ふ」(昭和11)
    • イギリス人チェンバレン「皇国語」、二葉亭四迷「国民語」

言語はこれを話す人民にとりては、恰も其血液が肉体上の同胞を示すが如く、精神上の同胞を示すものにて、之を日本語に例えていえば、日本語は日本人の精神的血液なりといいつべし。日本の国体はこの精神的血液にて維持せられ、此声の響く限りは、四千万の同胞は何時にても耳を傾くるなり…千島のはても、沖縄のはしも、一斉に君が八千代をことほぎ奉るなり。

    • 「国家」「国体」を念頭においた、より近代的で政治学的な配慮を得た新語。
    • 「国語」は決して日常のことばではなく、明治のはじめ西洋の事情に学び作り出された文化政策上の概念
  • 罰例制度
    • 琉球における方言滅ぼし教育。琉球語を喋った児童・生徒は首から札をかけられ、次に誰かが喋るとその札を相手の首にかけられる。密告と公開処刑を含み効果的に共通語・標準語を叩きこもうとした。