高等学校学習指導要領解説における世界史主題学習の取扱いの変遷

昭和35(1960)年版 高等学校学習指導要領 社会科世界史B科目 解説 における主題学習

1 科目の性格
  • 「世界史B」を「世界史A」とくらべてみると、「世界史A」が世界史の大きな流れの大筋をわかりやすく理解させるのに対して、「世界史Bは世界史Aの場合よりも深めて取り扱う」こととなっている。このこととも関連するが、「その際たとえばシルクロードと東西交渉、イギリスの議会政治の発達、西部開拓と南北戦争露土戦争と列強の世界政策、ワイマール体制とその崩壊などのような適当な主題を選び、政治的、経済的、社会的な観点から総合的に学習させる。それによって、歴史的思考力をいっそうつちかうことをあわせ考慮するものとする。」ことになる
  • つまり「世界史B」においては、主題をいくつか設けて、いろいろな観点から総合的に学習させ、歴史的思考力を深めることを目的としている
2 目標
  • 学習指導要領にみられる「世界史A」と「世界史B」の形式上の違いは「目標」だけについていえば(1)だけ
    • 「世界史A」目標(1)「世界史の発展に関する基本的事項を系統的に理解させ、現代社会の歴史的背景をはあくさせ歴史的思考力をつちかい、民主的な社会の発展に寄与する態度とそれに必要な能力を養う」
    • 「世界史B」目標(1)「世界史の発展に関する基本的事項を系統的に理解させるとともに、現代社会の歴史的背景をはあくさせ、特に政治、経済、社会、文化などの関連について総合的に考察させることによって、歴史的思考力を深め、民主的な社会の発展に寄与する態度とそれに必要な能力を養う」
  • 相違点:「・・・特に政治、経済、社会、文化などの関連について総合的に考察させることによって、歴史的思考力を深め・・・」
  • その趣旨については「1 科目の性格」で述べたとおり=主題を設定し、いろいろな観点から歴史的思考力を深める
3 内容
  • 「前述のとおり、「1 科目の性格」の趣旨からして、「世界史B」では適当な主題を設けていろいろな観点から総合的に学習させることにした。その主題を選ぶ基準としては、さらに研究を要するが、一応次のようなものが考えられるだろう」
    • 「倫理・社会」や「政治・経済」の学習と関連の深いもの。たとえば「(2) 人生観・世界観」の学習に関係のあるものや、現代の諸問題を考える際に参考となるもの。 
    • 政治的、経済的、社会的な観点から総合的に学習しできるもの
    • できるだけ世界の地域相互のことがらに関連のあるもの
  • 主題の配当については、特定の地域や時代に片寄らないよう留意する必要がある
  • 内容のまえがきに示した「たとえばシルクロードと東西交渉、イギリスの議会政治の発達、西部開拓と南北戦争露土戦争と列強の世界政策、ワイマール体制とその崩壊など」というのは上記の基準を参考にしてじゅうぶん考えられたもの→これらはあくまで一つの例であるが、じゅうぶん検討された結果、「適当な主題」の例として示されたもの→ぜひ学習しなければならないものではないが、じゅうぶんに参考にして、適当な主題をくふうして、いろいろなものを考える必要
  • 主題が適当か否かについては前節(第4節世界史A)の「適切な指導計画の作成について」で述べた教育上の配慮を参考として決めることが望ましい
    • 生徒の興味や能力に応ずるようにする
    • その内容が学問的に裏づけられておく必要
    • 近現代史に重点を置くことが望ましい
    • 「それぞれの時代における日本やアジア諸国などの動向について、正しく位置づけられて考察させることがたいせつである。」という語句がこのたびに新たに書き加えられたことに留意する必要
4 指導計画作成および指導上の留意事項
  • 世界史の流れに即して適宜、適当な主題を取り入れながら、総合的な学習によって歴史的思考力を深めていく指導計画
  • 古代や中世の学習のまとまりののちや、一応世界史の学習を終えたのちに、まとめて主題別に学習させることによって、歴史的思考力を深めていく指導計画
  • 主題名、主題の数、1主題に配当する主題数、主題の時代別・地域別の配当のしかた、主題と世界史の流れとの関係などもじゅうぶん研究して創意くふうされた指導計画を作成することがたいせつ

昭和45(1970)年版 高等学校学習指導要領 社会科世界史科目 解説における主題学習

3 内容(3)西アジア文化圏の形成と文化の交流 「東西文化の交流」
  • 「・・・これらの東西を結ぶ交通路を取って、たとえば、スキタイ、匈奴、蒙古、ソグド、ペルシア、アラビア、インドなどの諸民族が、文物の交流に果たした役割について、主題学習等においてまとめさせ、さらに、東西文化の交流に関係の深い人物を取り上げて学習させるのもよいであろう」
4 内容の取り扱い
  • (1)文化圏学習 文化圏学習を具体的に展開するにあたり留意すべきこと 第2「各文化圏の歴史をまったく分離して取り扱わないで、相互の関連を考慮しながら、世界の歴史の大勢と結びつけて正しく理解させるようにする」(「3 内容の取り扱い」(1))
    • 「・・・文化圏相互の関連を考察させることも、各文化圏の歴史を世界の歴史の大勢と結びつけて理解させるうえで効果的であろう。このようなときには、主題学習を文化圏学習に結びつけて行なうのも一つの方法である」
  • (2)主題学習
    • 主題学習のねらい
      • 「世界史」の目標を達成し、生徒の歴史的思考力をいっそう深める→系統的な学習でつちかわれた歴史的理解を基礎に、指導事項を広げたり、掘り下げたりすることによって、歴史的思考力を深め、生徒の歴史意識をさらに高い認識にまで育てる→これらによって深められた歴史的思考力により、以後の系統的な学習を、より発展的に展開できるように配慮する
      • 主題学習と系統的な学習は、ともすれば対比的な学習の方法のようにとられやすいが、「世界史」の学習は系統的な学習を中心にし、両者が有機的な関連を保ちながらすすめられるものでなければならない。「歴史的な流れの学習の中で、適切な主題を設けて指導することが望ましい。」(「3 内容の取り扱い」)
    • ア 主題選定の観点
      • 観点a「政治的、経済的、社会的、文化的、国際的な諸点から、多角的、総合的に学習できるもの」 →世界の歴史上の事象についてより深い理解を得させるものとして適切。この観点による主題は、系統的な学習においても当然取り上げられるであろうが、様々な問題を内包している→主題の一つとして取り上げることによって、多角的、総合的な学習を展開し、歴史的思考力を深めることが期待できる
      • 観点b「世界の歴史上の事象について、地域ごとの比較考察的な、あるいは地域相互の関連的な学習のできるもの」 →文化圏学習は各地域の歴史がまったく分離して取り扱われる傾向→この観点による主題をさまざまな角度から学習させ、各地域ごとの発展のしかたの特色や、地域相互の関連を把握させることが大切→歴史上の事象に関する比較考察および関連思考を深めるとともに、文化圏学習の効果をいっそう高めることができる
      • 観点c「世界の歴史上の事象の発展を、時代別、地域別にある程度大きくまとめて学習できるもの」 →世界の歴史上の事象は系統的な学習においても、それぞれの時代に関連して取り扱われる→その変遷の様子を時代別、地域別にある程度大きくまとめて総合的、発展的に考えさせることは、歴史上の事象に対する生徒の理解を深める上で有効
    • イ 主題数と配当時間
      • 「3単位で履修させる場合は最低1主題を、また4単位以上で履修させる場合はそれぞれの単位数に応じて適切な数の主題を設けて学習させることが望ましい」(「3 内容の取り扱い」(2)イ) →4単位では2〜3主題、5単位では4〜5主題が考えられるが、学校の実情に応じて適切に行なうことが望ましい。1主題の配当時間は3〜6時間。
      • 「二つ以上の主題を取り上げる場合の主題の配当については、観点の異なるものを取り上げ、また特定の地域や時代にかたよらないように留意すること」(「3 内容の取り扱い」(2)のウ) →最低1主題のみを選ぶ場合には、文化圏学習と有機的に関連させる必要性からいって、bの主題が適切
      • 人物史学習(「3 内容の取り扱い」(3)) →主題として人物を取り上げることが示されているが、歴史上の人物について興味・関心をもたせかつ学習を深化させるものとして、かなりの効果が期待される
    • ウ 実施上の留意点
      • 系統的な学習との重複を避ける、専門分野に深入りしない
      • 学習方法:主題についての研究・討議・発表や資料の収集など、可能なかぎり、生徒の自発的な活動を中心に学習を展開することが望ましい
      • 長期休業における課題学習という方法も
      • 主題学習は、主題の内容、学習の時期・方法や資料などについての事前の準備がじゅうぶんになされて初めて学習の効果が期待される
  • (3) 世界の歴史上の人物の取り扱い
    • 「人物の取り扱いは、系統的な学習の適当な箇所において実施するとともに、主題学習において取り上げることも考えられる。主題として人物を取り上げる場合には、単にひとりの人物を取り上げるだけではなく、さまざまな角度から複数の人物を取り上げて総合的に考察させるなど、適切な学習上の配慮を加えることによって、生徒の興味・関心をいっそう高め、歴史的思考力の深化に役立たせることもできよう」
  • (7)学習活動
    • イ さまざまな学習活動のくふう
      • 「3 内容の取り扱い」(4)カでは、受動的な学習を避け、生徒の自発的な学習の展開などを通して、学習効果を上げるように努めることが示されている。たとえば、主題学習の展開などにおいて、生徒の自発的な学習が生かされるよう、学習指導に創意くふうを図ることが大切
5 指導計画の作成等 (2)「世界史」履修に当たって配慮すべき事項 ア単位数
  • 4単位以上で履修させる場合には、主題学習をより多く行なうことになっていることに留意すべきであろう。したがって、4単位以上で履修させた場合には、それぞれの単位数に応じて適切な数の主題を設けて学習させるなどして、歴史的思考力を深めるとともに、「世界史」の学習に対する関心を高めることができるよう、指導計画の作成と運営において周到な配慮をし、効果的な指導を行なう必要がある

昭和53(1978)年版 高等学校学習指導要領 社会科世界史科目 解説 における主題学習

1 科目の性格と目標 (2)「世界史」改訂の要点 ウ 主題による学習の充実
  • 従前と同じく主題選定の観点を示す方式を踏襲したが、従前の主題学習の在り方から一歩前進し、多様な主題学習が選定できるように配慮
  • 「内容の取り扱い」(2)アc「現代の諸地域の社会と文化について、文化人類学などの成果を活用しながら学習できるもの」という新たな観点
    • →例えば「太平洋の島々の生活と文化」、「西アジアに生きる人々」といったものを取り上げ、魅力ある学習が展開できるよう配慮
2 内容とその取扱い
  • (3) 西アジア文化圏の形成と発展
    • 東西文化の交流については、主題学習や人物を取り入れた学習など、様々な創意工夫を行なうことが望ましい。
  • (4)ヨーロッパ文化圏の形成と発展
    • 17〜18世紀のヨーロッパ文化については、例えば「科学革命」とか「自然法思想の発達」とかのような主題を設け、それらの学習とも関連させた取扱いを工夫したい。その場合、18世紀後半に普及した啓蒙思想までをここで一括して取り扱うことも考えられる
  • (5)19世紀の世界
    • アメリカ大陸、アフリカなどの地域については、一つの文化圏といった視点で、「主題学習」として取り扱うことも考えられる。
3 学習指導の改善と指導計画の作成等
  • (1) 文化圏学習の展開 ウ 文化圏学習の留意点 
    • 主題学習と文化圏学習を有機的に関連させながら、有効適切な学習方法を推進することが望ましい。
  • (2) 主題学習の展開
    • ア 主題学習の趣旨
      • ねらい:生徒の歴史的思考力を一層深めること →系統的な学習や文化圏学習で培われた歴史的理解をもとに、適切な主題を選定して、指導事項を広げたり掘り下げたりして歴史的思考力を深め、生徒の歴史意識を更に高い認識にまで育てる
      • 学習指導:主題についての研究・討議・発表や資料の収集など、可能な限り生徒の自発的な活動を中心に展開することが望ましい →生徒にとって魅力のある主題を選定することが大切
      • 学習が生徒にとって新鮮で魅力のあるものとなるよう改めた →(1 科目の性格と目標 (2)「世界史」改訂の要点 ウ 主題による学習の充実)
    • イ 主題学習の観点
      • 観点a「地域ごとの比較考察的又は地域相互の関連的な学習のできるもの」 →「文化圏学習」が陥りやすい各文化圏の分断的とらえ方を補正し、「文化圏学習」の成果を一層高める
      • 観点b「時代別、地域別又は国別に、ある程度大きくまとめて学習できるもの」 →幅広く多様な主題を選定、系統的な学習で扱われた歴史上の事象について、時代別、地域別又は国別に大きくまとめて総合的、発展的にとらえさせる
      • 観点c「現代の諸地域の社会と文化について、文化人類学などの成果を活用しながら学習できるもの」 →文化人類学や考古学などの学問成果を借りて、魅力的な主題を設定することを可能にする
      • 観点d「世界の歴史上の事象と日本の歴史上の事象とを比較させたり、関連させたりするなどして、世界の歴史における我が国の位置について学習できるもの」 →日本の高校生の学ぶ「世界史」という趣旨を考慮、「日本史」を履修しない生徒に対する配慮したもの →日本の歴史上の事象について、世界の歴史を背景に押さえる
      • 観点e「世界の歴史上の人物について、時代背景や地域の特質との関連などにおいて学習できるもの」 →抽象的、観念的になりやすい「世界史」学習を、人物の活躍を取り上げることによって具体化し、歴史への興味を深めさせることを目指す(取り上げる人物:時代や文化圏を象徴する人物や文化圏の文化諸要素を創造した人物、時代の変遷や文化圏相互の交流に大きな役割を果たした人物など)
    • ウ 主題学習の配当
      • 「主題の配当については、できるだけ観点の異なるものを取り上げ、また、特定の時代や地域に偏らないように留意すること」(「内容の取扱い」(2)イ)
      • 主題の数をどうするか、内容をどう構成するかなど、限られた授業時間の中で実施する場合における配当時間については、年間を通しての位置づけが必要
      • 例)観点bから「封建社会」を主題:歴史を構造的にとらえる →観点cでは「太平洋の島々の社会と文化」を主題:文化人類学などへの関心を高める →観点dでは「明治維新の国際的環境」を主題:一つの歴史的事象を総合的に把握して歴史意識の高揚に努める
    • エ 主題学習展開上の留意点
      • (ア)主題の選定に当たっては、できるだけ生徒の興味や関心に即したものを考慮し、高度で専門的なものとならないよう留意する
      • (イ)学習指導に当たっては、資料の所在や入手の仕方、調査や研究の方法を指導し、生徒の自発的な学習活動が効果的に展開できるよう留意する
      • (ウ)主題学習の展開に当たっては、学習形態や学習方法に工夫を加え、生徒全員が積極的に参加できるような運営を考慮する

平成元(1989)年版 高等学校学習指導要領 地歴科世界史B科目 解説 における主題学習

1 科目の性格と目標
  • (1)科目の基本的性格
    • 20世紀の歴史は現代の世界の構図を知る上で特に重要であるが、政治の流れを中心に大きな枠組みをおさえたのち、現代史の最も重要と考えられる主題を様々な角度から取り上げて学習できるような構成としている
  • (2)改訂の要点
    • 近現代史は世界を一体化してとらえる視点と、現代を理解する上で重要な事柄または主題でまとめるという二つの構成原理を組み合わせている
2 内容とその取扱い (3)西アジア・南アジアの文化圏と東西交流 エ:ユーラシアの東西交流
  • ここでは、対象が時代的にも地域的にも広範にわたるため、主題学習など、様々な創意工夫が望ましい。
3 指導計画の作成と指導上の配慮事項
  • (3)主題学習の展開
    • 「生徒の歴史的な思考力を培いかつ歴史に対し興味・関心をもたせるため、適切な主題を設けて学習できるようにすること。」(「内容の取扱い」(1)イ)
    • ア 主題学習の要旨
      • 主題学習は生徒の歴史的思考力を一層深め、生徒の自発的な学習活動の展開を促すため導入されたもの→この学習の展開を通じて世界の歴史を様々な側面から学び、歴史への興味・関心を高め、歴史に対する一層幅広い、また深い理解を得さようとしている
    • イ 主題設定の観点
      • ① 比較文化または比較文明の要点を導入して歴史を学習できるもの →諸地域の歴史あるいは文化・文明について相互に比較させることにより、それらの特色、価値などを異なった観点から考察させる
      • ② 社会史的な観点を導入し学習できるもの →過去の社会の実態、人々の日常、人々の感性や意識を取り上げ、歴史の深層部分にも着目させるような主題で、歴史を身近な共感をもって、学ばせる。
      • ③ 同時代史としての世界の歴史を学習できるもの →世界史の世紀別の横断的な扱いで、世界の全体像をとらえさせたり、文化圏の枠を越えた広い人々や事物の移動や交流を考察させる
      • ④ 人間の生活や文明を支えた技術についてまとまった学習ができるもの →農耕・牧畜の技術、水利の技術、鉄の利用と技術、コミュニケーションの手段など歴史の進展を支えた技術と人間を主題とした学習で歴史への興味・関心を高め、理解を深めさせる
    • ウ 主題学習展開上の配慮事項
      • 主題学習は、年間指導計画の中に適切に位置づけられていることが必要ある
      • また幾つかの主題を選定する場合は特定の時代や地域に偏らず、観点の異なるものを用意するなど、様々な視点から学習できるよう配慮

平成11(1999)年版 高等学校学習指導要領 地歴科世界史B科目 解説 における主題学習

1 科目の性格と目標
  • (1)科目の基本的性格
    • 「まず、身近なものや日常生活などに関する適切な主題を設定し、追究させることにより、生徒の歴史に対する関心や世界史学習への意欲を育てる。」
  • (2)改訂の要点
    • 自ら学び考える力の育成を重視し、主題学習の充実を図った
    • 主題学習は昭和35年告示の学習指導要領以来世界史に導入されているが、これまでその位置づけは「内容の取扱い」→今回の改訂では主題学習を一層重視し、「内容」に位置付ける
    • 具体的にどう変わったか
      • 1)主題学習のための大項目として「(1) 世界史への扉」を新設 →人々の時間意識や空間意識の変遷について考える項目、日常生活の身近なものから世界史を考える項目及び日本の歴史と世界の歴史とのつながりを考える項目を設定 →これらの中から、生徒の実態に応じて二つ程度の主題を設定し、追究させる
      • 2)「(5) 地球世界の形成」の「エ 国際対立と国際協調」、「オ 科学技術の発達と現代文明」、「カ これからの世界と日本」も主題学習の項目として位置付ける →いずれも現代の課題について考察させる項目であり、生徒の主体的な追究を促すのに適する
2 内容とその取扱い(1)
  • (1)世界史への扉
    • 「身近なものや日常生活にかかわる主題、我が国の歴史にかかわる主題など、適切な主題を設定し追究する学習を通して、歴史に対する関心と世界史学習への意欲を高める。」
      • 歴史に対する関心を高め、世界史学習への意欲を育てることをねらい
  • (1)ア 世界史における時間と空間
    • 「時計、暦、世界地図、都市図などから適切な事例を取り上げて、その変遷や意義を追究させ、人々の時間意識や空間意識が時代や地域により異なることに気付かせる。」
    • 世界史への関心を高める、人々の時間意識・空間意識の変容と多様性に気付かせる
    • 時間意識:不定時法と定時法の比較、農業と暦、機械時計の出現
    • 空間意識:世界地図(プトレマイオス等古代地図、大航海時代メルカトル図法、都市図)
  • (1)イ 日常生活に見る世界史
    • 「衣食住、家族、余暇、スポーツなどから適切な事例を取り上げて、その変遷を追究させ、日常生活からも世界史がとらえられることに気付かせる。」
      • 身近なところにも世界史とのつながりが見いだせることに気付かせ、世界史への関心を高める。
  • (1)ウ 世界史と日本史のつながり
    • 「日本と世界の接触・交流にかかわる人、物、技術、文化などから適切な事例を取り上げて、接触・交流の具体的様相を追究させ、日本列島の歴史と世界史の密接なつながりに気付かせる。」
      • 日本列島の歴史が周辺の地域や世界と密接にかかわっていたことに気付かせ、日本人の立場から世界史に対する興味・関心をもたせる。
  • 「内容の取扱い」(2)ア
    • 「内容の(1)については、生徒の実態等に応じ、アからウまでのうち適宜項目を選択し、二つ程度主題を設定して追究する学習を行なうこと。その際、世界史学習の導入に当たることを考慮し、抽象的で高度な指導にならないようにすること。」
      • 内容の(1)については、アからウまでのすべての項目を扱う必要はない、適宜項目を選択し二つ程度の主題を設定する
      • 生徒の主体的な追究を促すことがねらい
      • 一般的には二つの項目を選択して、それぞれから適切な主題を設定するが、一つの項目から二つ程度の主題を設定することが必要
2 内容とその取扱い(5)
  • (5)地球世界の形成
    • 「科学技術の発達や生産力の著しい発展を背景に、現代世界は地球規模で一体化し、相互依存を強めたことを理解させる。また、国際対立と国際協調、科学技術と現代文明などの観点から20世紀の歴史の特質を考察させ、未来を展望させる。」
      • 国際対立と国際協調、科学技術と現代文明、これからの世界と日本などに関する適切な主題を設定し、生徒の主体的な追究を促すよう工夫する。
  • (5)エ 国際対立と国際協調
    • 核兵器問題、人種・民族問題、第二次世界大戦後の主要な国際紛争など、現代の国際問題を歴史的観点から追究させ、国際協調の意義と課題を考察させる。」
      • ここでは、第二次世界大戦後の国際問題の中から事例を取り上げ、その原因や背景を歴史的観点から追究させ、国際協調のあり方について考察させる。
  • (5)オ 科学技術の発達と現代文明
    • 「情報化、先端技術の発達、環境問題などを歴史的観点から追究させ、科学技術と現代文明について考察させる。」
      • ここでは、20世紀を通じて飛躍的な発達を遂げた科学技術とそれがもたらした問題の中から事例を取り上げ、その意義や背景を歴史的観点から追究させ、科学