『この大空に、翼をひろげて』は航空機モノの青春群像劇。
喪失した情熱の代償として空へと目指す。
凄惨な過去を乗り越えて、いざゆかんや、少女救済。
生きることは、楽しいことであろうか?
体験版では、夏休み終了して部活動廃部までプレイできます。
体験版の大まかな流れとヒロインのキャラクター表現について
ヒキコモリ不登校少女!「小鳥」
主人公の碧は挫折経験者。自転車競技に情熱を傾けていたが事故でリタイヤ。部活動推薦であったので、居場所を無くし、逃げるように故郷へ帰ってきた。女子寮の寮母代理を努めながら高等専門学校へ通うことになったが、そこで出会ったのが、車椅子ヒキコモリ不登校少女:羽々根小鳥であった。かたわ少女よろしく、社会不適合者の救済者となって女による自己肯定というパターンかなと推測されうる。同族意識や傷の嘗めあいを感じた主人公くんは何かと小鳥の面倒を見ていくことになる。そんな小鳥と主人公くんが共通して代償を見出したのが、校舎裏にあったグライダー。当初主人公くんをうざがっていた小鳥ちんも、グライダー部の先輩;天音のグライダー講釈により融和していく。
そして持ち上がるのが廃部騒動。人数合わせに主人公くんとその幼なじみのあげはが入部するものの、小鳥ちんは何故か入部を渋るのであった。PULLTOPさんの作品では感情を剥き出しにした対立が描かれることがあるのだが、まさにそれ。幼なじみのあげはと車椅子少女小鳥ちんが激しくぶつかり合う!!ここで小鳥ちんの心情吐露タイムですよ。小鳥ちんは事故に遭う前は健常者で、バリバリにバレー部で活躍し、友達もいてリア充を謳歌していた。だが事故った後は、友人らは離れていき、先生から哀れみの目を向けられる始末。だから!一人でなんでも出来るって、バリアフリーの学校に転校したものの、今度もまた教師に言われて近寄ってきた少女(=あげは)がいて、切なさ炸裂。そしてまたもや近寄ってきたのがあげはであったので、感情を剥き出しにせずにはいられない。そんな心情吐露を受けて主人公くんは事故による自転車への情熱の断絶を語り、名前呼びでオープンハートなフラグ成立と相成りました。
ちょっと複雑な関係!元気っ子幼なじみ「あげは」
小鳥ちんを迎えて廃部から逃れたグライダー部。しかし、小鳥とあげはの対立が未解決のままであった。この対立はグライダーの主翼作成を経て融和していく。ロボコン部に所属し高い技術を有するあげはによる主翼作成指導は小鳥の心をうつ。同じ作業を一緒にやることで団結が高まるっていうアレですよ。で、あげはのターン。あげはは主人公くんの一番の親友であり好感度もマックス状態。にもかかわらず深い関係になれないのは、よく使われる幼なじみプロット「関係性変化への躊躇」に加え、「過去に主人公くんが告白したのを拒絶した」ことにあった。以来、あげはは姉御肌として周囲に慕われつつも親友を作れず誰にでもいい顔するような現状を生み出すようになった。そこを小鳥ちんから八方美人と揶揄されたので、痛いところつかれて感情爆発!しちゃったのだった。
そして舞い降りるのがロボコン部との兼部の件。ロボコン部顧問でグライダー部を目の敵にする「典型的な敵」設定されているキャラが登場して、辞めろとのたまうのであった。あげはを引き留めるために、画策する主人公くんだが、そこで故郷へ逃げ帰ってきた主人公くんへの糾弾タイムが始まる。「事故のことを小鳥にだけ教え自分には黙っていたこと」を追求してくるのであった。嫉妬したり照れたりするあげはのキャラクター表現は本当に可愛いなぁ。二重チックな目でジト目されるのとか最高。で、過去暴露して、幼なじみとしては完全に和解。ロボコン部なんて、夏休みに入ってから、スゲ−あっさり片付いたぜ。2行くらいで退部してきたあげはちん。これは個別ルートで問題になるのかな。
夏休み合宿!モーニング・グローリー編
残るヒロインは天才系天然先輩の天音さんと、炉莉枠担当の双子少女。天音さんは夏休み編で引退。双子は夏休み後に登場する流れかな?夏休みに入り、合宿という名目で女子寮に住み込み訓練を行うようになった小鳥・あげは・天音の共同生活や、滑走路整備が描かれる。天音さんの引退パーティーや飛行訓練を経て、夏休みも終わろうかとするその日、グライダー部の究極の目標である「朝方に出来る変わったカタチの雲」が出現する。飛び立て!グライダー!!ということで出撃。ジャンルは違うとは言え、『水平線まで何マイル?』とか学生航空モノであったなぁとか思い出した。結局は目的の雲に肉薄するものの、たどり着くことは出来ず断念。だがこの失敗は新たなスタートだった。次こそは絶対にたどり着く!!と意気込みながら先輩の引退を見送り新たな決意を胸にする。だがしかし、新学期登校したら無残にもグライダー部のガレージには重機が入り取り壊されていた。ここでロボコン部顧問が同好会としてやるんだなと唾を吐いていく(比喩表現)。主人公くんたちは同好会状態からスタートし、再びグライダーを飛ばせるのか!?というところで体験版は終了しました。