倫理の講義で、フロイトの防衛機制の「反動形成」を教えたときのことです。
「反動形成」の例を挙げよと発問したら「ツンデレ」と答えた生徒がいました。
しかしながら反動形成は「好ましくない欲求や感情を抑える」ために反対の行動を誇張することです。よって「ツンデレ」は「反動形成」とイコールではないと思われるのです。ここでのポイントは「好ましくない欲求や感情を抑えるためのものである」ということです。つまり、具体的には、憎しみを持っている相手に過度に親切にして敵意や攻撃性を押えることや、臆病な人が他人に威張ったり強がったりすること等です。
「ツンデレ」は、好意を抱いているのに上手くコミュニケーションを取れない状態(ツン)と、関係性変化イベントの中において好意を抱いている表現を垣間見せる状態(デレ)の対比によるキャラクター表現の一種のことでしょう。つまり「ツンデレ」においては「相手に対して好意を抱いている」というのが重要になってくると思います。すなわち、反動形成では「好ましくない欲求や感情を抑える」ことを目的としていますが、「ツンデレ」は「好意」なので、「好ましくない欲求や感情」には当てはまらないのではないでしょうか。
勿論、「ツンデレ」と似ている部分もあります。「ツンデレ」と近いのは以下のような例でしょう。好意を向けている対象から自分が相手にされないことが耐えられないので、自我崩壊による発狂や強姦の欲求を抑えるために、そっけない態度や無関心、意地悪をしてしまうという場合です。この場合は非常に「ツンデレ」に似ていますが、背景にあるのが「自我崩壊による発狂や強姦の欲求を抑える」ことなので、「相手への好意」から「ツンツン」しているわけではないのです。
以上により「ツンデレ」はフロイトの「反動形成」とは異なります。論述問題で、「「ツンデレ」と「反動形成」の相違点を述べよ」と出たら、「好ましくない欲求や感情を抑える」ことを中心として書きましょう。